Microsoftは米国時間2020年8月20日、企業が事前検証を行うためのWindows 10 バージョン20H2を公開した。公式ブログによれば、Azure MarketplaceのWindows 10 Previewでも利用可能だという。

  • Windows 10 20H2(ビルド19042)

Windows Insider Programのチャネルは名称を変え、FastリングがDevチャネルに、Slowリングがベータチャネルになった。DevチャネルのWindows 10 Insider Previewは新機能を実装し、その効果を測定する実験的な立ち位置にある。ベータチャネルのWindows 10 Insider Previewは、次期メジャーアップデートを目指したベータ版だ。

本記事の執筆時点でDevチャネルはビルド20206、ベータチャネルはビルド19042と、その差は大きい。今回、ビルド19042.487をベータチャネルにとどまらず、リリースプレビューチャネルでも配付し始めたことを踏まえると、2020年秋ごろリリースといわれていた次期機能更新プログラム(Feature Updates)の登場も間もなくだろう。そこで、Windows 10 20H2の主な変更点を確認してみる。

新Microsoft Edgeのプリインストール

Windows Updateでも配付が始まった新Microsoft Edgeがプリインストールされ、EdgeHTMLベースの旧Microsoft Edgeの影はどこにもない。旧Microsoft Edgeは2021年3月9日にサポート終了を予定しているため、当然といえよう。

「Alt」+「Tab」キーのUIにEdgeが加わる

操作面では、新Microsoft Edgeで開いたWebページが、「Alt」+「Tab」キーを押した際に現れるクールスイッチに並ぶ機能が加わった。こちらは「設定」の「システム/マルチタスク」に並ぶ「AltキーとTabキー」で動作を変更できる。また、タスクバーにピン留めした新Microsoft EdgeやWebサイトのボタンにマウスオーバーすると、開いているタブすべてのサムネイルが表示されるようになった。

  • クールスイッチにWebページが加わる

スタートメニューのデザイン変更

先に示した図からも分かるように、アプリリストおよびタイルのデザインを変更し、背景色を統一している。Microsoftは以前からFluent Designを推し進めており、アイコンの再デザインなどを行っているが、今回の変更もその一環。「設定」の「個人用設定/色」に並ぶ「以下の画面にアクセント カラーを表示します」を有効にすると、選択したテーマ(のアクセントカラー)に沿って配色が変化するので、好みの配色を選んでほしい。

状況に応じて変化するタスクバー

この変更は未検証のため、筆者も十分に理解していないが、公式ブログによれば、AndroidデバイスやXbox接続時にタスクバーのUIが変化するようである。

  • 公式ブログから抜粋した画像。接続デバイスに応じてタスクバーが変化する

通知体験の改善

「集中モードがオンの間に見逃した通知の要約を表示する」の既定がオフに切り替わり、トースト通知のUI変更が加わるという。前者に関しては動作を確認しているが、後者は最新のWindows 10 バージョン2004でも実装済み。同じような変更点としてMicrosoftは、「設定」の「システム/詳細情報」に「コピー」ボタンを追加したと説明しているが、こちらもWindows 10 バージョン2004に同様の機能を展開している。

これらのほかにも、MDM(モバイルデバイス管理)の機能強化や、2in1 PCにおけるタッチ操作の改善、ディスプレイのリフレッシュレート変更などが加わるものの、安定動作の検証を終えた機能はWindows 10 バージョン2004にも適用済みだ。Windows 10 20H2は利用者にスムーズな更新をうながすため、大きな変更点はない。

  • Windows 10 バージョン2004(ビルド19041)でも、リフレッシュレートの変更機能は利用できる

最近、Windows 10 バージョン2004に不要なストレージの最適化をすすめるバグなど、安定性に欠ける場面がある。その昔、Windows OSは「サービスパックがリリースされて初めて使い物になる」と揶揄(やゆ)されたこと覚えている読者諸氏も少なくないだろう。それとは直接の関係はないだろうが、Windows 10 20H2は安定性を優先したメジャーアップデートとなる。