独身でワンルーム暮らしの方が、今回のコロナの影響でリモートワークになったケースも多いのではないかと思います。そのままリモートワークが固定化された方、通常の勤務に戻った方、リモートと出勤が混然としている方など様々でしょう。また最近ではコロナに関係なくフリーランスなど、自宅で仕事をされている方も増えています。

狭いワンルームでの仕事は、出勤しないで済むため楽だと感じている方がいる一方で、ON・OFFの切り替えがしづらくストレスが溜まると感じる方もいるようです。このような状況は今回限りではないかもしれません。ちょっとした工夫で、自宅での快適な仕事とリラックスタイムを楽しめる方法を考えてみましょう。

  • ワンルーム住まいのワークスペースの作り方

会社員のワークスペース作りの場合

出勤をメインとする会社員であれば、原則として自宅に来客はなく、資料等もさほど多くはないでしょう。そのため、自分が仕事をする最小限のスペースとON・OFFを明確にする仕掛けだけを考えればよいと思います。

ワンルームで、仕事に集中できるワークスペースを作るには、ベッドとの間に下図のようなパーティション1枚でもあればかなり違うのでおすすめです。

パーティションのベッド側には寝室用品を、デスク側には文具等を掛けることができちょっとした収納にも使えます。また、市販のパイプの片方をフリーにしてキャスターをつければ、必要に応じて回転させられ、使用方法にも幅が広がります。

パーティションにネットやボードの代わりに箱を取り付ければ、本棚等にもなります。スペースに余裕があれば、耐震金具付きの本棚等を天井と床に固定しても良いでしょう。天井も床も傷つけずに使用でき、賃貸でも問題はありません。

スペースの確保意外にも、テレワークの日も、仕事の時は気が引き締まるため、ある程度きちんとした服装で臨むという方が多いようです。みなさんも実践してみてはいかがでしょうか。

  • パーティション活用イメージ

ワークスペースをより広く確保したいとき

完全なリモートワーカーやフリーランスの方は、自宅で仕事をする上で、資料が多かったり多少の来客があったりします。より広くワークスペースを確保するために、どのような工夫ができるでしょうか。

■ソファーベッドやロフトの活用
ひとつは「ソファーベッド」を上手に活用してみることです。比較的少ない投資金額で、ある程度のスペースを確保できますし、打合せの場としても利用できます。ただし、毎日寝具をセットするわずらわしさはあるでしょう。

運よく「ロフト」付きの物件に入居している方であれば、ロフトを寝室にして(本来は物置で寝室にはできませんが)ワンルームをフルに事務室にするのも手です。それでもフロアではON・OFFを切り替えられるよう工夫しましょう。

■可動式収納ベッドの活用
壁にとり付ける可動式のベッドをご存知でしょうか。仕事中はベッドを跳ね上げて壁に収めて床面は自由に使えます。寝具はほぼ一緒に収納可能です。一見に壁に見えても、ベッドであることは察知されるので、来客などがある方にとっては気になるかもしれません。

ちなみに、可動式ベッドは天井にリフトアップするタイプもあります。壁収納ベッドは日本製のものなど様々ありますが、こちらの装置は外国製品の方が種類は豊富です。

少し話はずれますが、古いミュージカル映画に「巴里(パリ)のアメリカ人」というのがありました。絵の勉強にパリに来た貧しいアメリカ人が住む屋根裏のアパートメントには、手動で巻き上げる天井収納ベッドが登場します。夜はベッドで床が塞がれてしまうので、テーブルも椅子もすべて折り畳み式で、夜はバルコニーに出されていました。パリやマンハッタンには狭い空間をフルに活用する伝統があるのでしょうか。どちらにせよ、そのような多目的家具が外国のYouTubeにはいろいろ登場するので、ぜひ参考にしてみてください。

