Microsoftは米国時間2020年8月24日、Windows 95発売25周年を迎えたことを記念する動画を公開した。ここでは公式ブログの紹介にとどめるが、1995年の同日に発売したWindows 95(日本は1995年11月23日発売)は、ユーザーをMS-DOSからWindowsへと本格移行させる口火を切ったOSだ。

  • Windows 95の起動画面

GUIを普及させたWindows 3.0/3.1は、MS-DOSから「win.com」を実行して起動する「DOS上のGUI」だった。思えば、当時のPCゲームはハードウェアに直接アクセスできるMS-DOSベースのタイトルが大半で、筆者もPCゲームを実行する環境とWindows 3.1を起動する環境を、config.sys(MS-DOS起動時の設定ファイル)で使い分けたものだ。Windows 3.1はWinGと呼ばれるグラフィックライブラリーを用意していたが、そのパフォーマンスはDOSに及ばなかったことも大きい。

Windows 95もMS-DOSベースで起動するものの、32ビットアプリを実行する基盤を確立している。ちなみに、MS-DOSとWindowsの分離はWindows Meまで持ち越された。

  • Windows 95の終了ダイアログ。MS-DOSプロンプトで動作しないDOSアプリ向けに「MS-DOSモードでコンピュータを起動する」を用意していた

もっとも、筆者はWindows Meをほとんど触れていない。同時期にWindows 2000がリリースされ、Windows 98からWindows 2000へ移行したからだ。Windows 2000が「Windows NT 5.0」と呼ばれていたころベータ版に触れ、Windows 9xシリーズを使い続けることに魅力を感じなくなってしまった。Windows 2000はWindows NT 4.0と異なり、USBやDirectX、プラグ&プレイに対応し、ビジネス向けという位置付けだったが個人ユースでも使い勝手がよかった。次のWindows XPはビジネス向けOSと消費者向けOSの融合を試みたOSだ。最終的には別プロジェクトとして「Whistler」が始まり、後にWindows XPが誕生した。

  • Windows NTベースの消費者向けOSになるはずだった「Neptune」

その後は、Windows Vista、Windows 7、Windows 8.x、そして現在のWindows 10に至るわけだが、そのWindows 10も登場してから早5年。振り返ると、バージョン1607ではWSL(Windows Subsystem for Linux)によるUbuntuのサポートを加え、バージョン1709ではLinuxディストリビューションを拡充した。バージョン1903ではWindowsサンドボックスを加え、バージョン2004はLinuxカーネルを取り込んだWSL2をサポートしている。過去の記事で触れてきたように、今後もWindows 10とLinuxの融合は進み、ユーザーはWindowsアプリとLinuxアプリを必要に応じて使い分けるようになるだろう。

  • Dev ChannelのWindows 10 Insider Preview。エクスプローラーのナビゲーションウィンドウにLinuxのアイコンを追加し、ファイルアクセスを可能にしている

すでにWindows 10は独立したOSではなく、Microsoft 365の一柱という存在になった。実際、自作PCのユーザー以外は「Windows 10を買う」という感覚はないだろう。25年前に始まったWindowsというOSだが、現在はSaaS(Software as a Service)に代表されるクラウドサービスの門口という役割が大きく、「OSという単独のソフトウェア」としてはますます希薄化していきそうだ。Microsoftは今後、Windows 10の存在感をどのように示していくのか、また、どのような計画を持って開発していくのだろうか。