やる気が出ないときや行動を起こしたいのに体が動かない。そんなときに役に立つのが、「5秒ルール」です。やりたいことをやり始める際に「5・4・3・2・1」とカウントダウンをして動き出す――という至極単純な作業です。

5秒ルールを実践していくと、物事を始めるのに躊躇する気持ちがなくなり、運命が次第に好転していくといわれています。

以下、5秒ルールの詳しい成り立ちやメリットについて紹介していきます。

提唱者はメル・ロビンス氏

5秒ルールの提唱者であるメル・ロビンス氏は、ミズーリ州カンザスシティ生まれで、ダートマス大学、ボストン大学ロースクールを経て弁護士になった人物です。

41歳の時、転職に失敗したメル・ロビンス氏は、夫の仕事もうまくいかなくなり、家庭生活が崩壊していったのだそう。失意の中で観た、テレビコマーシャルのロケット発射シーンから「5秒ルール」のアイデアが浮かんだ同氏は、それを実践することで人生が好転していったのだといいます。

How to stop screwing yourself over | Mel Robbins | TEDxSF (TEDx Talks)

5秒ルールのメリットは?

5秒ルールの利点は、やる気に関係なく体を動かせる点にあります。

5秒ルールを実践すると、「朝すぐに起きられるようになる」「スケジュールを難なくこなせる」「考えるより先に体が動く」といったさまざまなメリットを受けられます。

また、「行動する前に考えすぎて何もできないまま終わる」といったことを減らしてくれます。行動を起こすことで、生活や人生全般に目に見える変化が起こるのです。

5秒ルールが行動の変化に効果的な理由

5秒ルールが行動の変化に効果的なのは、脳が出す「制止命令」を止められるため。

ほとんどの人は、恐れや不安から身についた悪い習慣からくる行動パターンを繰り返しています。しかし、5秒ルールで自分を追い込むと、瞬間的に悪い行動パターンが外れ、自分がもっとも行わなければならない動きを始められるようになります。

脳の命令に5秒ルールが及ぼす影響を、以下から詳しく説明していきます。

脳の「自動運転」と「非常ブレーキ」とは?

脳には「自動運転」と「非常ブレーキ」があり、5秒ルールでこれらの命令を阻止できるのだそう。

人間のルーチンワークは、自動運転として脳にインプットされています。人間は、同じ行為を無意識に毎日行っているのです。しかし、脳はこれらのいつもの行動とは違うパターンを起こそうとすると、それを拒否します。それが脳の非常ブレーキ。これを打破するのが、5秒ルールというわけです。

5秒ルールの使い方

5秒ルールとは、何かを始めようと思いついた瞬間から「5、4、3、2、1」とカウントして、0になるまでにやってしまうという方法論です。

……と、ただ読んだだけでは、懐疑的に思われるかもしれません。子供に言い聞かせてるときのようなやり方ではありますが、この5秒ルールを繰り返し行っていくうちに生活の乱れが正されて、人生が好転していくというのです。

まずは簡単なことから始めるのがおすすめ

5秒ルールを体で理解するために、まずはとても簡単な内容から行うとよいでしょう。

朝、目が覚めたときには「5秒内にベッドから起きる」、出掛けたいときには「5秒以内に玄関に向かう」、勉強しなくてはいけないときは「5秒以内に机に向かって椅子に座る」など、何かを始めるための第一歩を5秒ルールで行ってみましょう。

始めの一歩が踏み出せれば、あとは体が自然に行動を起こせるように変化していくことでしょう。

5秒ルールが役立つシーン

毎日のルーチンワークに5秒ルールを持ち込むことで、成りたい自分になれるという得があります。

5秒ルールは生活や人生に変化を求めるときに役立ちます。脳の制止でできなかった良い習慣を、自然に自分の生活の中に取り込んでいけるからです。

理想の自分へと変化していくために5秒ルールをどのように利用していけばよいのかを、以下から例をあげてパターン別に紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

シーン1 : 行動パターンの変化を求めるとき

たとえば、掃除が嫌いでも毎日玄関を掃く生活習慣が身についた、つまみ食いをする癖をやめられたなど、悪癖を中止して良い習慣を生活の中に取り入れられるのが5秒ルールです。

5秒ルールを実践していくうちに自分を客観視できるようになり、自身をセルフコントロールできるようになれば、理想的な状態です。意識的な行動ができる人間は他人との意思疎通が上手なので、人間関係が豊かになっていく可能性があるからです。

シーン2 : 新しいことをはじめるとき

新しい何かを始めたければ、5秒ルールを利用して勇気を出して一歩踏み出しましょう。

職場で自分の意見を発する・新しいプロジェクトを提案するなど、未知の分野へ挑戦する際に5秒ルールを使って、とにかくやってみるという行動パターンが大切だからです。

何事も始めてみなければわかりません。始めの一歩を踏み出す勇気を、5秒ルールが与えてくれます。

5秒ルールを使うときの2つのポイント

5秒ルールを使いこなすためには、まずは日常生活の中に5秒ルールを取り入れていく必要があります。3カ月を目安に、辛くない範囲で、成功体験を積んでいくといいでしょう。

以下、5秒ルールを使うときの2つのポイントを紹介します。

ポイント1 : 気分が乗らないときは楽しいことを考える

5秒ルールをやりたくても気分が乗らないときは、楽しいことを思い浮かべて気分を盛り上げてから行動を起こすようにしましょう。

5秒ルールにとらわれて、やりたくない行動を繰り返し、うんざりとした気分に陥るのは良くないパターンです。5秒ルールは喜びの中で実践していくものなのです。

ポイント2 : 自分を褒める癖をつける

5秒ルールを成功させた瞬間には、「いつもより早く起きたから早く出勤して業務を始められた。これで、仕事を納期までに終わらせられる。自分はなんてすごい人間なんだ」などと、自分を褒めて脳からドーパミンを出して、やる気をさらにアップさせていきましょう。

成功体験や喜びを自分の体に浸透させると、次もがんばろうという気持ちが強まります。「自分を褒める」ということを5秒ルールとセットでおこなうと効果的です。

5秒ルールと一緒にするとよい方法2選

5秒ルールと一緒に行うことで、より行動力が増す方法を、2つ紹介していきます。

方法1 : 2分ルール

2分以内に片付けられるタスクは、いますぐ実行するべきという定義が2分ルールです。

5秒ルールを使って短時間で終わる業務にすぐに取り掛かりながら、2分ルールを実践していきましょう。仕事がどんどん片付き、快適な生活習慣が身につきます。

方法2 : 普段の習慣を意識的に変える

意志力を鍛える意味で、普段、何気なくおこなっている悪い生活習慣を意識的に変えていきましょう。

仕事をするときに姿勢を正すだけでも、意志力が鍛えられます。自分では気づいていなかった悪しき習慣を良い方向へ向ける努力を、5秒ルールを応用しながら実行していきましょう。

5秒ルールを取り入れてみよう

いかがでしたか?

5秒ルールを取り入れて悪しき習慣を払底して、良い習慣へと変えていきましょう。特に、「どうしてもやる気が出ない」「生活を変えたいのにできない」と悩んでいる人におすすめの方法論です。

この記事を読み終えた今、是非、5秒ルールで新たなことに取り組んでみてはいかがでしょうか?

あなたが今やりたいこと、やるべきことはありますか? もし1つでも思いついたのならば、早速です。5秒ルールを試してみましょう。

さぁ、5、4、3、2、1……