フルサイズミラーレスで快走するソニーが、APS-Cセンサー搭載ミラーレス「α6600」並みのコンパクトなボディに仕上げたフルサイズミラーレス「α7C」を発表しました。使わない時は全長を短くできる新開発の標準ズームレンズと組み合わせれば、バッグからサッと出し入れできるようにしました。背面液晶はシリーズ初のバリアングル式にし、自分撮りを多用するVlog需要も強く意識しています。撮影性能はフルサイズ機の定番モデル「α7 III」とほぼ同等で、小型軽量と高性能を両立した意欲作に仕上がっています。

  • ソニーが新デザインのフルサイズミラーレス「α7C」を発表。一見するとAPS-Cセンサー搭載のα6000シリーズのようなコンパクトな外観だが、α7 IIIと同じフルサイズセンサーや撮影機能を詰め込んでいる

価格はオープン。予想実売価格は、ボディ単体モデル(ILCE-7C)が税別21万円前後、標準ズームレンズが付属するキットモデル(ILCE-7L)が税別24万円前後。発売は10月23日の予定。カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色を用意します。

  • カラーバリエーションはブラック(右手前)とシルバー(左奥)の2色。シルバーはブラックとのツートンでおしゃれな雰囲気

α6000シリーズ並みのコンパクトなデザイン

α7Cのおもな特徴は以下の通り。

  • ボディの重量は約509g(メモリーカード、バッテリー含む)。α7 IIIより約141gも軽量化
  • 撮像素子は有効2420万画素のフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー(α7 IIIと同じ)
  • 画像処理エンジンはBIONZ X(α7 IIIと同じ)
  • ミラーレスαでは初となるバリアングル液晶
  • AFの測距点数は693点、カバー率93%(α7 IIIと同じ)
  • トラッキングはリアルタイムトラッキング対応(α7R IVと同じ)
  • 連写速度は10コマ/秒(α7 IIIと同じ)
  • ボディ内手ブレ補正機構の補正効果は約5段分(新設計)
  • ISO感度はISO100~51200、拡張時はISO50~204800(α7 IIIと同じ)
  • 動画は4K/S-Log/HLG対応(α7 IIIと同じ)
  • カードスロットはSDカードのシングルスロット
  • 5GHz/2.4GHz対応のWi-Fi機能
  • バッテリー撮影枚数は約740枚(背面液晶)、約680枚(EVF)
  • 本体サイズはW124×H71.1×D59.7mm
  • キットレンズに付属する標準ズームレンズ「FE28-60mm F4-5.6」を装着したα7C。ペンタ部の出っ張りがないのでとてもスリム。モードダイヤルや露出補正ダイヤルがある部分は1段下げており、天面から出っ張らないようにデザインされている

  • α7 IIIと同じフルサイズセンサーを搭載する。マウントは従来と同じEマウント。位相差AFの測距点もα7 IIIと同じ。グリップ部の前ダイヤルは搭載していない

  • 電子ビューファインダー(EVF)はα6000シリーズと同様の配置となる。チルト機構はない

  • シルバータイプ。α6000シリーズのように全体がシルバーにはならず、上質な印象を与える

  • 背面。ジョイスティック型のマルチセレクターは搭載しない

α7Cは、APS-Cミラーレスのα6600のように電子ビューファインダーをボディ左隅に搭載することで、ボディ内手ブレ補正機構を搭載したレンズ交換式のフルサイズカメラとしては世界最小最軽量に仕上げたのが特徴。フルサイズミラーレスのα7 III比では、本体重量は141gダウン(重量比78%)、体積比は81%にまで小型軽量化しています。α6600比では、重量はわずか5gの増加(重量比101%)にとどめ、体積比も110%と1割ほどの増加にとどめています。「APS-C機のボディにフルサイズセンサーを詰め込んだ」といっても過言ではないでしょう。

  • α7 III(右)と比べると、α7C(左)のコンパクトさが分かる

  • それぞれのキットモデルに付属する標準ズームレンズを装着した状態だと、大きさの違いは一目瞭然だ

  • APS-Cセンサー搭載の「α6400」(左)とα7C(右)を並べたところ。本体サイズはα7Cがひとまわりほど大きい

  • 両者を比較すると、厚みが増しているのが分かる

  • 横から見ると、厚みの変化が見て取れる

  • センサーサイズの違いは圧倒的。手ぶれ補正機構付きでフルサイズセンサーをこのサイズに詰め込んだのは驚かされる

小型軽量化に貢献したのが、耐久性や剛性を確保しながら小型軽量化が図れるモノコック構造のマグネシウム合金製ボディを採用したこと、α7Cの本体サイズに合わせて新規開発した5軸手ブレ補正ユニット、同じく新規開発したシャッターユニットの存在が大きいとしています。

  • ボディは、モノコック構造のマグネシウム合金製ボディをおごる

  • バッテリーはα7 IIIと同じ大型タイプを採用する

  • メモリーカードスロットや端子類は左側面に配置する。メモリーカードはSDカードのシングルスロットとなる

装備面では、Vlog(ビデオブログ)の自分撮りを意識した改良が目立ちます。背面液晶は、ミラーレスαでは初めて背面液晶をバリアングル式を採用。動画撮影ボタンは、自分撮りの際にも操作しやすいよう、天面のの押しやすい位置に大型ボタンを配置しています。音声収録は、マルチインターフェースシューのデジタルオーディオインターフェースに対応するほか、本体側面にヘッドホン&マイク端子を搭載しています。動画は、縦位置での記録にも対応し、編集で縦位置に回転させる必要がなくなりました。

  • ミラーレスαでは初のバリアングル液晶を採用。Vlogでの自撮りを意識した装備だ

  • シャッターボタンの後方に大きな動画ボタンが配置され、手探りでも操作できるよう工夫している

  • Bluetooth接続のグリップ「GP-VPT2BT」やショットガンマイクロホン「ECM-B1M」に対応する

オートフォーカスはα7 IIIから一部強化しています。693点の位相差AFは変わりませんが、ピントを合わせた被写体を食らいつくように食いつくリアルタイムトラッキングAFに対応したのがポイントです。リアルタイム瞳AFや暗所のAF性能もα7 IIIから改善されました。連写は、AF/AE追従時で最高10コマ/秒と、α7 IIIと同水準に仕上げていますが、連写のバッファーは約223枚に増加しています。