誰しもが「もっと生活を良くしたい」「将来への貯金をしっかりしたい」と思うことでしょう。そのために「年収を上げる」というのは、選択肢のひとつです。

今回は、現在の年収が250万円の人の手取りはいくらなのか、控除される税金なども解説していきます。自分の生活レベルや将来のライフプランの見直しをして、お金に関する不安や悩みを解決できるポイントを探していきましょう。

  • 年収250万での生活

    年収250万の手取りや生活レベルについて解説します

年収250万の手取りと生活

まずは、年収が250万円の人の生活についてみていきましょう。

年収が250万円の人の割合は?

国税庁の「給与階級別給与所得者数・構成比(令和3年分)」の調査によると、年収が200万円~300万円の人の割合は全体で17.1%でした。およそ6人に1人の割合となります。男女別にすると男性が15.7% 、女性が19.3% という結果になりました。

年収250万円で実際にもらえる手取りはいくら?

250万円という年収から、さらに税金などが控除されるため、実際に使える額はより限られます。実際の手取り額はおおよそ200万円程度であり、月の手取り額になると17万円程となります。

一般企業でも、年収250万円の企業はボーナスがない場合もあります。会社員で年収250万円、かつフルタイムで働いた場合には、もらえる額は時給1000円のアルバイトとあまり変わりません。

給与所得から控除される税金の種類

給与所得とは、収入から非課税通勤手当を除く控除額を差し引いた金額のことです。給与所得の金額は、以下の計算式で算出することができます。

給与所得の金額 = 給与収入金額 - 給与所得控除額

業務形態により、会社が税金を負担してくれる場合と、自分で税金を支払う場合とがあります。自分で支払うケースでは、収入から住民税や国民健康保険料などが引かれることになります。どちらも決して安くはない値段なので、毎月の手取りから支払うのはかなりの負担でしょう。

所得控除には以下14種類があります。

社会保険料控除 健康保険料や厚生年金料、雇用保険料などを納めた場合に適用
医療費控除 医療費が一定額を超えた場合に適用
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済の掛金等を納めた場合に適用
雑損控除 災害や盗難などの損害を受けた場合に適用
生命保険料控除 生命保険料や介護保険料、個人年金保険料を納めた場合に適用
地震保険料控除 地震保険料を納めた場合に適用
寄付金控除 国や地方自治体、公益社団法人などへ寄付した場合に適用
配偶者控除 配偶者の合計所得が年間38万円以下※の場合に適用
※2020年分以降は48万円以下
配偶者特別控除 配偶者の合計所得が年間38~123万円以下※の場合
または配偶者控除の対象にならなかった配偶者がいる場合に適用
※2020年以降は48万~133万円以下
扶養控除 扶養親族がいる場合に適用
障がい者控除 本人・配偶者・扶養親族が障がい者に該当する場合に適用
寡婦(寡夫)控除 本人が寡婦または寡夫の場合に適用
勤労学生控除 一定水準以下の給与所得に該当する学生の場合に適用
基礎控除 2020年以降、合計所得が2,500万円以上の納税者の場合に一律で適用

所得税と同じように納める、前年の所得に対してかかる住民税は、居住している自治体によっては税率が異なる地方税です。

住民税の計算方法としては、給与所得の金額は所得税の計算と同額ですが、所得控除の金額に違いがあります。例えば、所得税が0円の場合でも住民税はかかることがありますので注意しましょう。

  • ライフプランを考える

    年収が250万円の人の割合や手取り額について解説しました

年収250万円の生活レベルは?

年収250万円ではどのような生活が見込めるのでしょうか?

貯金は可能か?

1か月の固定費として家賃・光熱費・食費・雑費・各種税金などで合わせて10万円程度の出費があります。残った金額からさらに流動費として通信費や衣服代、交際費なども生活には必要になるため、遊びにかけられるお金自体も少なく、貯金も難しくなります。

結婚はできる? 結婚後の人生設計は?

