新型コロナウイルス対策として、急速に普及したテレワーク。最近では、オフィス勤務とテレワークを組み合わせたハイブリッドな働き方も出てきているようです。

とはいえ、これは自分の業務を十分理解できたり、経験が豊富だったりする社員に当てはまるもので、新卒入社して働き始めた新人の場合は少し違うでしょう。

例えば、気軽に仕事のやり方や進め方を周囲に聞けないケース、オンラインだけのコミュニケーションによる上司から部下へのケア不足なども目立つようです。

そんな中、「新卒で入社したら、リモートワークでつらかった」というツイートに注目が集まっていました。

  • テレワークのつらさとは? ※画像はイメ―ジ

投稿した、ゆりち(@asacacoe)さんは、キャリアアドバイザーとしてあるベンチャー企業に入社しましたが、そこはフルリモート勤務。コロナ禍で急遽導入されたこと、マネジメントを組織でなく個人に委ねていたこともあってか、新人のゆりちさんは「コミュニケーション」に不安を感じることが多かったようです。

新卒でリモートスタート、すごく辛かった。発言できるレベルもタイミングも分からない。文字でいただくご指摘は、表情も口調も見えないから刺されたようにきつかった。お仕事続けている方は伝えづらいと思うから、フリーになった私から。部署にいる新卒メンバーに、ほんの少し心を配ってあげてほしい。
(@asacacoe)より引用

この切実な訴えに、「転職組も同じくなので、共感しました。これから入ってくる方には、僕たち目線で感じた事、感じないように教える、携わる必要があると思っています」「新卒ではないですが、未経験で6月から初めてリモートで案件に着手した者です。。研修とは全く違う緊張感で、何をしているか全く分からず、アラートを出そうにもなかなか出せない。。そして帰ってくるレビューも中々に冷たい。。ゆりちさんのツイート見て、俺だけじゃないんだなぁって分かりました」「私の部署にも優秀でかわいい新入社員が入ってきました。今日から改めて心配りします」「新卒メンバーに声をかけてあげることって大切ですよね。本人は成長してるかどうか分からないので、できてることを伝えてあげてほしいですよね」など、多くの共感のコメントが寄せられていました。

テレワークのコミュニケーション問題

以前いた会社で頑張っている同期たちへ、周囲はもう少しサポートの手を差し伸べてほしいという、ゆりちさんに当時の様子について伺いました。

――フルリモート勤務で特に苦労したことはなんでしょうか。

ゆりちさん: 元々インターンをしていたのですが、入社したら別業務の部署へ配属されました。他の同期は最初からそこでインターンをしていたメンバーで初めから経験面で大きな差があったうえ、リモートのため、ちょっとしたことを聞くことも憚られる状態でした。

周囲の業務スピードについていけず、「同期との差」が気になるゆりちさん、先輩に相談すると、「受け止め方に問題があるのでは?」と返されて、むしろ自分をもっと追い込むようなマインドになってしまったと言います。

ゆりちさん: アピール下手ということもあり、自分の努力がうまく伝わらず、勤務中に涙が出てくることもありました。リモート環境が孤独を強く感じさせたこともあるのでしょうね。

――上司は助けてくれなかったのでしょうか。

ゆりちさん: 入社時点でリモート勤務だったこともあり、当時の上司の人柄を知る機会がありませんでした。そのため、提出する日報に「伝え方が下手」とフィードバックされると、嫌われているのかな? と勘ぐることも……。

筆者の印象では、恐らくコミュニケーションタイプが「コントローラー」で、速度を優先するマネジメントだったのか? そうした点も、ゆりちさんには合わなかったかもしれません。

もちろん、信頼関係が構築できていれば、そうした部分も解消されたのでしょうが、不幸にもフルリモート勤務という状況が、それを許さなかった気がします。

――当時、どのような支援があれば良かったと思いますか。

ゆりちさん: 上司や教育担当の方がもう少し「伝え方」を意識してもらえれば違ったのかなと思います。当時の私には、「一方的な指導」「厳しいだけの言葉」としか見えませんでした。加えて、周囲のメンバーが「もう一言」声をかけてくれたら、異なる状況だったかもしれません。

最後は、朝起き上がれないほど体調が悪くなったそうですが、大学で臨床心理学を学んだので「不調の原因」に気付け、また、家族や友人の支えもあったので、通院して立ち直ることができたそうです。

それを機に会社を辞め、今は自分らしい働き方ができていると話すゆりちさん、当時は大変でしたが、会社でいろいろな気付きを得ることができて、感謝していると言います。

――改めて、テレワークの良い点、悪い点についてお教ください。

ゆりちさん: 良い点は「通勤時間がない」「いつでも、どこでも働ける」「従来のコミュニケーションやマネジメントの課題が顕在化し改善に向かえる」ことでしょうか。悪い点は「タイムマネジメントをしっかり行わないと長時間労働になる」「オンラインならではのマネジメントができないと、部下がリアル以上に疲弊する」ことですね。

インタビューの最後、「自分のように苦しんでいる新メンバーが、少しでも救われるようなきっかけになれば嬉しいです」と締めくくってくれました。


リモート中心に研修を受けた今年の新入社員たち、一番の不安は「(リアルと異なることからの)指導不足」と「人間関係の構築」でしょう。今回のケースのように、コミュニケーション面での課題から、「(自分に)関心を持ってもらえていない」「会社の役に立てていない」と新人が感じてしまうのは避けなければならないこと。

上司から、適切なタイミング、方法でメッセージを伝え、安心して業務に臨んでもらうことが大切ではないでしょうか。