東洋経済新報社は9月17日、2021年3月期第1四半期(4~6月期)の決算発表を受けて、四季報の業界担当記者が取材を行い、全上場会社について独自に今期、来期の業績予想をした結果を発表した。

同業種内で業績が二極化

  • 市場別決算業績集計表(前期比増額率)

四季報予想を集計したところ、今期(2020年7月期~2021年6月期、対象3,416社)の営業利益は、製造業が前期比26.8%減、非製造業が同20.4%減と、ともに減益。全産業では、前期の23.6%減益に続き、今期も23.1%減と大幅な減益が予想されるという。

銀行業、保険業を除く31業種の中で、今期予想が営業増益となるのは、情報・通信業、医薬品、証券業の3業種のみで、石油・石炭製品は黒字転換の見通し。他方、23業種が減益、4業種が赤字となる見通しで、輸送用機器と海運業、空運業が赤字転落、鉄鋼は連続赤字と見込んでいる。

ただ、減益が予想される業種内でも、業績を伸ばしたり、四季報が業績見通しを引き上げたりした企業も多い。陸運業では、鉄道各社が苦戦を強いられる中、ECを軸に宅配が伸長するヤマトホールディングスやSGホールディングスの業績見通しは改善。小売業でも、大手百貨店は今号で見通しが悪化した一方、ヤマダ電機などの家電量販、ニトリホールディングス、食品スーパーの業績は好調が続いている。

また、外食各社が落ち込む中、持ち帰り需要が旺盛な日本KFCホールディングスは最高益を更新する勢いで、「同じ業種内での業績二極化の動きは、この数カ月で鮮明となってきている」という。

来期については、「コロナ影響一巡を前提に、製造業、非製造業ともに業績改善が見込まれるが、回復ペースは業種ごとや同一業種内でも会社ごとにさらにばらつきが出そうだ」と分析している。