俳優の上川隆也主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『検事・佐方~恨みを刻む~』が、6日(21:00~22:54)に放送される。

第5作となる今作では、松下由樹や伊武雅刀らといったおなじみの俳優陣に加え、瀧本美織が佐方とバディを組む検察事務官・花岡尚子として出演する。上川は瀧本について、「毎日のように驚かされています」と語った。

さらに上川には、物語の見どころや、『検事・佐方』が長く視聴者から愛されている理由などについても聞いた。

■初共演・瀧本美織の印象は…

  • 左から上川隆也、瀧本美織  (写真:テレビ朝日提供)

    左から上川隆也、瀧本美織 -テレビ朝日提供

――まず今作の見どころを教えてください。

今回の物語は、麻薬取締法違反に抵触してしまった1人の女性から始まります。そこから、佐方がシリーズを通して貫き続けている「犯した罪は真っ当に裁かれなければいけない」という矜持のもと、事実を調べ重ねて、隠れた真実を浮き彫りにしていきます。これまでシリーズをご愛顧くださった方にとっても、また、これを初見として『検事・佐方』に接してくださる方にとっても、この作品の持ち味である「溜飲の下がるドラマ」を楽しんでいただけると思います。

――今作で新たに佐方のパートナー役を務める瀧本美織さんの印象はいかがですか。

ご一緒させていただくのは初めてなのですが、毎日のように驚かされています。瀧本さんは11歳からキャリアを積んでいらっしゃると現場の会話の中で教えていただきました。それだけ長くこの世界で仕事をされているにもかかわらず、目の当たりにするすべてを新鮮に受け取ってらっしゃるんです。

その驚き様やリアクションには、傍から観ていても嘘がありません。常に好奇心の絶えない目で周囲を見つめているその姿勢には、「本当に20年近く現場にいらっしゃるんですか?」と良い意味でお聞きしたくなるぐらい、純粋無垢なお人柄に日々感銘を覚えています。

  • 左から上川隆也、瀧本美織 =同

――そんな瀧本さん演じる尚子は、倉科カナさん、志田未来さん、本仮屋ユイカさん、水崎綾女さんが演じた歴代のパートナーと比べてどのような特徴や違いがありますか。

これまで知的な事務官もいましたし、ぶっきらぼうな佐方に屈しない芯の強さを持った事務官もいました。瀧本さんはそれらの人物像を無理なく、花岡尚子という1人の人間の中に織り込んでいる様にお見受けします。言うなれば4作描かれてきた佐方と行動を共にしてきた相方達の集大成というか、それぞれの要素を持ち合わせていると感じます。これは脚本に描かれているわけではありません。瀧本さんご自身が選び、表現されている人物像なんです。

僕も撮影を重ねる中で「こんな人と昔コンビを組んでいた」「こんな性格の人も傍らにいたことがある」と、花岡尚子を見ながらこれまでの作品を回顧していくような、そんな不思議な気分にさせられました。

■佐方貞人シリーズが長く愛されている理由

上川隆也 =同

――撮影中の共演者とのエピソードを教えてください。

レギュラーとしてこの作品に携わってくれているキャストの皆さんと会うと、とにかくホッとします。楽屋の廊下でお会いした瞬間や、お芝居で台詞を交わしている最中も、なぜかホッとするんです。それは、これまでの4作を通して紡いできた時間がなせる業なのかもしれません。

――佐方貞人シリーズが視聴者から長く愛されている理由は何だと思いますか。

やはり勧善懲悪の面白さがあるからではないでしょうか。不正を働いた人間がそれに見合った裁きを受ける姿に、溜飲の下がる思いを抱いてくださる視聴者の方が多いのかもしれません。

それは時が移ろおうとも変わらないものだと思います。かつて数多く作られていた時代劇などでは、悪をなした人物に対して主人公が正義の刃を振るうことで、お客様はカタルシスを感じていたわけですが、「佐方貞人シリーズ」は、それと同じような感覚を覚えていただける作品なのではと思います。

――そういった勧善懲悪ものの主人公として、佐方を演じることに手ごたえは感じますか。

自分が演じてどうというようなことは、むしろ、2の次、3の次になっています。視聴者の方にたどり着いていただきたい最終的な物語の出口へどのようにして誘うべきか、そのためにどのような存在であるべきか、という視点で佐方を見つめています。

――上川さんは、テレビ朝日系ドラマ『遺留捜査』で刑事・糸村聡を長年演じられています。佐方と糸村で、より自分に近いのはどちらですか。

どちらも遠いです。僕が東京にいるなら、それぞれ北海道と沖縄ぐらい遠い(笑)。自分の物の見方や考え方などを役柄に盛り込むことは、この2名に限らずまったくありません。なかでも佐方や糸村は『こんな風に物事を見てみたい』という憧れを抱いてしまうくらい、それぞれ思い切った造形で作っている人物だと言えます。

――最後に視聴者へのメッセージをお願いいたします。

今回、米崎市という街の中で起こる覚せい剤を発端とした1つの事件から物語が始まります。そこから意外な人物の意外な不正にたどり着いていくのですが、その過程の中で佐方が見せる、罪を徹底的に真っ当に裁いていく姿勢をご覧いただければと思います。

■テレビ朝日系ドラマ『検事・佐方~恨みを刻む~』(9月6日 21:00~22:54)
柚月裕子氏の同名短編集をドラマ化し、上川隆也演じるヤメ検弁護士・佐方貞人が事件の真相を明らかにしていく"佐方シリーズ"。第5弾となる今回、佐方が真相究明に挑むのは、ひとりの女性が逮捕された事件だ。ある目撃証言が事件発覚のきっかけとなったが、その証言に“小さな矛盾”を感じた佐方は補充捜査を開始する。佐方が抱いた些細な疑問から、事件は思わぬ方向へ。警察組織の深い闇が浮かび上がっていく。

■上川隆也
1965年生まれ、東京都出身。1995年にNHK70周年記念日中共同制作ドラマ『大地の子』で主役の「陸一心」役に抜てき。その後も、NHK大河ドラマ『功名が辻』、『エンジェル・ハート』(日本テレビ) 、『執事 西園寺の名推理』シリーズ(テレビ東京)、『ノーサイド・ゲーム』(TBS)などに出演。