結婚、およびその後に訪れるライフイベントでは多くの費用がかかります。そうしたイベントのための費用を蓄えていられない状態で結婚をすると、引っ越しや出産といったタイミングで苦労してしまう可能性があります。

また、お金が足りなくて困ったときに、ローンを組めない……なんてこともあるかもしれません。ライフイベントは1度に多額の費用がかかるからこそ、いざというときにローンが組めないと困ってしまうでしょう。家庭を持ったときの備えが少ないと、思うような人生設計を立てることが難しくなるかもしれません。

家賃はどのくらいが適切?

年収250万で1人暮らしをする場合、節約をしたり、少なからずやりたいことを我慢したりする生活になってしまう場合もあります。家賃は、都市部では低い家賃でもワンルームで4~6万程度かかります。

一般的に、家賃は月給の3分の1と言われているため、手取り17万円の場合、家賃は5万前後が適当と言えるでしょう。地方では5万円で住める賃貸は多くありますが、都市部の場合は難しい場合も多いため、少々アクセスが悪い場所を選ぶか、可能ならば実家暮らしをするとよいでしょう。

  • 将来を見据えた仕事を考える

    年収250万円の生活レベルについて紹介しました

年収が250万円の職種とは

年収が250万円の人はどのような仕事をしているのでしょうか。国税庁の「業種別の平均給与」に記載されている職種のうち、平均給与でもっとも低かったのが「宿泊業、飲食サービス業」の251万円でした。ちなみに、次に低い業種としては、「農林水産・鉱業」(300万円)が載っています。

転職を考えるなら、今のうちに!

年収が250万円のままの生活を続けることが困難だと考える場合には、転職を検討してもよいでしょう。

年齢を重ねるごとに、必要なお金は増えていきます。生活を我慢してでもやるべき仕事であるかを自分自身の人生設計と合わせて見直す必要があるかもしれません。

また、老後の年金は、それまでの納税金額に合わせて支払われます。年金は国民年金と厚生年金から計算され、年収250万円の場合は年間もらえる金額は約140万円となります。

老後の家計を考えると、今のうちから年収を上げられるならば、上げておくに越したことはありません。

特に若いうちの転職であれば、その時点での能力値ではなく、今後のポテンシャルを評価されて採用されるケースもあります。未経験でも転職できる可能性もありますので、年収アップが見込める職業を選びやすいと言えるでしょう。

  • 生活レベルを上げるために

    仕事と人生設計の見直しを検討するのもよいでしょう

年収250万円の人がふるさと納税をする場合

税額控除の対象になるとして人気のふるさと納税ですが、年収が高い人のみが得すると思っている人もいるでしょう。ふるさと納税とは、故郷など応援したい自治体に寄付ができる制度のことで、収入を少しでも増やしたいという人におすすめの節税対策です。

ふるさと納税を申請すると、地域の名産品など返礼品をもらえると同時に、寄付金のうち2,000円を超える部分に所得税の還付や住民税の控除が受けられる仕組みになっています。

したがって、申請する場合は控除上限額を計算した上で2,000円を超える額を納税する必要がありますので、ふるさと納税を行う際は注意しましょう。

  • ふるさと納税は収入を少しでも増やしたい人におすすめの節税対策です

年収250万円の人が生活レベルを上げるために

まずは、今の年収に対して将来迎えるライフステージに合わせた支出ができるかを考えてみましょう。生活が苦しくなるかもしれないと思うのであれば、転職を視野に入れてもよいかもしれません。

今までの経験を生かして収入を上げることは難しいことではありません。やりたい仕事と適切な収入が見込める企業に転職をすれば、今までの生活レベルからよりよい暮らしに変えていけます。

転職についての不安がある場合は、自分1人の力だけでなく、転職サイトやエージェントなどを利用しながら、収入の上がる仕事を目指してみるといいでしょう。