新型コロナにより、私たちの意識も働き方も大きく変わりました。あっという間にテレワークが浸透し、意外になんでも家でできるものだなあと感じている方は多いのではないでしょうか。とはいえ一時的なものならまだしも、本格的に在宅ワークを始めるには、快適に働き暮らせるようスペースを見直す必要があります。今回は在宅ワークにはどのような工夫が必要で、どのようなスペースを確保すればよいのか考えてみましょう。
在宅ワークをする際の注意点
在宅ワークの仕方や家族の暮らしの在り方には様々なパターンがあり、それによって最適なスペースは大きく異なってきます。では、具体的にどのようなことを考えなければならないのでしょうか。
仕事では機密事項を取り扱うことが多々あります。私もパスワードがかかっている専用のPCと鍵のかかるキャビネットを求める旨が契約上明記されたことがあります。独身であっても友人や恋人などが出入りする場合は、家族がいるケースと同様の配慮が必要でしょう。
また、会社員であれば打合せスペースは必要ないかもしれませんが、フリーランスであれば多少のスペースは必要かもしれません。来客があった際はトイレも居住スペースを通らずに利用できるとベストです。また夫婦で働く場合は、お互いに配慮したワークスペースの確保が必要にとなってくるかもしれません。
小さいお子さんがいる家庭では、危険なものが多いキッチンには入らないように教えていたりします。しかし、最近は安全性が問われて改善されてはいますが、事務機器は時に子どもにとって危険なものとなるかもしれません。仕事に集中していても幼い子どもが安全に過ごせるような工夫も重要です。
これも私の例ですが、使用中のPCのコンセントを泊まりに来た親にいきなり引き抜かれたことがあります。幸いにも保存の直後でしたので事なきを得ましたが、事務スペースにはいろいろコンセントが必要ですし、今まで自宅として使っていたスペースはコンセントが不足しがちです。配線は極力少なくし、ペットや子どもがいたずらしないような工夫も必要でしょう。
さらに在宅ワークのスペースを確保する際、子どもの勉強スペースとの関係も考えなければなりません。それぞれの個室で行うのか、気配を感じられる空間でするのか、子育ての考え方が問われます。
家でのワークスペースの作り方
ワークスペースは働き方だけでなく、子育てやライフスタイルに大きく関連しているので、総合的に考える必要があります。下記の6つスペースの作り方を参考に、自分に合うものはどれか考えてみてください。
1.リビングの一角にワークスペースを設置
下図はリビングの一角をワークスペースにしたものです。子どもを保育園などに預けていない場合は、目の届くところで仕事をする必要があるでしょう。夫婦や子ども共通のスペースのイメージです。
掃き出しサッシでベランダなど外に出るタイプの場合は、デスクの一部を跳ね上げ式にするとよいでしょう。バックのブックシェルフは一部だけ背の高いタイプにして、耐震金具等で天井に固定します。かなり囲まれたイメージになりますし、ネット会議などの際にうっかりバックが写ってしまっても安心です。それ以外はロータイプにすればリビングも暗くなりません。
2.寝室にワークスペースを設置
日中使っていない寝室の一角をワークスペースにすれば、空間の有効活用になります。何よりも音の問題が解決できる点が大きなメリットです。ただし、快適な安眠の場であることを阻害しない工夫は必要です。
3.キッチンの家事スペースを活用
ファミリータイプの家にはキッチンに少し広い家事スペースや食品保管庫があるかもしれません。不用品を処分して仕事のためのスペースを確保すれば、家事と仕事の効率は良くなります。キッチンは収納もたっぷりありますので、資料などの保管スペースも捻出しやすい空間です。さらに戸建て住宅で勝手口があれば、仕事用の玄関としても活用できますし、水回りがまとまっていればトイレへのアクセスもスムーズです。
4.納戸をオフィスに
戸建て住宅には納戸を設けるケースが少なくありませんし、マンションでも間取り上「〇LDK+S」と表記されているケースがあります。S(サービスルーム)と表記される部屋は採光が建築基準法の規定に満たないため部屋と扱えないスペースのことをいいます。本来は居室にはできませんが、実態は居室として活用されていることが多いようです。
仮にSを納戸にしているのであれば、この際不用品は処分して収入を生むスペースに改造してみませんか。我が家はこのタイプです。玄関わきにあり、部屋は狭いですが、廊下との間仕切りを取り払い、かなりのスペースを確保しています。
5.押入やクローゼットを利用
日本の家庭はとかく不用品が溢れがちです。この際断捨離をして、収納をワークスペースにしてみませんか。右図は、可動式のサイドデスクを打合せスペースにしています。仕事終了時は中にしまうことができます。扉を閉めれば仕事の空間は見えなくなりますし、鍵をかけることも可能です。
6.トランク型ワークスペースの活用
トランク型ワークスペースを使えば、リビングでも寝室でも、トランクを開ければワークスペースが現れます。収納スペースもあり、鍵がかかるようにすれば、機密性も確保できます。既製品もいろいろありますが、DIYでも作れないこともありません。
私が以前利用していたインキュベーションオフィスには、巨大なスーツケースタイプのものがありました。一般のフリースペースと異なり、私物をそのまま保管でき、鍵もかかります。左図のように壁面を利用したタイプであれば、キャスター付きの既製品の収納や本棚等を活用できます。
withコロナ時代、多くの企業が在宅ワークの継続を発表しております。毎日過ごす家だからこそ、仕事も生活も快適なものとしたいですね。