「インナーチャイルド」という言葉を聞いた経験はあるでしょうか。「インナーチャイルド」とは子ども時代のつらい記憶であり、成人以降の人間関係や自由なふるまいにも関連してくると考えられています。
この記事では、インナーチャイルドとはどのようなものなのか詳しく解説するとともに、具体的な症状を解説します。また、あわせてインナーチャイルドを癒すメリットや癒す方法についても紹介。
自分で実践できる方法もお伝えしますので、心当たりのある方はぜひお試しください。
インナーチャイルドとは?
まずはインナーチャイルドの意味をきちんと押さえておきましょう。
インナーチャイルドとは「心の内側の子ども」という意味で、子ども時代の記憶や心情をさします。とらえ方はいろいろとありますが、「自分の心の中に住んでいる子どもの自分」といったイメージを持ってみるとわかりやすいかもしれません。
幼少期~思春期の記憶や経験は、その後の私たちの人生に大きく影響を与えています。この期間中に置かれた環境(親にいつも叱られていた、学校で無視され続けたなど)次第では、インナーチャイルドが傷ついてしまいます。インナーチャイルドが傷つき不安定なままだと、後の人生にネガティブな影響が出ると考えられています。
インナーチャイルドの症状
■孤独を感じやすい
■対人関係がうまくいかない
■自分自身を否定し、愛せない
これらはインナーチャイルドが傷つくことで出現すると考えられる症状の一例です。ただし、心に傷を負っている場合は「癒やし」を与えることで人生がうまくいくと考えられています。
アダルトチルドレンとの関係
アダルトチルドレンとは、子どものころ家庭内で親の喧嘩や離婚などのトラブルがあり、トラウマになったまま大人になった人を指します。
インナーチャイルドを癒やすことは、アダルトチルドレンを癒やす方法のひとつと考えられています。自分はアダルトチルドレンではないかと感じている方にも、インナーチャイルドを癒やすメリットがあるでしょう。
インナーチャイルドを癒やすメリット
インナーチャイルドを癒やさずにいると、過去にとらわれて自由に生きることが難しくなり、生きづらさの原因になるでしょう。逆にインナーチャイルドを癒やすと、過去にとらわれず今や未来に目を向けられるようになります。
具体的には、抑圧された感情や偏った感情、思い込みによる自己制限などを手放し、自分を認められるようになります。自分の子どもにも影響してしまう負の連鎖も止められるでしょう。
インナーチャイルドを癒やすと、本来の自分を取り戻したような心地がして生きやすくなり、仕事や恋愛にも良い影響があるでしょう。
以下で、より詳細なメリットを紹介していきます。
抑圧された感情を解放できる
インナーチャイルドを癒やすと、これまで抑えられてきた感情を解放できて、のびのびと生きられるでしょう。「愛されたい」「甘えたい」といった感情を開放できれば、もう自分の感情に嘘をつかなくてよくなるのですから、罪悪感を抱くこともなく、自由に思いを表現できるでしょう。
負の連鎖を止められる
幼少期につらい記憶を持つ方の中には、親にされた嫌なことを自分の子どもにも繰り返してしまうケースがあります。「そんなことをするなんて信じられない」と思っていても、傷ついたインナーチャイルドに縛られていると、思わぬ行動に出てしまう可能性があります。インナーチャイルドを癒やすと、傷ついたインナーチャイルドを自分の子どもにも引き継いでしまうという負の連鎖を止められるでしょう。
自分を認められるようになる
誰しも「こうするべき」と思い込んでいることがいくつかあるでしょうが、なぜそう思うようになったか子どものころの記憶をさかのぼっていくと、実は誰かに押し付けられた、偏った考え方だったと気づけるでしょう。インナーチャイルドを癒やすと、「こうするべき」という偏った感情を払拭し、「こうしたい」というありのままの自分を認められて、もっと自由に生きられるようになるでしょう。
自己制限から解放される
自分にはできないと思い込んでいることの中には、インナーチャイルドによって自己制限されている場合があります。たとえば「私は幸せになれない」という制限がされていれば、幸せになる行動を起こすことも、幸せと感じることさえも、難しくなるでしょう。インナーチャイルドを癒やすと、思い込みによる自己制限を解放できて、これまで見えなかった可能性が見えてくるでしょう。
