プレゼンテーションには、聞き手に何らかのアクションや意思決定をしてもらいたいという目的があります。その目的を果たすために基本のフレームワークを用いてプレゼンテーションを行うことで説明がスムーズにでき、聞き手にアクションを促すことことが可能となります。
プレゼンテーションを構成する基本的なフレームワークとともに、本記事では資料作りのポイントも解説します。
プレゼンテーションの目的と目標
プレゼンテーションのゴール設計
まずは、プレゼンテーションの目的を明確化しましょう。
プレゼンテーションのゴールは聞き手に行動してもらうことです。そのためには、論理的な構成や、数字を用いた理由付けも必要になります。
もちろん、デザインも大事な要素ではありますが、どんなにビジュアルに優れていても聞き手が行動をおこす動機にならない限り、良いプレゼンテーションであるとは言えません。
プレゼンテーションの目標
プレゼンテーションの目的を果たすために、3つの目標を設定しましょう。
目標の1つ目は、聞き手がプレゼンテーションの内容を理解できることです。プレゼンテーションを聞いた後に、聞き手がそもそも話し手の伝えたいことが理解できない状態では、聞き手はその後の行動を起こすことはありません。
目標の2つ目は、聞き手がプレゼンテーションの内容に納得できることです。理解と納得では、聞き手の受け取り方に違いがあります。“納得している状態”とは、単なる理解に比べて、話し手の伝えたいことが腹落ちしている状態であるため、より次の行動につながりやすくなります。
目標の3つ目は、聞き手がプレゼンテーションの内容をもとに実際に行動できることです。理解をし、納得ができ、実際に何をすべきかが明確にわかった状態で、はじめて聞き手は行動を起こすようになります。
プレゼンテーションを構成するフレームワーク
フレーム1 : PREP法
PREP法とは、Point(結論) Reason(理由) Exanple(例) Point(結論)の頭文字をとったものであり、分かりやすく説得力の高いプレゼンテーションを行うのに有効なフレームワークです。
具体的には、はずはじめに一番伝えたい「Point(結論)」を示し、その後「Reason(理由)」を説明し、理由の根拠を具体的な「Exanple(例)」を交えて説明し、最後にもう一度「Point(結論)」を示すという構成です。
フレーム2 : DESC法
DESC法とは、Describe(描写) Express(表現) Suggest(提案) Consequence(結果)の頭文字をとったもので、この方法によりプレゼンテーションを行うことで、課題に対する解決策の提案がスムーズに説明でき、かつ問題解決につなげることができます。
具体的には、課題に対する現状を事実に基づいて説明し、主観的な意見や問題点を説明し、問題点に関する解決策を提案し、提案が実現可否の時の結果を説明するという構成です。
フレーム3 : SDS法
SDS法とは、Summary(要約) Detail(詳細) Summary(再び要約)の頭文字をとったもので、伝えたい大切な要点を強調して伝えるのに有効な方法です。
この方法によるプレゼンテーションの流れは、「Summary(概要)」を伝え、「Detail(詳細な情報)」を示し、「Summary(全体的なまとめ)」を行うというシンプルな構成になっています。
フレーム4 : FABE分析
FABEは、Feature(特徴) Advantage(優位性) Benefit(顧客便益) Evidence(証拠)の頭文字をとったもので、セールスや販売などを行う際によく使われる方法です。
この方法によるプレゼンテーションの流れは、客観的事実に従い商品やサービスの「Feature(特徴)」を伝え、その「Advantage(優位性)」を説明し、どのような「Benefit(顧客便益)」があるのかを伝えて、データなどの「Evidence(証拠)」を用いて証明して顧客に信用や安心を与えるという構成になっています。
フレーム5 : TAPS
TAPSとは、To be(あるべき姿) As is(現状) Problem(問題) Solution(解決策)の頭文字をとったもので、目的や問題の意識をはっきりさせて解決していく際に有効な方法です。
この方法によるプレゼンテーションの流れは、聞き手の「To be(あるべき姿)」を伝え、「As is(現状)」を明確にし、理想と現状のギャップから「Problem(問題)」を明確にして、S(Solution)問題を解決する具体的な「Solution(解決策)」を提案するという構成になっています。
フレーム6 : AIDMA
AIDMAとは、Attention(注意喚起) Interest(興味) Desire(欲求) Memory(記憶) Action(行動)の頭文字をとったものです。
この方法によるプレゼンテーションの流れは、「Attention(注意喚起)」広告などで知らせて注意をひき、「Interest(興味)」を持ってもらい、「Desire(欲求)」)欲求をもってもらい、「Memory(記憶)」記憶に残し、「Action(行動)」行動に移してもらうという構成になっています。
プレゼンテーション作成のコツ
いきなりパワーポイントでプレゼンテーション資料を作り始めない
パワーポイントではじめに資料を作り始めてしまうと、デザインに集中し本論を忘れてしまうことになりかねません。パワーポイントはあくまで伝えるためのツールに過ぎず、伝える内容の論理構成や理由が大切です。
まずは、5W2Hを書き出す
自分の頭を整理するために、アイデアの5W2Hを紙に書いてみましょう。 5W2Hを書くことで、その後のストーリーラインを構成する際の材料にもなります。
Why | なぜそのアイデアが必要なのか |
What | どんなアイデアを提案するのか |
Where | どこでアイデアを実施するのか |
When | いつアイデアを実施するのか |
Who | 誰が実施するのか |
How | どのようにアイデアを実現するのか |
How Much | いくらの予算で実施するのか |
「空・雨・傘」でストーリーラインを組み立てる
ビジネスにおけるプレゼンテーションは問題解決のための提案が多いでしょう。問題解決には、「空・雨。傘」というストーリーラインを活用して組み立てるとよいでしょう。
「空に雲が多い」という事実から、「雨が降りそうだ」という解釈を行い、「傘を持っていこう」という行動を起こすという流れです。
空雨傘とは、事実から、解釈という意見を抽出し、その後解決策である行動を考えるということになります。
プレゼンテーションを行う際の話し方のポイント{#ID4}
数字を使う
具体的な数字を使って説明することで、より説得力のあるプレゼンテーションになります。
例えば、「今日はとても暑いです」というよりも「今日は気温35度を超えており、とても暑いです」と言ったほうが、どのくらい暑いかが聞き手に伝わるのです。
印象に残る言葉を選ぶ
プレゼンテーションでは、印象に残る言葉を引用することで聞き手に伝わりやすくなります。自分の言いたいことをサポートするのに著名人の言葉を利用することで信憑性が上がる効果も期待できます。
強弱を意識する
プレゼンテーションをする際、強弱をつけて話すことで聞き手の興味を引くことが可能です。
重要な部分は大きくゆっくりと説明し、重要ではない部分はさらさらっと説明するという風にアクセントを使い分けます。大きくゆっくり話すことで聞き手に重要なことの印象づけができ、ただ淡々と話すよりは効果的です。
プレゼンテーションを成功させよう
聞き手に行動を起こさせるプレゼンテーションをするためには、聞き手が納得する論理構成と理由、そしてアクションプランが必要です。
話し手は、自身が伝えたいことをただ説明することは避け、フレームワークを活用しわかりやすく、時には声の強弱も意識し聞き手に訴えかけることが大切になります。プレゼンテーションの上達には、打席に数多く立つことが必要です。本記事で解説した内容をもとに、挑戦を続けてみてください。