一人暮らしの生活費は、1カ月あたりどれくらいかかっているのでしょうか。一人暮らしとなると、家賃や水道光熱費、食費をはじめ、あらゆる生活費を自分でまかなわなくてはなりません。そのため、できるだけ生活費は節約して、貯金や自由に使えるお金に回したいところです。

ここでは、一人暮らしと2人以上の世帯の生活費の平均値を比較して、生活費の見直し方や節約方法をご紹介します。

  • 【生活費の内訳】一人暮らしの生活費はどのくらい? 生活費の見直し方

    【生活費の内訳】一人暮らしの生活費はどのくらい? 生活費の見直し方

1カ月の生活費の平均額はいくら?

総務省が実施した「家計調査年報(家計収支編)」のデータを参考に、一人暮らしと2人以上の世帯が、それぞれ毎月生活費にどのくらいかけているのか、項目別に平均額を見ていきましょう。

単身世帯の場合

一人暮らしの生活費の平均額は、次のとおりです。

毎月合計15万円ほど、生活費として必要だということがわかります。なお詳細には、ここに被服費用や保険医療費用なども追加され、合計支出額は約16万程度にまで増加します。

■1世帯あたりの1カ月間の収入と支出(単身世帯)

項目 毎月の平均額
住居 1万9,457円
水道光熱費 1万1,205円
食費 4万982円
交通・通信費 1万9,389円
教育・娯楽費 1万9,129円
その他 3万5,524円
合計 14万5,686円

※総務省「家計調査(家計収支編)」2020年1~3月期 (集計世帯数221件、世帯主の平均年齢50.9歳)

2人以上の世帯の場合

続いて、2人以上の世帯の生活費を見ていきます。

ほとんどの項目で、平均額が一人暮らしの合計額より倍以上高くなっています。一方で、住居費が一人暮らしに対して低いのは、持ち家がある世帯が比較的多いことが影響していると考えられます。

■1世帯あたりの1カ月間の収入と支出(2人以上の世帯)

項目 毎月の平均額
住居 1万5,942円
水道光熱費 2万6.557円
食費 7万3,242円
交通・通信費 4万2,738円
教育・娯楽費 2万5,320円
その他 5万7,069円
合計 24万868円

※総務省「家計調査(家計収支編)」2020年1~3月期 集計世帯数7,469件、平均世帯人員2.96人、世帯主の平均年齢59.4歳

一人暮らしと2人以上の世帯の各項目を比較してみると、世帯人数が増えれば、比例して高くなる項目である食費と水道光熱費、交通・通信費の差が特に大きくなります。

こうした項目の支出は、結婚や出産など、世帯人数に関わるライフステージが変化したタイミングで見直すことで、節約できるでしょう。

支出を見直して、貯蓄ができる人に!

生活費を節約するには、家計簿をつけて毎月の支出と向き合うことがポイントです。まずは大まかな項目で、収入に対して生活費がどのくらいかかっているか、支出を計算してみましょう。 続いては、支出を見直す際の2つのポイントをご紹介します。

平均値を踏まえて、理想的な支出の割合を見つけることが大切

生活費を見直すにあたって大切なのは、その平均値を知り、自身の生活費と照らし合わせてみることです。

一般的に、生活費は収入に対して次の割合が平均とされています。

・住居費…20~30%
・食費…10~15%
・水道光熱費…5~10%

ほかにも交通費・通信費や趣味娯楽費、保険料や車の維持費などの出費があるため、まずは毎月の支出をリストアップし、自分にとって理想的な支出の割合を算出するようにしましょう。

