ビジネスシーンでよく耳にする「ご了承ください」という言葉ですが、実際にどういう会話で利用するのかご存知でしょうか。
自分の使っている表現は、目上の人に対して使っていいのか、それとも失礼にあたるのか……。知らないうちに二重敬語表現をしている人や、間違った敬語を利用している人も多くいます。そこで本記事では「ご了承ください」の実際の例文を踏まえて解説していきます。
「ご了承ください」の意味とは?
ビジネスシーンでよく使われる「ご了承ください」とはどんな意味なのかをまずは徹底解説します。
了承や理解を得るために使う
「ご了承ください」とは、相手に対して了承と理解、許可を得るために使う言葉です。この言葉を使う際は相手に対して選択肢を与えるわけではなく、これから始まる要件に関して相手に確認し、納得してもらう意図があり、「受け入れてください」という意味で使います。つまり、後になって食い違いが起こらないよう、内容を承知したことを事前に確認するための文言です。意味をよく理解し、注意して使うようにしましょう。
「ご了承ください」の使い方
ここでは、「ご了承ください」の使い方や注意点をご紹介します。
目上の人にも使って大丈夫?
「ご了承ください」とは目上に人に対して使ってよいのでしょうか。答えは「NO」です。相手に選択肢を与えるわけではなく、「受け入れてください」という意味があるので、目上の人に対して使うのは失礼に当たります「了承」=「承諾する」に丁寧語の「ください」がついたため、相手に対し一方的な印象を与えてしまう恐れがあります。大変使いやすい言葉ですが、取引先や、目上の上に利用するのは控えましょう。
どうしても使わなければならないという場合には「ご了承のほどお願い申し上げます」などの敬意を表したものにするといいでしょう。
二重敬語に注意が必要
間違いやすい二重敬語としては「ご了承いただけますでしょうか」が挙げられます。「ご了承いただく」を疑問形にするこの表現方法は一見すると丁寧に見えますが、「ます」と「です」が重複する二重敬語となりますので、疑問形にする場合は「ご了承いただけますか」としましょう。
「ご了承ください」の例文
それでは実際に「ご了承ください」を使った例文をご紹介します。
「あらかじめご了承ください」
まず、「あらかじめご了承ください」ですが、こちらは事前に何かの注意喚起が必要な場合に使用されます。 例えば以下のように、前もって事前承認を得たい場合に使われます。
「当コンビニではお手洗いのご用意がございませんので、あらかじめご了承ください」
「宜しくご了承ください」
適宜対応してほしいといった意味合いを込めて「宜しく」を前につけることも可能です。「ご了承ください」よりもさらに丁寧な表現として「ぜひともご理解いただければ」といった意味で「宜しくご了承ください」を使うといいでしょう。 例えば以下のようなときに利用できます。
「毎週土日には〇〇先生はお休みをいただいておりますので、宜しくご了承ください」
「ご了承くださいませ」
「ご留意くださいませ」「ご認識くださいませ」のようにビジネスシーンでは柔らかな印象を出すために「ください」の後に「ませ」を使う場合があります。「ご了承くださいませ」もその例に漏れず、使用可能です。ですが、「ませ」の表現は女性的な表現とされるので、男性はビジネスシーンであっても利用は控えたい方がいいでしょう。 使用例としては以下のようなものとなります。
「こちらの店舗にWi-Fiの設置はしてございませんので、どうぞご了承くださいませ」
そのほかの使用例
そのほかの使用例として以下のような使い方が想定されます。
・現在新型コロナの影響で営業を休止しておりますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます
・何卒ご了承ください
・大変嬉しい話ではございますが、予算の都合上、場所を変更して執り行うこととなりました。どうぞご了承ください
・雨天により、今回のイベントは中止となりました。何卒ご了承ください
「ご了承ください」の敬語表現
「ご了承ください」の敬語表現についても知っておきましょう。
「ご了承ください」の丁寧語
「ご了承ください」のさらなる敬語表現としては「ご了承くださいますようお願い申し上げます」があります。目上の人や取引先に対して利用する表現としては、「ください」の後に「ようお願い申し上げます」をつけると丁寧で失礼のない表現となります。
目上の人に対して「ご了承ください」のみで使用すると、もともと「ください」とは命令形の「くれ」を尊敬語としたものですので、丁寧な命令形としての印象を与える可能性があるため注意しましょう。