相穴熊の激しい切り合いを永瀬二冠が制する
第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦(主催:地方新聞11社)の2回戦、▲久保利明九段-△永瀬拓矢二冠戦が8月29日に東京都「シャトーアメーバ」で行われました。結果は永瀬二冠が104手で勝利し、準決勝へ進出しました。
振り駒で先手番となった久保九段は中飛車を選択。先に久保九段が穴熊に組む意思を明示すると、永瀬二冠も追従。戦型は相穴熊になりました。
2筋と3筋の位を取ってから銀冠穴熊に組み換えた久保九段。その間に永瀬二冠は金で位の歩を取っていきます。守りの要である金が穴熊から離れるだけに大胆な指し方です。永瀬穴熊が薄くなったのを好機とみて、久保九段が開戦しました。
久保九段は角交換から角を敵陣に打ち下ろし、飛車を走ります。永瀬二冠も飛車を成り込んでから、攻防に角を打って応戦します。ズバッと角を切り、攻めの拠点となる銀を打った久保九段。次に厳しい攻めをみた一手ですが、この後攻めのターンは回ってきませんでした。ここから永瀬二冠が完璧な指し回しを見せます。
永瀬二冠は角切りから銀を打ち、久保九段の穴熊をどんどん薄くしていきます。駒を打って守ろうとする久保九段ですが、永瀬二冠は攻めの手を緩めません。角のタダ捨てという久保九段の必死の防戦にも冷静に対処し、最後は久保玉を即詰みに打ち取って、永瀬二冠が勝利を収めました。
この勝利で永瀬二冠は準決勝に進出。次戦は木村一基九段-斎藤慎太郎八段戦の勝者と対戦します。
第68期王座戦五番勝負は9月3日に開幕します。本局のカードと同じく、永瀬王座と久保九段によるタイトル戦。永瀬二冠が居飛車、久保九段が振り飛車を指すのはほぼ間違いないので、戦型は久保九段がどの筋に飛車を振るか次第でしょう。本局で敗れた中飛車を再登板させるのか。それとも見切りをつけて、四間飛車や三間飛車を使うのか。五番勝負は久保九段の戦型選択に注目です。