会社員など雇用保険に加入している人は、失業した時に安心して再就職先を探すことができるように、その間の生活の支援として「失業給付」をもらうことができます。
でも、失業給付は退職理由によってもらえる期間が違うということを知っていますか? また新型コロナウイルス感染拡大の影響で失業した場合はどうなのかもお伝えしていきます。
失業給付がもらえる条件
失業給付をもらうためには、勤務先で雇用保険に加入している必要があります。パートや派遣労働者は1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある場合に、雇用保険に加入することができます。
受給条件としては、離職前の2年間に通算で雇用保険に12カ月以上加入している必要があります。
自分の都合で退職する人に対して、会社の倒産や突然解雇されたなど、自分の意志に反して離職することになった人を「特定受給資格者」といいます。また、自己都合でも、病気や心身の障害、視力や聴力の減退、介護のためなどという理由で離職した人を「特定理由離職者」といいます。
妊娠、出産、育児等を理由に離職した場合、特定理由離職者となるためには受給期間延長措置(雇用保険法第20条第1項に定められたもの)を受けている必要があります。
この特定受給資格者や特定理由離職者は、自己都合で退職する人に比べて受給条件が緩やかになっています。雇用保険に、離職前の1年間に通算で6カ月以上加入していれば失業給付を受給することができます。
失業給付でもらえる金額は?
失業給付はいくらもらえるのでしょうか。失業給付の1日当たりの金額は、賃金日額(離職前の6カ月間に支払われた賃金総額÷180日)の45%~80%が支給されます。賃金の低い人ほど給付率が高くなっています。
退職理由で日数が変わる
失業給付を実際に受け取る前に、まず受給資格決定日から7日間の待期期間があります。
自己都合退職の場合は、この7日間の待期期間に加えてさらに3カ月間の支給制限があります。自己都合で退職を考えている人は、離職してすぐに支給されるわけではないので、その間の生活費の準備なども考えておきましょう。
失業給付がもらえる日数は?
失業給付がもらえる期間を「所定給付日数」といいます。もらえる日数は自己都合の場合とそうでない場合によって違います。それぞれの場合について表にまとめました。
コロナの影響で失業したら
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて失業する人が増え、求職活動が長引くことが予想されます。そのため、「特例延長給付」が設けられました。延長される日数は60日です。
ただし、35歳以上45歳未満で所定給付日数270日の人と45歳以上と60歳未満で所定給付日数330日の人は、30日の延長です。
対象となる人は、2020年6月12日以降に失業手当の所定給付日数を受け終わる人で下記に当てはまる人です。
ちなみに特例延長給付は積極的に求職活動を行っている人が対象です。そのため、下記のいずれかに当てはまる人は対象となりません。
(1)所定の求職活動がないことで失業認定日に不認定処分を受けたことがある。
(2)やむを得ない理由がなく失業認定日に来所せず不認定処分を受けたことがある。
(3)現実的でない求職条件に固執する。
(4)正当な理由がないのに、公共職業安定所が紹介した職業に就くことや、指示された公共職業訓練を受けること、再就職の促進のための必要な職業指導を拒んだことがある。
失業給付は、雇用保険料を支払っていたからこそ利用できる制度です。新型コロナウイルスの影響を受けてやむを得ず仕事を辞めることになった人も、特例延長給付の制度を知って、しっかり利用してほしいと思います。
詳しい手続きの方法などは、お住まいの地域のハローワークで相談してくださいね。