夏場や冬場は、春や秋の時期に比べて電気代が高い家庭が多いでしょう。この電気代上昇の一因になっているのがエアコンです。特に夏は、部屋を冷やす手段が限られることからエアコンを使う機会も多く、電気代がかさむ原因になります。とはいえ、節約のためにエアコンを使わずに体調を崩してしまうようでは、元も子もありません。
この記事では、快適な室内温度を保ちつつ、エアコンの電気代を節約するための5つの方法をご紹介します。
エアコンの電気代は本当に高い?
そもそも、エアコンの電気代は本当に高いのでしょうか? 夏場の電気代が、ほかの季節に比べて高いことはわかっていても、そのうちどのくらいがエアコンの電気代なのかはよくわからないという人も多いと思います。
まずは、エアコンの電気代の計算方法について見てみましょう。
電気代の計算方法
電気機器を使うときに必要な電気代は、以下の式で計算できます。
電気代= 消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気代(円)
電気機器の消費電力は、本体やパンフレット、メーカーのウェブサイトなどに記載されています。また、1kWhあたりの電気料代は、契約している電気会社のウェブサイトや、電気代の明細書を見るとわかります。
エアコンの電気代計算例
先程の計算式にあてはめて、エアコンの電気代を計算してみましょう。
エアコンの消費電力は、常に同じではありません。住んでいる地域や、暖房と冷房どちらを使うのかといった条件によって変わります。
なお、エアコンには「期間消費電力量(kWh)」という数値が設定されています。これは、一定の条件下における冷房と暖房の消費電力量を調べた上で合算し、1年間の電力消費量の目安としたものです。期間消費電力量は、エアコンのパンフレット等に記載されています。
なお、エアコンのパンフレット等には、冷房と暖房それぞれの消費電力についても記されています。しかし、消費電力は利用状況によって変わることから、△W~○Wというように、幅を持った書き方になっています。電気代を知りたい場合は、やはり期間消費電力を使うのがいいでしょう。
仮に、期間消費電力量が800kWhのエアコンを27円/kWhの電気代で使用した場合について計算してみましょう。
800kWh×27円/kWh=21,600円
つまり、エアコンにかかる年間の電気代の目安は21,600円ということになります。これは、下記の条件 でエアコンを使用した場合の金額目安です。
・外気温は東京モデル
・一般的な南向きの木造住宅
・冷房は5月23日~10月4日、暖房は11月8日~4月16日のあいだ、毎日18時間(6時~24時)使用
エアコンが電気を多く使うタイミングは「つけた直後」
エアコンは、常に一定の消費電力量を保つわけではありません。例えば、室内の温度が28℃のときに、25℃設定でエアコンをつけた場合、つけた直後は、25℃まで室温を下げなければいけませんから、多くの電力を消費します。しかし、その後は25℃をキープすればいいわけですから、消費電力量は下がります。
また、冷房と暖房でも、電気代は変わります。夏のほうが電気代は高くなるイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際には、エアコンは冬のほうが電気を多く使います。これは、冬のほうが室温と設定温度の差が大きいことが、一因となっています。
例えば、東京の夏場(2020年8月)の平均気温は、気象庁 によると29.1℃でした。そのため、設定温度が25℃なら、4.1℃分下げることになります。一方、東京の冬場(2020年1月)の平均気温は7.1℃で、設定温度を18℃にした場合、11℃分上げる必要があります。
エアコンの電気代を節約する5つの方法
続いては、エアコンの電気代を節約するための方法を5つご紹介します。普段の使い方を少し工夫するだけでも節約につながりますから、できることから実践してみることをおすすめします。
1.省エネ家電に買い替える
初期費用がかかるため、ややハードルの高い方法ですが、省エネ家電に買い替えることで、年間の消費電力量を大幅に減らすことができます。
経済産業省・資源エネルギー庁のウェブサイトによると、2008年製のエアコンの期間消費電力量は、平均858kWhでした。一方、2018年製のエアコンは820kWhです。つまり、使用条件を考えずに単純計算すると、電気代が27円/1kWhの場合、理論上、年間(858-820)×27円/kWh=1,026円分の電気代の差が出るということです。
最新のエアコンとの電気代の差は、比較対象が古ければ古いほど大きくなります。新しいエアコンに買い替えるほど、電気代は安くなると考えていいでしょう。
古いエアコンは消費電力が大きいだけでなく、冷房や暖房が効きづらく、快適な室内温度をキープできないこともあります。
電気代の節約のためにお金を払うというのは本末転倒に感じるかもしれませんが、年間の電気代を抑えることや、室内環境を良くするという観点からも、エアコンの買い替えにはメリットがあります。古いエアコンを使い続けている場合は、買い替えを検討してみましょう。
2.自動運転を活用する(風向きと設定温度)
多くのエアコンには、風向きや温度を自動で設定してくれる自動運転機能がついています。自動運転を使うことで、効率良く室内温度を調整できるでしょう。
自分で設定温度や風向きを変えたり、こまめにオンオフをしたりすると、そのたびに多くの電気代がかかってしまいます。自動運転を利用すると、自分で設定を変えなくても良く、結果として節電につながるのです。
3.サーキュレーターや扇風機といっしょに使う
サーキュレーターや扇風機とエアコンを併用して、室内の空気を循環させると、室内温度がムラなく安定するため、効率的にエアコンを使うことができます。これは、冷房を使うときだけでなく、暖房を使うときにも利用できる方法です。
温かい空気は部屋の上部、冷たい空気は部屋の下部に溜まります。そこで、サーキュレーターや扇風機を併用して溜まった空気を部屋全体に循環させることで、体感温度を下げたり、エアコンが正しい温度を感知しやすくなったりする効果が期待できるのです。
4.エアコンの掃除をする
エアコンのフィルターや室外機に汚れが溜まっていると、エアコンの運転効率が下がります。定期的に掃除をしましょう。
特にフィルターは、汚れていると室内の空気まで悪くなってしまう可能性があります。フィルターの外から掃除機でほこりを取るだけでも効果がありますから、お手入れを欠かさないようにすることをおすすめします。一方、室外機は掃除をするとともに、吹き出し口付近に物などを置かないよう、配置にも注意が必要です。
5.窓やカーテンの断熱対策
せっかくエアコンをつけていても、どんどん外の空気と室内の空気が入れ替わってしまうようでは、なかなか快適な温度をキープできません。
窓に遮熱フィルムを貼ったり、断熱性能・遮熱性能の高いカーテンを利用したりすることで、エアコンの効率を高めることができます。断熱対策を行うことで、エアコンの効率を高め、消費電力を下げることができるのです。
エアコンの効率を上げれば電気代が下がる
効率良く室内を冷やしたり、温めたりできれば、それだけエアコンの電気代を抑えることができます。エアコンの掃除や自動運転機能の活用など、今すぐできる対策もありますから、実践してみましょう。
また、古いエアコンを使っている場合は、買い替えによるメリットが大きくなります。初期投資は必要ですが、それ以上のリターンが得られる可能性もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。