ディーアンドエムホールディングスは、デノン創立110周年を記念した4製品を10月上旬より順次発売する。8K対応AVアンプ「AVC-A110」の価格は税別68万円。本体カラーはすべて、110周年記念モデル専用のグラファイト・シルバーを採用している。
デノン創立110周年記念モデルの発売時期 / 価格(税別)
- 8K対応13.2ch AVアンプ「AVC-A110」:10月上旬 / 68万円
- プリメインアンプ「PMA-A110」:10月上旬 / 33万円
- SACD/CDプレーヤー「DCD-A110」:10月上旬 / 28万円
- MC型カートリッジ「DL-A110」:11月上旬 / 62,000円
デノンは同社Webサイトに「110」の数字と新製品シルエットのみで構成したティザーページを8月に開設し、9月8日に向けたカウントダウン表示を行っていた。今回、これらが正式にお披露目されたかたちだ。
8K対応13.2ch AVアンプ「AVC-A110」
デノン創立110周年の節目を迎えるにあたり、今持てる技術とノウハウの全てを投入。AVアンプのフラッグシップモデル「AVC-X8500H」を超えるパフォーマンスの実現を目標に開発した。
8K対応AVアンプ「AVR-X6700H/X4700H」(既報)と同様に8K/60p、4K/120pまでの映像のパススルーが可能なHDMI入出力を備えており、HDMI 8入力/3出力のうち、HDMI 7がこれらの映像の入力に、モニター1/2の2系統が出力に対応する。幅広いHDRフォーマットもサポートし、「映像も音声もかつてないクオリティで楽しめる」とする。
最大出力260Wの13chモノリス・コンストラクション・パワーアンプを搭載。AVC-X8500Hの開発時に、開発期間やパーツのコストなど、さまざまな要因により採用されなかった高音質化のためのアイデアを全て見直し、サウンドマネージャーの感性に基づいて再構築。本体から基板部品まで、新たに開発、採用されたパーツは数百点にも及ぶという。これにより「どこまでも広がる雄大なスケール感と手を伸ばせば触れられそうな音像の密度感」を獲得し、サウンドマネージャーに「もはや別次元」と言わせるサウンドを実現した。
新4K/8K衛星放送で使用されている音声フォーマット、MPEG-4 AAC(ステレオ/5.1ch)のデコードに新対応。4Kや8Kのサラウンド放送が楽しめる。また、Dolby Atmos、DTS:Xに対応し、頭上も含む全方位に展開する自然な音響空間を再現できるという。
バーチャル3Dサラウンドテクノロジーの「Dolby Atmos Height Virtualizer」と「DTS Virtual:X」、自然で臨場感豊かな3Dサウンドが楽しめる「Auro-3D」や、IMAXシアターの体験をホームシアターで再現する「IMAX Enhanced」もサポートする。
プリメインアンプ「PMA-A110」
デノンHi-Fiアンプ伝統の大電流素子 UHC(Ultra High Current)-MOSと、最新のアンプ設計技術を融合。同社のサウンドフィロソフィー「Vivid & Spacious」を具現化したリファレンスモデル「SX1 LIMITED」からカスタムパーツや高音質パーツを受け継ぎ、サウンドマネージャーによる徹底したサウンドチューニングを施したという。
ステレオDACチップ「PCM1795」を左右チャンネルにそれぞれ2基(4ch)ずつ採用し、デノンの最新アナログ波形再生技術「Ultra AL32 Processing」も装備。デジタル録音時に失われたデータを高い精度で復元し、「歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域など原音に忠実な再生を実現する」という。また、2つの超低ジッタークロック発振器(44.1kHz系 / 48kHz系)を備え、ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えることでジッターを抑制するなど、高音質を追求した設計となっている。
本体はSX1 LIMITED譲りのアルミ製トップカバーとフットを採用。前面には高精度な電子ボリュームコントロールなどを配置している。背面にはアナログ入出力のほか、USB-Bなどのデジタル入力も備え、PCなどと接続して11.2 MHzまでのDSDと384kHz/32bitまでのPCM再生が可能。スピーカーターミナルは経年劣化を防ぐ金メッキを施しており、大型のYラグやバナナプラグに対応する。
SACD/CDプレーヤー「DCD-A110」
デノン独自の「Ultra AL32 Processing」を採用し、「かつてない水準でのアナログ波形の再現、原音の再生が可能」というSACDプレーヤー。ディスクは音楽CDやSACDに加え、データディスク再生も可能。DVD±R/±RWに記録した5.6 MHzまでのDSDファイルや192kHz/24bitまでのPCMファイルを再生できる。
ディスクドライブには、上位モデルから受け継いだ「Advanced S.V.H.(Suppress Vibration Hybrid)Mechanism」を搭載。信号経路を極力短くし、回路を小型化することで、余分な電流やノイズを発生させない設計とした。本体にはアルミ製トップカバーとフットなどを採用し、独自の制振構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」でディスクの回転による内部振動と外部からの振動の影響を抑制する。
DA変換回路には、1chあたり2基、合計4基の差動電流出力型D/Aコンバーターを用いたQuad-DAC構成を採用。さらに、DAC出力以降のアナログオーディオ回路をフルディスクリート化し、SX1 LIMITED譲りの高音質パーツとカスタムパーツを贅沢に使用したサウンドチューニングを行った。出力は、アナログのアンバランス×1と、同軸デジタル×1、光デジタル×1。
MC型カートリッジ「DL-A110」
半世紀以上にわたり放送業界で採用されてきたスタンダード・カートリッジ「DL-103」の110周年記念バージョン。DL-103のカートリッジはそのままに、性能を100%引き出すことを目指して開発された専用設計のヘッドシェルを組み合わせた特別仕様となる。
出力電圧は0.3mV(1kHz、50mm/s)。針圧は2.5g±0.3g。インピーダンスは40Ω±20%で、負荷抵抗は100Ω以上(トランス使用の場合40Ω)。再生周波数帯域は20Hz~45kHz。チャンネルセパレーションは25dB以上(1kHz)。特別仕様の110周年記念ロゴプレート付きの収納ケースとヘッドシェルと同色の針先清掃用ブラシが付属する。
なお、DL-103は1963年(昭和38年)にNHKがFMステレオの実験放送を開始するにあたり、放送機器として要求される厳しい仕様を満たすカートリッジとして、デノンがNHKの協力を得て開発したもの。以来、放送局用のスタンダード・カートリッジとなり、自宅の再生システムでも使用したいというオーディオファンの声に応えて1970年にコンシューマ向けに発売。現在も福島県にある自社工場「白河オーディオワークス」において厳格な品質管理の下で一つ一つ手作業で作られているという。