シンガーソングライターの竹原ピストルと女優の高畑充希が、福島中央テレビ開局50周年記念ドラマ(タイトル未定、10月30日放送)にW主演することが8日、明らかになった。

竹原ピストル(左)と高畑充希=福島中央テレビ提供

同局は、16年に開局以来初の自社制作オリジナルドラマ『タチアオイの咲く頃に~会津の結婚~』を放送。全国30局で放送され、17年度の日本民間放送連盟賞テレビドラマ番組部門で優秀賞を受賞した。

そして今回、前作と同じくタナダユキ氏が監督・脚本を務めるオリジナルドラマを制作。東日本大震災後に起きた様々な出来事を取材し、たくさんの人たちとの出会いの中から、心に残ったエピソードを集め、タナダ監督自らも福島を訪れ、そこで見たもの、感じたことをひとつの物語に仕立てた。

竹原が演じるのは、夢破れた売れない映画監督・川島健二。生きる希望を失くしてさまよい歩き、「死ぬ前に好きだった映画でも観よう」と福島・南相馬市の古びた映画館・朝日座へとたどり着く。そこで働いていたのは、高畑演じる来場した客から入館料をくすねるモギリ嬢の茂木莉子だ。

ほかにも、朝日座の支配人役で柳家喬太郎、ドキュメンタリー映画監督役で小柳友、街人のご意見番役で六平直政、物語のカギを握る未亡人役で吉行和子が出演。朝日座に、引き寄せられるように集まってきた人々の“苦悩と再生”を描いていく。

朝日座は、南相馬市に実在する映画館。1923年の関東大震災の年に開館して以来、長く街の人々の暮らしと共にあり、数々の災禍でも消失をまぬかれ、東日本大震災では住民が集う心のよりどころとなった場所だ。この朝日座がある南相馬市をはじめ、相馬市、富岡町、郡山市など、7月中旬から8月中旬にかけて、すべて福島県内で撮影された。

竹原、高畑、スタッフのコメントは、以下のとおり。

■竹原ピストル
東日本大震災は、ぼくはツアー先の福島県福島市で被災しました。
福島のライブハウスのスタッフさん、歌うたい仲間達、福島の皆さんに助けられて、無事に家に帰していただきました。以来、あのときの感謝の気持ちを伝え続けることができたらなと、こつこつと福島県に歌いに通わせていただいています。それもあり、福島県にはお世話になっているお店が沢山あり、仲間が沢山います。
この度、他でもなく福島県で撮影のこの作品に参加させていただけたこと、本当に嬉しく思っています。
福島県の皆さんへの感謝と、愛着を込めて精一杯取り組ませていただきました(いっぱいいっぱいだったけど!(笑)
スカッと気持ちよく晴れた青空を見上げたときのような、そんな余韻が残る素敵な作品になると思います。
皆様、是非ご覧下さい。
竹原ピストル こと 竹原和生
p.s. 南相馬の皆さん、また騎馬武者ロックフェスに出させてね~~!!

■高畑充希
私は今回の撮影で、数週間福島県に滞在しましたが、その中で、福島の“人の温かさ”に驚きました。
また、空がとても広く、気持ちよく撮影に臨めました。
舞台となる朝日座は、大正時代からの歴史を感じられる、レトロで雰囲気の良い、ついつい写真を撮りたくなってしまう、そんな場所です。
楽しくてクスリと笑えるドラマになっていますので、ご家族みんなで観ていただいて、観たあとは是非、ロケ地にも遊びに行ってみてください。福島の皆さんであればきっと、楽しい発見があると思います。

■タナダユキ監督
『タチアオイの咲く頃に~会津の結婚~』という福島発のドラマを制作したのが4年前。再び、福島発のオリジナルドラマを作ることになりました。前回、福島の人達の優しさや温かさに感銘を受けた身としては、こんなに嬉しいことはありませんでした。とはいえ、だからこそ、恥ずかしくないものを作らなければ、というプレッシャー。悩み、試行錯誤しながら、まるで何かに導かれるように朝日座という映画館と出会いました。キャストは、竹原ピストルさん×高畑充希さん×柳家喬太郎師匠!これ以上ないドリームキャストです。異種格闘技戦とも言えるようなこのコラボ。彼らでなければ紡げなかった、福島の、南相馬の、朝日座という映画館でしかやれなかった物語。どうか楽しみにお待ちください。今、私は苦しみながら絶賛編集作業中です!

■菅澤大一郎プロデューサー
2011年の大震災と原発事故により全世界から注目されるようになった福島では多くの人が避難を余儀なくされ、住み慣れた土地を離れていった一方、報道や復興支援などのために多くの人がやってくるようにもなりました。
私たちは地元のメディアとして日々取材をしている中で、そういった人々の喜怒哀楽に度々直面します。全国ニュースで報道される事は少なくなりましたが、福島の事を思い、見つめ続ける人は今も多くいます。そのひとりであるタナダユキ監督に対し、私たちが日常で経験したこと、取材で出会ったエピソードなどをお伝えするミーティングを1年以上に渡って定期的に続けてきました。そんな福島に関わる人々の断片的なエピソードの数々をタナダ監督が生み出した個性溢れる登場人物たちに背負ってもらいひとつの物語が完成しました。
開局50周年を迎えた中テレが県民に贈るに相応しい、福島の皆さんが共感し、勇気や希望を得られる作品です。また、福島県のテレビ局として全国に発信したいメッセージでもあります。是非お楽しみください。

(C)福島中央テレビ