JR西日本は、昨年の台風19号でJR東日本の長野新幹線車両センターが被害を受け、北陸新幹線の車両と施設が浸水し、列車を運転できなくなるなどの影響があったことを背景に、台風や豪雨災害で浸水が想定される鉄道施設や車両への対策について公表した。
鉄道運行に著しく影響を及ぼす重要施設のうち、ハザードマップ上で浸水被害が想定される施設を対象として、ハード・ソフト両面で対策を実施することを基本方針に策定。これにもとづき、在来線の総合車両所2カ所、車両留置施設46カ所(新幹線2カ所・在来線44カ所)、電気施設(信号機器室・指令所)約160カ所(新幹線約10カ所・在来線約150カ所)で対策を行うこととした。
ハード対策としては、被災時の影響が大きい信号通信機器室への止水板・止水壁などの設置や、各箇所で共通に活用できる予備品の確保を進める。電気施設の一部は、今後の設備の更新に合わせ、浸水リスクの低い高所への移転を検討する。
ソフト対策としては、豪雨時に浸水しない他の留置施設や駅などに車両を避難させる車両避難計画を策定する。留置本数の多い箇所から策定を順次進めており、今年度はすでに新幹線・在来線の26カ所で策定したという。
車両避難を行うかどうかの判断を支援する予測ツールも導入。気象会社と連携し、流域雨量予測によって一定時間前に個々の浸水被害発生の有無を予測する。
なお、車両避難の際、留置している編成を浸水しない場所に移動させるには相当の時間を要する見込みのため、JR西日本は通常の計画運休よりも運転見合わせ開始時間がかなり早まり、運転再開にも通常の計画運休より時間を要すると予測している。