「差し出がましい」はビジネスシーンで主に目上の人に対して使われる言葉です。正しい意味を理解していないと上司や取引先から指摘を受ける可能性があるので、使い方を覚えておきましょう。
本記事では「差し出がましい」の意味や正しい使い方・ビジネスメールで使える例文を紹介します。また、「おこがましい」との違いや、言い換え表現についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
「差し出がましい」の意味・使い方とは?
そもそも「差し出がましい」とはどういう意味なのでしょうか? 辞書には以下のように記されています。
さしで‐がまし・い 【差し出がましい】
でしゃばるようである。
引用『広辞苑 第七版』
つまり、「差し出がましい」とは、出しゃばった行為のことを指します。目上の方に対してお願いする際に用いられることが多く、自分の考えを述べたり主張をしたりしたいとき、誰かにお願いをする際の枕詞として使用される言葉です。
目上の人へお願いする時の枕詞として使われる
上述のとおり、「差し出がましい」は目上や取引先の方に対し、お願いする際に使われます。文章や言葉の冒頭に付け加えることで相手にいい印象を与えることも期待できます。
「差し出がましい」はメールにも話し言葉にも使える
「差し出がましい」という表現は、メールにはもちろん、口頭で使うことも可能です。下の者が上の者に意見をしたり気を配ったりするのは、時として「生意気だ」と捉えられかねません。「差し出がましいこととは存じますが」とひと言添えるだけで、相手の印象もずいぶんと和らぐでしょう。
読み方は「さしでがましい」
「差し出がましい」は、「さしでがましい」と読みます。初見では読めなくても、特別難しい読み方ではないので一度見聞きすれば覚えられるでしょう。この機会にぜひ覚えてみてください。
ビジネスメールで使える「差し出がましい」の例文
ビジネスメールで実際に使える「差し出がましい」の例文をご紹介します。
差し出がましいこととは存じますが
上司や先輩、顧客など目上の人に対して何か意見をするときなどに使います。
【例文】
・上司に対して: 差し出がましいこととは存じますが、私からご提案させていただきます。
・顧客に対して: 差し出がましいとは存じますが、お見舞いの品をお送りさせていただきました。
差し出がましいお願いでございますが
こちらは目上の人に対して、何か依頼をしたいときに使う表現です。
【例文】
・客に対して: 差し出がましいお願いで大変恐縮ですが、何卒ご検討のほどよろしくお願いいたします。
・仕入れ先に対して: 差し出がましいお願いでございますが、期限内にお送りいただけますようご対応をお願いいたします。
・部署の先輩に対して: 差し出がましいお願いで恐縮ですが、こちらの資料一式をお送りいただいてもよろしいでしょうか。
差し出がましいことを申しまして
この表現も目上の人に対して意見をするときによく使われる表現です。
【例文】
・部署の先輩に対して: 差し出がましいことを申しますが、プロジェクトの成功を祈願しております。
・企画書について意見を求められたとき: 差し出がましいことを申すようですが、該当データの信頼性には少し疑問を感じています。
「差し出がましい」の言い換え表現・類語
「差し出がましい」の意味などを理解できたところで、次に類語を見ていきましょう。
でしゃばった
「差し出がましい」の類語として「でしゃばる・でしゃばった」という言葉が挙げられます。
しかし、ビジネスシーンにおいて「でしゃばった真似をして、申し訳ございません」と用いるより「差し出がましく申し訳ございません」と使った方が相手に対し柔らかい印象を与えることができるでしょう。
厚かましい
「厚かましい」も「差し出がましい」の類語として知られています。
この二つの違いについては厚かましいは図々しい様子や遠慮を知らない態度のことを指す、第三者目線の言葉であることに対し「差し出がましい」は前述のとおり目上の人に対し自分自身をへりくだって用いられることが多いです。
僭越ながら
「僭越ながら」という言葉には、「でしゃばった真似をしますが」「私なんかが」「場をわきまえず」という意味がこめられています。
「差し出がましい」と似た意味を持ちますが、「僭越ながら」という言葉は自分自身の行いに対してのみ使われますので、お願いをする際などに用いられる「差し出がましい」とはニュアンスの違いがあります。
おこがましい
「出しゃばった真似をする」「身の程知らずのことをいう」という意味の「おこがましい」も、「差し出がましい」の類語として挙げられます。 「おこがましい」とは日本古来より使用されている言葉であり、身の程をわきまえない、ぶしつけである様子を指します。
おこがましいは漢字で「痴がましい」「烏滸がましい」「尾籠がましい」と書きます。
お節介
お節介とは一方的に自分の行為を相手に押し付けることを指します。
相手が迷惑に感じる場合も多く、そうした意味から差し出がましいとは異なった意味を持ちます。
「差し出がましい」と「おこがましい」の違いは?
先述したように「おこがましい」とは、「出しゃばった真似をする」「身の程知らずのことをいう」という意味で、「差し出がましい」と同じニュアンスで使用されることが多いです。
「差し出がましい」と「おこがましい」の違いは、使用できる対象にあります。「差し出がましい」は、自分だけでなく相手の言動にも使用できる一方で、「おこがましい」は自分に対してのみ使用します。
また、「差し出がましい」は「必要以上のおせっかいをする」という意味合いが強いですが、「おこがましい」は「身の程知らずのことをいう」の意味合いが強いです。
「差し出がましい」を正しく活用しよう
本記事では差し出がましいの正しい使い方などをご紹介しました。差し出がましいとは換言すると「厚かましい」や「でしゃばる」などと似た意味がありますが、細かいニュアンスの違いがあるため、正しく覚え使えるようにしましょう。
差し出がましいは一般的に目上の方に対して使われる言葉です。ビジネスシーンでは部署の先輩や上司、先輩、取引先などが該当します。後輩や友人に対して使用されることは少ないため注意しておきましょう。
また、シチュエーションとしては、主に仕事をしている最中や上司が同席している飲み会の席、商談などの場において使用することができるでしょう。また、自分の意見を主張したり、相手に対してお願いをしたりする際に用いられるため、状況を都度判断しながら正しく使えるようにしましょう。