そうすることで、毎月どれくらいのお金でやりくりするといいかが明確になり、家計管理がスムーズになります。

なお、理想的な1カ月貯金額は、収入に対して20~30%程といわれています。

将来の目標や結婚資金、マイホーム購入などに向けて貯金するためには、毎月の生活費は収入の70~80%以内に収めることがポイントです。

家計簿をつけて収支を把握すると節約につながる

家計管理の第一歩は、家計簿をつけることです。家計簿は、自分にとって「必要な支出」と「無駄な支出」を明確にするために役立ちます。

家計簿には食費や水道光熱費などの項目を作り、それぞれの支出金額を記録します。前述の割合よりも予算オーバーしている項目がないか、確認してみましょう。予算がオーバーしている項目は、節約すべき生活費です。

家計簿をもとに収支を管理して節約を意識すると、なんとなく節約をするよりも、効率的に無駄な出費を減らせるでしょう。

生活費を節約する2つのポイント

最後に、生活費を節約するためのポイントを、毎月の固定費と変動しやすい食費の2つの項目に分けてご紹介しましょう。

水道光熱費など毎月支払う固定費を見直す

まずは、水道光熱費や通信費など、毎月ほとんど金額が変動しない「固定費」から見直しましょう。

食費や交際費などの毎月変動する出費に対して、固定費は毎月支払う金額が決まっているので、一度金額を下げれば、長期的な節約効果が期待できます。

例えば、スマートフォンの契約プランを見直して、月々8,000円から5,000円のプランに変更できれば、1カ月で3,000円、1年間で3万6,000円の節約になります。

なお、固定費のうち、家賃などの住居費は、家賃交渉や引越しが必要なのでハードルが高くなります。まずは、通信費や水道光熱費、保険料などを見直すことがおすすめです。

外食の回数を控えるか、自炊をがんばるか

食費は外食中心の生活か、自炊がメインの生活かによって金額が大きく変わります。食費が予算オーバーしている場合は、なるべく外食を控えて自炊してみましょう。

自炊するには調理家電や調理器具、調味料などを一式そろえる必要があり、初期費用はかかります。ただし、自炊は長く続ければ、外食するよりもコストパフォーマンスが非常に高いです。

毎食の自炊が難しい場合は、「お米だけは自分で炊いて用意する」「おかずを作り置きする」など、一部を自炊して節約してみましょう。

節約したお金の使い道

節約に成功したならば、そのお金を有効活用するための使い道をしっかりと決めましょう。

先取り貯金を始めてみる

先取り貯金とは、給料日などの決まった日に自動的・強制的に貯金をすることです。先取り貯金の主な方法として、給与天引きによる貯蓄制度「財形貯蓄」や、普通預金から定期預金に積み立てる「自動積立定期預金」があります。使う前に先に貯金をしてしまえば、確実にお金を貯めていけるという理論です。 貯金額はいくらでも問題ないですが、上述の節約法で捻出できた金額以内に留めておくと「節約を活用した貯金」をより濃く実感できるでしょう。

資産運用を行う

金融庁が発表した資料に端を発した「老後資金2,000万円問題」をご存じの方も多いと思います。「生活レベルの質をどの程度にするのか」「介護施設を利用することになるのか」などの複数の要素によって、老後にどれだけのお金を使うことになるかは人によって大きく異なります。

それでも、老後にまとまった資金が必要なのは疑いようがないですし、超低金利時代の日本において、貯金だけでその資金を貯めていくのは難しいのも事実です。

そこで、節約の次のステップとして視野に入れておきたいのが、株や投資信託などの資産運用です。リスクもありますが、銀行口座の金利とは比較できないほど大きなリターンが得られる可能性があります。

今はつみたてNISAのように投資に有利な制度が出てきていますし、小額から始められるため、投資や株に関する知識がない人でもチャレンジしやすい環境が整っていると言えるでしょう。

生活費を見直して、貯金や自由に使えるお金を増やそう

生活費の平均額や理想的な支出の割合を知ることで、生活費を見直すことができます。普段、何気なく使っているお金が、実は無駄な出費かもしれないので、家計管理を通して余計な支出を知り、節約につなげることをおすすめします。

生活費を見直して節約に努めれば、貯金や趣味に回せるお金が増え、生活が豊かになるはずです。