ローランドが1988年に発売し、パソコンを使った音楽制作普及に貢献したデスクトップミュージックシステム「ミュージくん」が、国立科学博物館の2020年度「重要科学技術史資料（愛称：未来技術遺産）」に登録された。

  • ミュージくん

国立科学博物館の産業技術史資料情報センターでは2008年度より、日本国内の科学技術史において「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、「重要科学技術史資料」として登録を行っている。

ローランドの製品では、2019年度にリズムマシン「TR-808」が登録され、今回の「ミュージくん」はそれに続くものとなる。

1988年に発売された「ミュージくん」は、同社の音源などのハードウェアと音楽制作用ソフトウェアをセットにしたバンドリング商品としての第一号モデルである。同製品の登場で、従来、楽器の演奏技術や音楽知識が必要とされた作曲を、パソコンの画面上で容易に行えるようになった。

同社によれば、今回の登録に際しては、音楽の演奏情報をデータ化し、電子楽器やパソコン間で演奏情報を送受信できる「MIDI（Musical Instrument Digital Interface）」信号を利用して作曲や自動演奏を可能とし、現在では一般的となったパソコンでの音楽制作を、プロの音楽家からアマチュアまで幅広く普及させた点が評価されたとのこと。「ミュージくん」が広く利用されたことで、「デスクトップミュージック（DTM）」は、音楽制作用語として今日まで広く認知されるようになった。

「重要科学技術史資料」の登録証・記念盾授与式は、2020年9月15日（火）に国立科学博物館・日本館にて開催の予定。