豊島将之竜王への挑戦権を勝ち取るのはどっちだ!?

第33期竜王戦(主催:読売新聞社)挑戦者決定戦三番勝負第3局が明日19日に東京・将棋会館で行われます。豊島将之竜王への挑戦権をつかみ取るのは、羽生善治九段か丸山忠久九段か。大注目の一戦です。

羽生九段は1組を優勝。決勝トーナメントでは破竹の勢いで勝ち上がってきた梶浦宏孝六段を破り、三番勝負に進出。丸山九段は2組2位で決勝トーナメントに出場し、藤井聡太棋聖、佐藤和俊七段、久保利明九段を破って三番勝負に進出しました。

三番勝負の第1局は後手の丸山九段が伝家の宝刀、一手損角換わりを採用。序盤は研究済みとばかりに猛スピードで飛ばすのが丸山流です。羽生九段が持ち時間5時間のうち、約半分を使ったタイミングで、なんと丸山九段の消費時間はわずか1分でした。将棋の内容も一手損角換わりのエキスパートらしく、激しい攻め合いの最中に自陣にじっと手を入れる緩急自在の指し回しで羽生九段を下しました。

第2局では羽生九段が魅せます。先手の丸山九段は角換わり早繰り銀を採用。相居飛車らしい玉頭攻めの応酬の中、羽生九段が強烈な踏み込みを披露。自玉を守る銀冠の銀取りをなんと手抜いて、相手玉に迫っていきます。銀を取らせる間に歩を用いた流れるような玉頭攻めがさく裂し、丸山玉の守りは一気に弱体化。最後まで緩むことなく押し切って、羽生九段が勝利を収めました。

ここまでの2局は両者が持ち味を存分に発揮し、好局が続いています。第3局も大勝負にふさわしい熱戦が繰り広げられることでしょう。第3局の戦型は、振り駒で丸山九段が後手になればほぼ間違いなく一手損角換わり。先手のときはおそらく角換わりになると思われます。

もし羽生九段が勝利すれば、第31期竜王戦で竜王位を広瀬章人八段に奪取されて以来のタイトル戦登場です。99期目のタイトルが竜王だった羽生九段。この時は永世竜王の資格も獲得し、永世七冠となりました。自身が初タイトルを獲得した竜王戦で、節目の100期獲得へ挑むことができるでしょうか。

一方、丸山九段も最後にタイトル戦に登場したのがこの竜王戦。その第29期は異例の繰り上がりでの挑戦だったため、今度こそは自力での挑戦を決めたいはずです。

羽生九段と丸山九段は9月に50歳になる同学年。竜王戦は今期が第33期となりますが、これまで50代が七番勝負の舞台に上がったことはありません。20歳年下の豊島竜王に挑むのは、果たしてどちらになるでしょうか。

タイトル挑戦権を争う同学年の羽生九段(左)と丸山九段(提供:日本将棋連盟)
タイトル挑戦権を争う同学年の羽生九段(左)と丸山九段(提供:日本将棋連盟)