里見女流四冠が伊藤沙恵女流三段との力戦の将棋を制する。五番勝負は女流全タイトルを分け合う二人の対決に
第10期リコー杯女流王座戦(主催:株式会社リコー)の挑戦者決定戦、▲里見香奈女流四冠-△伊藤沙恵女流三段戦が9月14日に東京・将棋会館で行われました。結果は135手で里見女流四冠が勝利。昨年奪われたタイトル奪還のため、西山朋佳女流王座にリターンマッチを挑みます。
振り駒で先手番になったのは里見女流四冠。3手目に9筋の端歩を突いて相手の出方をうかがいます。すると伊藤女流三段も1筋の端歩を突いてお返し。両者居飛車か振り飛車かを明示しないで駒組みが進んでいきます。
ついに17手目、里見女流四冠が金を7八に上がって居飛車を表明します。そして飛車先の歩を突いたタイミングで、伊藤女流三段は5筋から開戦。里見女流四冠は5筋でぶつかった歩を取らずに、2筋の歩を伸ばしていきました。前例のない力戦です。
小競り合いの後、結局里見女流四冠の居飛車対伊藤女流三段の中飛車という形になりました。玉の固さで勝る里見女流四冠が積極的に駒をぶつけて優位に立ちました。多少の駒損でも、攻めがつながれば良いという大局観です。
中央から攻められ、守りの金銀を次々とはがされてしまった伊藤女流三段。逆転の望みをかけて端攻めを敢行します。その攻めに対し、なんと里見女流四冠は一直線の攻め合いに出ました。端にと金を作られても大丈夫という読みです。
その後飛車・角・桂で自玉に迫られた里見女流四冠ですが、ギリギリで耐えていると読み切っていました。相手玉に詰めろをかけ、伊藤女流三段の王手ラッシュを冷静にかわしきって勝負あり。王手が続かなくなった伊藤女流三段はやむなく受けに回りましたが、里見女流四冠は伊藤玉を詰まし上げて勝利を収めました。
勝った里見女流四冠は西山朋佳女流王座への挑戦権を獲得しました。昨年は西山女王(当時)に1勝3敗で女流王座を奪われてしまった里見女流四冠。1期でのリターンマッチとなりました。また西山女流王座は女王と女流王将のタイトルも合わせ持つ女流三冠です。女流棋界の全タイトルを分け合う両者の頂上決戦は、10月28日に東京都「ホテル椿山荘東京」で開幕します。