矢倉の将棋で佐藤九段がリードを奪うと、三枚堂七段の粘りを振り切って制勝
木村一基王位を相手に、藤井聡太棋聖が4連勝でタイトルを奪取した第61期王位戦が記憶に新しいところですが、すでに第62期王位戦予選(主催:新聞三社連合)の対局が始まっています。藤井王位への挑戦を目指して、まずは挑戦者決定リーグ進出を懸けたトーナメントが進行中。8月26日には東京・将棋会館で▲佐藤康光九段-△三枚堂達也七段戦が行われました。結果は165手で佐藤九段の勝利。リーグ入りに一歩前進です。
振り駒で先手番になった佐藤九段は、得意の矢倉を選択。佐藤九段は銀を繰り出して棒銀の構え、三枚堂七段は飛車香を並べて端から攻める構えをとりました。両者激しく攻め合う、矢倉らしい全面戦争でリードを奪ったのは佐藤九段。相手の飛車を取ることに成功しました。
しかし、そこから三枚堂七段が粘りを見せます。銀2枚を相次いで打って佐藤九段の竜を捕獲。そして佐藤玉を攻めつつ自玉の上部を開拓し、入玉を目指します。
佐藤玉は飛車と馬ににらまれ安全とは言えない形。入玉も見せられて焦ってしまいそうですが、百戦錬磨の佐藤九段は冷静でした。自玉周りに銀を2枚打って守りを固め、寄らない形を築いてから、角で飛車取りをかけたのが決め手でした。角のラインに飛車と竜が入っており、飛車を手にすることが確定。最後は入手した飛車を打ち込んで、三枚堂玉を寄せ切って勝利を収めました。
この勝利で予選通過まであと3勝とした佐藤九段。第57期以来のリーグ入りを目指します。佐藤九段は王位戦七番勝負には5度登場していますが、獲得はありません。
王位戦予選は8つのトーナメントで行われ、それぞれの優勝者が挑決リーグに参加。シード棋士4人を含めた12人が参加する挑決リーグは、紅白のリーグに分かれて行われます。そして各リーグ優勝者が挑戦者決定戦を行い、藤井王位への挑戦者が決まります。
61期は藤井王位が予選からタイトル獲得まで1回も負けることなく14連勝で駆け抜けました。62期ではどのようなドラマが待っているでしょうか。