電気代が今いくらになっているかは、日々の暮らしの中では見えにくいもの。月に一度の請求書を見て、「今月、こんなにかかったの!?」と驚いた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
電気代は節約が難しく思えますが、「家電の性能」「電気の契約プラン」などに注意をすることでかなり変わってきます。本稿では、電気代を見直したいときにチェックしたいポイントについてご紹介します。
電気代が高くなる原因とは?
電気代が高くなる原因として主に考えられるのは、下記の2点です。一つずつ詳しくみていきましょう。
1 契約アンペア数が大きすぎるプランを選んでいる
電気代は、「基本料金+使った電力量に応じた料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」(使った電力量×1kWhあたりの料金単価)で計算されており、基本料金や1kWhあたりの料金単価は契約プランによって異なります。
最も一般的なのは、東京電力などの大手電力会社が提供している「従量電灯」プランで、これは契約したアンペア数に応じて基本料金が決まり、1kWhあたりの料金単価は使用電力量に応じて決まる仕組みです。1kWhあたりの料金単価は使用する時間では変わらないので、夜に多く使おうが、朝に多く使おうが電気代は同じです。
一方、各電力会社では、個人のライフスタイルに合わせたプランも提供しています。例えば、東京電力の「夜トクプラン」は、夜間の電力が割安になるプランで、日中は外出が多く夜に家事をまとめて行う人に最適です。また、スマートテックが提供する「スマートでんき」の定額プランのように、月々契約した電力量まで定額で使い放題のプランもありますし、電気・ガスを一本化することで、割引が受けられるプランもあります。
電気の使用量は同じでも、どの契約プランを選ぶかによって電気代は変わってきます。ライフスタイルに合わない、契約アンペア数が大きすぎるプランを選んでいると、電気代が高くついている可能性が高いといえるでしょう。
2 消費電力の大きい家電を使っている
個人の家で電気の消費量が大きいのは、なんといっても家電です。 経済産業省・資源エネルギー庁の調査によると、家庭での電気使用量のトップは電気冷蔵庫で14.2%。2位は照明器具で13.4%、3位はテレビで8.9%、4位はエアコンで7.4%、5位は電気便座で3.7%と続きます(経済産業省・資源エネルギー庁「家庭における消費電力量のウエイト比較」)。 古い家電だと消費電力が大きく、その分だけ電気代も上がります。
電気代節約のポイントは?
電気代が高くなる原因は主に上記の2項目なので、電気代を抑えたいならまず、契約プランを見直すことがおすすめです。自分が一番電気を使う時間帯の電気代が割安のプランになっているのか、自分が使う電気量に対して、契約しているアンペア数が大きすぎないかなどをチェックして、ライフスタイルに合ったプランを選びましょう。
料金プランは電力会社によって違いますので、より適したプランがあるなら、契約する電力会社を変えることも選択肢に入ってきます。
さらに、家電の電気消費量を抑えるには、次のような方法もあります。
家電の使い方を工夫する
家電は毎日使う物なので、手軽な工夫でも毎日実践することで電気代の節約につながります。一人暮らしでも取り入れやすい、すぐにでもできる工夫をいくつか紹介しましょう。
エアコンは扇風機と同時に使う
エアコンは、電源を入れたときや設定や温度を変えたときに、特に電力を消費します。節電のためには、常に自動運転にして、扇風機といっしょに使うことをおすすめします。扇風機といっしょに使うと部屋の空気を循環させることができ、室内に均等な風が行き届くので、部屋の中での温度差がなくなり、効率よく温度調整が行えます。
温度の設定も消費電力と関係があり、冷房時に設定温度を1℃高くすると約13%、暖房時に設定温度を1℃低くすると約10%の節電ができます。ただし、我慢して体に悪影響が出ると意味がないので、無理のない範囲で設定しましょう。
洗濯はある程度まとめて回数を減らす
洗濯は、まとめて洗って回数を減らすことで節電につながります。スピードコースで洗える物は、スピードコースを使えば稼働時間が減る分、こちらも節電となります。
冷蔵庫は壁から少し離して設置する
冷蔵庫を壁にくっつけて設置すると熱がこもりやすくなり、冷却のために余計な電力が必要となります。冷蔵庫は壁から少し離して設置することをおすすめします。また、冷蔵庫にいっぱい詰め込んだり、ドアの開閉回数が多かったりすると、冷却効率が悪くなるので注意しましょう。
省エネ家電に買い替える
家電の省エネ性能は年々向上しており、製造日が10年も違えば消費電力は大きく違うため、家電の買い替えも電気代の節約になります。
経済産業省・資源エネルギー庁のウェブサイトから一部紹介すると、冷蔵庫(401~450L)の消費電力は、2007年時点では平均570~640kWh/年でしたが、2017年時点では290~320kWh/年と半減。液晶テレビ(32V型)では、2010年時点での81kWh/年から2017年では53kWh/年と、省エネ性能が高まっています。
支払い方法の変更が電気代節約につながる場合も
料金の支払い方法の変更も、電気代の節約につながる可能性があります。例えば、東京電力は電気代を口座引き落としで支払うと、毎月税込55円分が割引されます。ひと月にすれば微々たるものですが、1年、10年と長期で見ると、決して少ない額ではありません。
また、電気代をクレジットカードで支払うと、カード会社のポイント還元が受けられます。電力会社によっては、電気代の支払いでTポイントを貯められるところもあり、現金以外の形での節約につなげられます。
電気代節約のカギは省エネ家電
省エネ家電への切り替えや家電の使い方を工夫することにより、どれぐらいの節約効果があるのか、エアコンを例に詳しくご紹介しましょう。
経済産業省・資源エネルギー庁が2017年に作成した冊子「家庭の省エネ徹底ガイド」によると、エアコンの消費電力は2006年型が882kWh/年、2016年型が816kWh/年と10年間で7~8%減少しているので、買い替えによってまずこの分は確実に節電できます。
また、夏の冷房時に室温を28℃に設定した場合、27℃のときと比べて30.24kWh/年、金額にして約820円の節約となります。一日1時間冷房をつける時間を短縮すると、短縮しなかった場合に比べて18.78kWh/年、金額にして約510円の節約になります。
暖房時では、室温を20℃に設定した場合、21℃のときと比べて53.08kWh/年、金額にして約1,430円の節約につながります。一日1時間暖房をつける時間を短縮すると、短縮しなかった場合に比べ、40.73kWh/年、金額にして約1,100円の節約になるとされており、これら4つを実践するだけで、年間約3,860円の電気代を節約できる計算になります。
節約効果は年間数千円だとしても、ほかの家電でもそれぞれ節約が可能なことを考えれば、決して軽視できるものではありません。 固定費を削減できれば、その分貯金にもつながるので、ぜひ無理のない範囲で実践してみてください。
小さな工夫の積み重ねで電気代は節約できる
日常の一つひとつの工夫で節約できる電気代は微々たるものですが、それが毎日積み重なると大きな金額になります。 また、家電の買い替えや電気プランの見直しなどは、一度行えば、その後の電気代がずっと変わっていきます。この記事を参考に、ぜひ電気の使い方や契約プランを見直すきっかけにしてみてください。