インナーチャイルドを癒やすことのデメリット
インナーチャイルドを癒やすことはメリットも多いですが、デメリットもあります。つらい記憶と向き合わなくてはいけないため、自分自身への負担が大きいことでしょう。心の防衛本能が忘れさせていることもあるでしょうから、無理には思い出さないようにしましょう。
また、インナーチャイルドを癒やした反動で極端に行動が変わり、他人に迷惑をかけてしまうデメリットも考えられます。無理や極端を避けることが、デメリットを避けるポイントになるでしょう。
インナーチャイルドを癒やす方法
インナーチャイルドの癒やし方については確立された方法があるわけではなく、本やインターネットなどにさまざまなやり方が載っています。
インナーチャイルドを癒やすには、体を動かしたり、ノートに書きだしたりする方法があり、専門家に頼らず自分自身で行うことも可能です。以下にいくつか方法を紹介しますので、無理なくできそうな方法を探してみてください。
子どもの頃に戻って遊ぶ
インナーチャイルドを癒やす簡単な手段としては、子どもに戻って遊んでみる方法があります。
子どものときの遊び場に行ってみるのもいいでしょうし、欲しかったのに買ってもらえなかったお菓子やおもちゃを大人買いしてみるのもいいでしょう。そうしているうちに、できないと思い込んでいたことができるようになっていると気づけます。やるときは思い切りやって、ある程度満足できたなら、そこで止めておきましょう。
グリーフワークをする
グリーフワークとは、身近な人と離別した人がたどる立ち直るためのプロセスであり、悲しみから精神的に立ち直っていく道程のことを言います。この道程になぞらえることが、インナーチャイルドにも効果的でしょう。インナーチャイルドを癒やすということは、いわばずっと一緒だった子どもの自分に別れを告げることだと言えます。ですから、グリーフワークは、インナーチャイルドを癒やす方法としても効果を期待できるでしょう。
グリーフワークで癒やすには、抱えている負の感情をしっかりと感じとって抑圧されていた感情を開放しましょう。歌の歌詞や映画のセリフのように、気持ちを言葉にしたり、ノートに書いたりしてみましょう。好きなだけ怒りをぶつけても泣いても構いません。身近な人との離別に相当する悲しみを癒やすのですから簡単ではないですが、徹底的にやることで、もう子どもの自分とは決別して、今を大切にしようと思える瞬間が訪れるでしょう。
インナーチャイルドに関する本を読む
近年は、インナーチャイルドに関する本が多く販売されています。中には癒し方などを紹介している本もあるので、こういった本を読んでみるのも一つの方法です。インターネットで「インナーチャイルド 本」と検索 すると多くの書籍が見つかるので、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
心理カウンセラーに相談する
インナーチャイルドを癒すために心理カウンセリングを受けてみるという方法もあります。自分でできる方法を試してみたけれど効果がなかった...という人も、心の悩みや問題をサポートする専門家である心理カウンセラーに相談すれば解決するかもしれません。
インナーチャイルドを癒やす際の注意点
インナーチャイルドは自分で癒やすことも可能であるとご紹介しましたが、トラウマになっているような出来事を思い出してしまったときなど、自分だけでは対処できない場合は専門家へ相談することもあるでしょう。
前項でご紹介したようにインナーチャイルドを癒やすカウンセリングやセラピーなどを頼る方法もあるのですが、正式な心理学の資格や知識を持たずに行われていることも多く、費用も高額なケースがあるため、その点は注意が必要です。
カウンセリングやセラピーを受ける場合は、しっかりと下調べしてから選びましょう。
インナーチャイルドについて正しく理解しよう
インナーチャイルドは確かに自分を苦しめるものですが、だからといって敵だと考えるのは早計です。紹介した自分でできるインナーチャイルドワークを試してみてください。思ったことをノートに書くことは、やってみるとその効果に驚くでしょう。
あなたにしか癒やせない、あなたのインナーチャイルドにしっかりと向き合って受け入れられるように努力してみましょう。