■デスクベッドの活用
デスクベッドやロフトベッドと聞くと、2段ベッドのような家具の1段目部分にデスクと収納等が組み込まれている、主として子供用のものを思い浮かべるでしょう。しかし、今では本格的なワークスペースを備え、回転させるとベッドが現れる一見ベッドだとわからないものも多くあります。

下に私が気になった「伸晃産業」や「江戸建工匠」のデスクベッドを載せておきます。ワンルームでしばらく業務を続けるのであれば、思い切ってこういったものに投資をしてみても良いかもしれません。

  • デスクベッド(1)※画像提供:伸晃産業

  • デスクベッド(2)※画像提供:江戸建工匠

■インキュベーションオフィスを利用する
どうしても自宅だけではスペースを確保できないという方は「インキュベーションオフィス」などの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

私も起業したとき、東京都中小企業振興公社の創業支援施設に3年入居し、そのあとは千代田区の公共施設をリノベーションしたインキュベーション施設を借りていました。インキュベーションオフィスにはいろいろなタイプがありましたが、私は打合せスペースと会議室目的でしたので、デスクはフリータイプを選択して使っていました。

その施設を運営委託された会社によると、当初は地方の企業が東京進出の足掛かりとなることを目的にしていたそうですが、ふたを開けてみると、利用者の約2割はサラリーマンだったそうです。資格取得の勉強のためなのか、サイドビジネスの場なのか、やがて起業するための準備なのかは不明ですが、コロナでリモートワークが急激に浸透した20年ほど前から、水面下ではいろいろな動きがあったことが分かりますね。

これから住まいを探す場合のポイントは?

これからアパートなどを探す場合、テレワークを見据えた物件選びにはどのようなポイントがあるのか考えてみましよう。あくまでも当面、経済的にワンルームしか選択できないケースです。

■立地を考える
全てリモートで処理できるのであれば、立地を考える必要はないかもしれません。環境の良いのどかな田園地帯でもよいでしょうし、東京をはじめとする大都市である必要もないかもしれません。しかし、直接面談して営業したり、打合せしたりすることが必要な場合はやはり相手先との物理的距離は大切です。

おすすめは、想定される取引先に自転車で行ける範囲です。つまり中心地から遠い駅近よりも、都心に近く駅から遠い物件がねらい目です。頻繁に打合せ等で交通機関を利用するのであれば交通費もバカになりません。自転車であれば信号のない裏道を通ってバスと遜色のない時間で到達できます。また駅からの歩く距離によっては、電車と変わりない時間で到着できる可能性もあります。

私は特にコロナが流行してからは1.5時間程度であれば感染防止のために自転車を利用しています。ゆっくり走ってもかなり遠くまで行けます。有酸素運動になり健康面でもおすすめです。

本来は駅近物件が人気ですが、駅から遠ければ、いくらか広めのスペースが確保できるかもしれませんし、入居者確保のためにロフト付き物件なども手ごろな値段であるかもしれません。

■本格的なワークスペースが欲しい時はロフト付き物件を
駅から遠くても、割り切ってロフト物件を手ごろな家賃で確保するのもひとつの考え方です。上記で述べたように、ロフトがあれば居住スペースをフルにワークスペースとして活用することが可能になります。

■トイレとバスや洗面所が別のタイプを選ぶ_
来客がトイレを利用することを想定に入れると、トイレが独立していた方がよいでしょう。これはワンルームに限らず、むしろ家族で暮らしながらのリモートワーク時にも重要です。玄関などの入り口からプライベートスペースを通らず、ワークスペースやトイレに行けることが大切です。

家具を工夫し物の減らそう

広くて安い物件やロフト付きの物件など条件の良い物件は多くはありません。そのため、家具等で工夫することは重要となってきます。まずは、居室部分に必要とする家具をリストアップして、どれとどれを兼用できるか考え、極力家具数を減らしてみましょう。物を減らしてすっきり暮らすことも、暮らしと仕事を両立させるのに大切なポイントです。