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【この記事のエキスパート】
水辺の動植物専門ショップ「sensuous」代表:早坂 誠
東京渋谷の水草・観賞魚販売を中心とした店舗「sensuous」代表。
水草職人として、観賞魚業界を牽引するパイオニア的存在の一人。
独立後の2001年より水草を用いた作品を専門誌やインテリア誌に数多く発表しており、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に登場した海女カフェ水槽を始め多くのテレビ番組セットや企画展、各イベントなどでアクアリウム作品を手掛けている。
2016年6~7月にはEテレ「アクアリウムとテラリウム」の講師での出演、
2017年・18年では水草と観賞魚の企画展「グリーンアクアリウム展」でのディレクションを担当する。
都内専門学校(アクアリスト専攻)講師。観賞魚飼育管理士アドバンス・愛玩動物飼養管理士2級・ビオトープ計画管理士2級・ビオトープ施工管理士2級。著書「水草水槽のススメ」
金魚やめだか、熱帯魚などを飼育しているけれど、水の管理がたいへんで悩んでいる人もいるのではないでしょうか。飼育している生きものの種類や数、生活環境に合ったろ材を選ぶことで、キレイな水を維持することができます。本記事ではそんなろ材の選び方とおすすめ商品を紹介します。
ろ材とは? 選ぶときの注意点
ろ材とは、水をキレイにするためのろ過装置(フィルター)とよばれる機器の中に入れて使うもの。ろ材に水を通すことで、ゴミやフンなどを除去したり、毒性の強いアンモニアを分解する、ろ過バクテリアを発生させることができます。
生物ろ材や吸着ろ材などさまざまな種類のものがありますが、なかにはミネラルバランスや水質を調整してくれるものも。購入する前に特徴を確認し、自分の飼っている生きものに合っているかどうかをチェックしておきましょう。
また、フィルターの形状や種類によっては取りつけができないろ材も多くありますので、手持ちのフィルターでつかえるかどうかも必ず確認してください。
ろ材の交換時期は?
ろ材は消耗品ですから、適切なタイミングで交換する必要があります。ただ、交換時期はろ材の種類によって異なるので注意しましょう。
生物ろ材は、ろ材が崩れてきたり、phの緩衝作用が弱まってきたりしたら換え時です。物理ろ材のうち、目の粗いものは1年程度、目の細かなものは半年程度が交換の目安と言えます。
化学ろ材・吸着ろ材のうち、活性炭が素材のろ材は数ヶ月程度、ゼオライトが素材のろ材は塩水で洗ってお手入れすればそのまま再利用が可能です。
各商品に交換時期の目安が記載されているはずなので、基本的にはそれを参考にして判断するようにしましょう。
種類・素材・形状
ろ材の選び方
ろ材は、単独の商品を使うよりも複数のものを組み合わせて効果を発揮できることもよくあります。
自分の飼っている生きものにとって、どのろ材を組み合わせて使うといいのか悩んでしまいますよね。まずは、ろ材の選び方について詳しく説明します。ポイントは下記の3つです。
【1】種類
【2】素材
【3】形状
上記のポイントをおさえて、目的に合ったろ材を選びましょう。
【1】ろ材の種類で選ぶ
ろ材には生物ろ材、物理ろ材、吸着ろ材の3種類と、複数のろ材を組み合わせた複合ろ材があります。
数種類を併用して使うことで、より効果を発揮しますが、素材によって耐久性や交換の時期も違います。購入する前にそれぞれの種類のろ材の特徴を知っておくと、今あるろ材と併用するにしても、新たに買いなおすにしても、なにかと便利です。
生物ろ材
生物ろ材は、ろ過バクテリアを定着させるためのもの。セラミックや麦飯石、サンゴ、プラスチック製などがあり表面が多孔質なのが特徴です。リング状やボール状など様々な形をしていて、ろ過バクテリアが住みつきやすくなっています。
ろ過バクテリアを住まわせるという特性上、頻繁に交換しなくても大丈夫ですが、月日が経ち汚れがたまってくるとバクテリアが住みにくくなるため、定期的交換が必要なものもあります。
なお、交換は一度に全部を交換すると、住みついているバクテリアをすべて除去してしまうことになります。一部の生物ろ材を定期的に交換していくことで、水質の変化をおさえることができます。
物理ろ材
物理ろ材は、ウールやプラスチックのスポンジ状になっているろ材。フンや植物の破片など、目に見えるごみを濾し取る役割があります。
目詰まりを起こすと汚れが取れなくなるうえに、ろ過バクテリアに酸素が供給されにくくなりろ過能力の機能が低下するのでこまめな交換や洗浄が必要です。
吸着ろ材
