女優の上白石萌歌と俳優の中山優馬が3日、東京・渋谷のPARCO劇場で行われた舞台『ゲルニカ』の初日前会見に、勝地涼、早霧せいな、キムラ緑子とともに参加した。

  • 左から早霧せいな、中山優馬、キムラ緑子、上白石萌歌、勝地涼

PARCO劇場オープニング・シリーズとして上演される本作は、2018年読売演劇大賞および最優秀演出家賞に輝いた演出家・栗山民也氏が、スペイン内戦時のゲルニカ無差別爆撃を描いた画家パブロ・ピカソの「ゲルニカ」と出会い、以来20年以上あたためてきた構想をもとにした作品。劇作家・長田育恵氏がゲルニカに生きる人々の人間ドラマにフォーカスして物語をつむぐ。

ゲルニカの元領主の娘・少女サラを上白石、サラと恋に落ちるドイツ軍のスパイ・イグナシオを中山、ゲルニカで生きる人々を取材する海外特派員・クリフを勝地、彼と同行する女性特派員記者・レイチェルを早霧、サラの母・マリアをキムラが演じる。

コロナ禍での舞台開幕に、上白石は「こんな状況のなか、無事明日、幕が上がるということで、いつも以上に特別な感情を抱いています」と心境を告白。「栗山さんはご一緒するのが長年の夢で、大学のレポートの題材を栗山さんにしたことがあるくらい、尊敬の念や憧れがあった方です。ご一緒するのはもう少し先だろうなと思っていたなか、こうしてお声がけいただいたことをとてもうれしく感じています」と語った。

また、「80年前のゲルニカ爆撃…実際にあった出来事と、今のコロナ禍の状況は、目に見えない敵や不安と戦っていくという意味では、どこか通ずるものがあるなと感じました」と述べ、「ゲルニカという4文字がみなさんに抱かせるイメージは、悲痛さだったり、苦しいことだと思いますが、この作品は、苦しいことに抗っていこうという強い気持ちや、その中に希望を見出そうとしている人たちのまなざし、人の営みも丁寧に描かれているので、気難しいことは考えずに新しいPARCO劇場に足を運んでいただけるとうれしいです」と呼びかけた。

中山は「本当に大変な世の中のなか稽古してきましたので、やる気に満ちております。明日の幕が開くまで、そして幕が下りるまで、まだまだ気は抜けませんけど、精一杯務めたいと思います」と意気込み。「実はスパイという役ですが、すごく人間性のあふれる青年の役。そして、若さというものにはすごいパワーが秘められているので、サラちゃんとの関係性だったり、恋愛というところの若さも意識しています」と述べ、「僕のシーンは1人のところが多く、一瞬の出来事が台本でいうと3ページくらいだったりもするので、自分の中での戦いはすごく意識しております」と明かした。

そして、「本当に素晴らしい作品だと思っております。希望とか運命とか、そういう概念的なもの、科学的に証明できないものを目撃できる舞台だと思っていますし、その概念を爆撃という科学的な兵器で壊される、そこにどういう人たちが生きていたのかぜひ目撃していただきたいと思います」とメッセージを送った。

PARCO劇場オープニング・シリーズ『ゲルニカ』は、9月4日~27日に同劇場にて上演。さらに、10 月より京都、新潟、豊橋、北九州にて上演される。