「アンニュイな人」、のように使われる「アンニュイ」とは、どんな人を指すのでしょうか。本記事では、「アンニュイ」の意味や語源、使い方・例文を紹介します。また、言い換え表現なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
「アンニュイ」の意味とは
まずはアンニュイの意味と語源を把握しておきましょう。
印象や雰囲気を表す言葉として使われる
現在日本語で使われているアンニュイは、どことなく儚げな印象や雰囲気を表す言葉として使われています。とくに女性を形容する言葉として使われるときには、ポジティブな意味で使われるケースが多く、フランス語の意味とは異なる使われ方をします。
アンニュイの語源はフランス語
カタカナ外来語である「アンニュイ」はフランス語「ennui」が語源です。英語でも同じように「ennui」と、外来語として同じように使われています。同じ語源の言葉としては英語でいらだたせることを表す「annoy」などがあります。
19世紀末のフランス文学の雰囲気を象徴
アンニュイという言葉の象徴は、19世紀末のフランス文学に代表される陰鬱な雰囲気のことです。19世紀末のフランス文学におけるアンニュイとは、世紀末的風潮から生まれた病的な気分のことで、C.P.ボードレールやP.ベルレーヌ、A.ランボーなどの作品がその典型とされています。
生活への興味の喪失からくる精神的倦怠感のことで、「自意識過剰さや生に対する空虚さを自覚すること」「常識に対する反抗的な気分などのネガティブなイメージのこと」を表します。
「アンニュイ」の使い方
「アンニュイ」という言葉は、どのようなシーンで使われるのかによって、意味が少しずつ異なります。代表的な2つのシーンをピックアップしました。
人の雰囲気を表す場合
「アンニュイ」という言葉は、気だるく儚げな雰囲気を表す言葉として使われています。どことなく愁いを含んで頼りなさげで守ってあげたくなるような雰囲気を表しており、ミステリアスさがある様子のことを表現する言葉です。また、無理をせず自然体な人やファッションのことを表すこともあります。
つまりアンニュイとは、柔らかい雰囲気で、自然体で落ち着く印象を表しています。女性に対して使われるシーンがやや多いものの、男女ともに使われる言葉です。
文学作品における全体的な空気感を表す場合
カタカナ外来語「アンニュイ」の語源であるフランス語「ennui」は、倦怠感を表す言葉です。19世紀末フランス文学に代表される陰鬱な雰囲気のことを表しており、暗い印象があります。生活への興味を喪失したことからくる精神的倦怠感からきており、暗くネガティブな雰囲気を表す言葉として使われていました。
よく使われる「アンニュイ」を使った表現
アンニュイはポジティブな意味とネガティブな意味の2通りあると紹介しましたが、ここでは、アンニュイを使った表現の意味を解説します。
アンニュイな気分
「アンニュイな気分」と表現する際には、一般的には元々のフランス語の意味である暗くネガティブな雰囲気を表す言葉として使われています。
「憂鬱な気分」「気だるい感じ」と言い換えることが可能です。
アンニュイな雰囲気の女性・男性
「アンニュイな雰囲気の女性」「アンニュイな雰囲気の男性」といったように使われる「アンニュイ」は、落ち着いた印象や、魅力的なミステリアスさを感じる人、自然体な人などを意味しています。
このように使われるはときは、男女問わず褒め言葉として使われる傾向があります。
アンニュイな表情
「アンニュイな表情」は、神秘的でミステリアスな表情といったポジティブな意味で使われることもあれば、憂鬱さ、だるさ、退屈な表情といったネガティブな意味で使われるケースもある表現です。
ポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われるため、シチュエーションによって使い分ける必要があります。
「アンニュイ」の例文
アンニュイの使い方を例文でご紹介します。
ネガティブな意味
アンニュイはもともと、「憂鬱」や「退屈」といったネガティブな意味を持つ言葉です。現在でもネガティブな意味として使われるケースがありますのでご紹介します。
・今日の曇り空は、私のアンニュイな気分を映し出しているようだ
・彼はあの子と別れてから、アンニュイな雰囲気を醸し出している
気持ちと関わる意味として使われる際、このようなネガティブな意味として用いられることがあるので覚えておきましょう。
前向きな意味
アンニュイとは、人の持つ雰囲気やファッション、ヘアスタイルなどの多くのシーンで使用されている言葉です。以下にポジティブな使い方の例をご紹介します。
・アンニュイな女性は自然体だから男性から人気がある
・作り込んだヘアスタイルに飽きたから、次はアンニュイなヘアスタイルにしてみたい
・彼女のミステリアスな雰囲気は、アンニュイなファッションの影響が大きい
とくにファッション関連ではよく使われる言葉なので、意味や使い方を覚えて自然に使っていきましょう。
「アンニュイ」の類語・言い換え表現
カタカナ外来語である「アンニュイ」は、日本語への言い換えもできる言葉です。ここでは、「アンニュイ」の代表的な類語を紹介していきます。
退屈
「時間を持て余すこと」や「疲れて嫌になること」などを意味する「退屈」は、「アンニュイ」の類語表現の一つです。
倦怠感
だるさを表す「倦怠感」も、「アンニュイ」の類語表現のひとつ。心身が疲れてだるいことで、力が入らないさまを表しています。アンニュイ本来の意味に近い類語表現とも言える言葉です。
憂鬱
フランス語の「ennui」が意味する、気持ちが晴れない様子を表す「憂鬱」も、「アンニュイ」の類語表現と言えます。例えば、「気が乗らない仕事があり憂鬱だ」という文章は、「気が乗らない仕事がありアンニュイな気分だ」のように言い換え可能です。「アンニュイ」が気分を表す際には、「憂鬱」で言い換えるといいでしょう。
気だるい
理由もなくだるい様子を表す「気だるい」も、「アンニュイ」の類語表現のひとつです。なんとなくだるく、おっくうな様子を表す形容詞で、人の様子を表す言葉としてよく使われています。
「アンニュイ」の対義語
「アンニュイ」の対義語もいくつかご紹介します。
熱中
一つの物事に夢中になることを意味する「熱中」は、倦怠感や退屈を意味するアンニュイの対義語になります。
明朗
明るく朗らかなことを意味する「明朗」は、憂鬱を意味するアンニュイの対義語です。
活発
元気で勢いがいい様子を意味する「活発」は、気だるい様子を意味するアンニュイの対義語と言えるでしょう。
アンニュイな人はミステリアスで個性的で魅力たっぷり!
「憂鬱な気分」「倦怠感」の意味から、「神秘的」「ミステリアス」等の意味に変化してきたカタカナ外来語「アンニュイ」。19世紀末頃のフランス文学を象徴する言葉として使われていたネガティブな言葉でしたが、時代とともに人に対するポジティブな印象を表す言葉に変化してきました。
現在では、ファッションやヘアスタイルや、人の持つ雰囲気を表す言葉として、明るすぎず、自然体で落ち着く雰囲気に対して使われるケースが少なくありません。
この記事でご紹介してきた、アンニュイの語源や意味、類語を参考にしたうえで、使用するべきシーンや対象をよく理解して使うのが大切です。正しくカタカナ外来語を使いこなして、表現の幅を広げていきましょう。