竹炭や活性炭、ゼオライトが材料のろ材。表面に小さな穴がたくさん空いていて、その穴のなかに汚れを吸着するので吸着ろ材と呼ばれています。
生物ろ材と似た構造ではありますが、アンモニアなどを分解する効果はありません。単体での使用というよりは、ほかの種類のろ材と組み合わせて使うことで効果を発揮します。交換の目安は、だいたい1カ月ほどのものが多いです。
複合ろ材
物理ろ材や生物ろ材、吸着ろ材が組み合わさったタイプのろ材を複合ろ材といいます。
複数のろ材をひとつずつ選んで購入したりセットする手間が省けるので、なにを選んだらいいのか迷っている人や初心者に向いています。
【2】ろ材の素材で選ぶ
ろ材の種類によって素材は違いますが、なかには水質を変化させてしまう素材も。素材について知っておくことで急激な変化をふせぐことができたり、自分の飼っている生きものに合ったろ材を選ぶことができます。
ここでは、ろ材に使われている代表的な素材について詳しく説明します。
セラミック(生物ろ材)
生物ろ材のなかでは一番多く生産されていて、価格も比較的安価な素材です。表面が多孔質で小さな穴が無数にあいていてバクテリアが住みやすくなっているのが特徴。
形状は目詰まりしにくいリング型やボール型になっているものが多いです。
麦飯石(生物ろ材)
麦飯をあつめたような米粒状の結晶がついている石です。表面が多孔質でろ過バクテリアが住みつきやすくなっているのにプラスして、魚やろ過バクテリアが生きていくために必要不可欠なミネラルを溶出します。
生きものの水づくりに使われるほかにも、ミネラルウォーターの製造や、農業分野での水質改善にもつかわれています。
ゼオライト(生物ろ材・吸着ろ材)
天然の鉱物で、生きものに悪影響を及ぼす水中のアンモニアを吸着できる唯一の素材。水に入れるとイオン交換作用で軟水にします。アルカリ性に傾ける性質もあるので、弱酸性を好む水草や熱帯魚には少々注意が必要。
ただし、ナトリウムが大量に含まれている海水に使ってしまうと、吸着しているアンモニアを放出してしまいます。淡水でのみ利用するのが望ましいです。
ウールスポンジ・ポリエステルスポンジ(物理ろ材)
ウールやポリエステルの繊維でできたスポンジ。繊維が水のなかに漂うフンやゴミを濾して、目に見える汚れを取り除きます。
素材のなかではとくに安価で手に入れやすい反面、汚れがたまると目詰まりするため頻繁に交換する必要があります。
竹炭・活性炭(吸着ろ材)
超多孔質で多くのろ過バクテリアが定着しやすいうえに、濁りや臭素、塩素などを吸着する効果があります。病気用の薬の成分も吸着してしまうため、お薬を入れるときは注意しましょう。
また、炭は水中においてはアンモニアは吸着しないといわれています。生物ろ材との併用が望ましいです。
【3】ろ材の形状で選ぶ
ろ材の形状は、生物ろ材の場合はリング型のものやボール状のものが多いです。また、物理ろ材はマットタイプをはじめ、水の吸い込み口であるストレーナーに取りつけるために円柱状になっているものがあります。
ろ材の形が違うだけで、特徴や性能も異なります。
リング形状のろ材
小さなリング状になっているろ材で、おもに生物ろ材で多く採用されています。表面が多孔質でろ過バクテリアが定着しやすく、ほかの形状のろ材にくらべて水通しがよいのが特徴。
セラミックや麦飯石でできているものが多いです。
ボール、ペレット状のろ材
表面が多孔質セラミックでできているものが多いボール型のろ材。なかにはプラスチックボールの中にろ過用のスポンジが組み込まれて、生物ろ材と物理ろ材を兼ねているものもあります。
また、ペレット状のろ材は、活性炭などの吸着ろ材に多く採用されています。
マットタイプのろ材
ウールやプラスチックのスポンジタイプは、マットタイプになっているものが多いです。
上部フィルターの中にそのまま取りつけられるものが多く、手持ちのフィルターに合わせてハサミやカッターで、好きな大きさや形に切ってつかえるものもあります。
ストレーナーに取りつけるタイプのろ材
フィルターの水吸い込み口に取りつけるタイプの円柱型ろ材。プラスチックのスポンジでできているものが多いです。
繊維が荒いことが多く、目に見える汚れをフィルターが吸い込む手前で事前にろ過します。目詰まりしやすいので、こまめに洗う必要が。
水辺の動植物専門ショップ「sensuous」代表からのアドバイス
目に見えない汚れをしっかり分解できるものを
【エキスパートのコメント】
フィルターの役割で最も重要なことは目に見える不純物を濾しとる役割はもちろんですが、それ以上に「微生物の力で目に見えない汚れを分解して無害化すること」です。
そのために、微生物が繁殖するためのろ材はしっかりとしたものを選びたいものです。