俳優の東山紀之が、12月7日~30日に東京・PARCO劇場で上演される舞台『チョコレートドーナツ』に主演し、ドラァグクイーン役を演じることが27日、明らかになった。

東山紀之

ゲイの男性が育児放棄された障がいを持つ子供を育てたという実話に着想を得てハリウッドで製作され、全米映画祭の観客賞を総なめにした映画『チョコレートドーナツ』(原題:ANY DAY NOW)を、東山紀之主演、宮本亞門演出で世界で初めて舞台化。70年代のアメリカのヒットナンバーを散りばめた華やかなショーシーンと、緊迫の法廷ドラマを織り交ぜつつ、愛と希望、未来を求めて、苦闘する人間の姿を感動的に描き出す。

東山が演じるのは、シンガーを夢見ながら、ショーパブの口パク・ダンサーとして日銭を稼ぐルディ。出口の見えない生活の中、ルディの人生は、運命の人ポール、隣室のダウン症のある少年マルコと出会うことで変わっていく。映画ではトニー賞受賞俳優アラン・カミングが演じたこの主人公に、東山がその魅惑のダンス、歌、演技で挑む。

そしてルディと共に少年マルコを育てようと、世間と闘う地方検事ポールを演じるのは谷原章介。ゲイのカップルであるルディとポールが悩み、迷いつつ、手を組んで世の中に立ち向かっていく。初共演の東山紀之と谷原章介がどのように演じるか。また、ダウン症のある少年マルコ役として、実際にダウン症のある高橋永と丹下開登がダブルキャストで出演、高畑淳子、モロ師岡、堀部圭亮、八十田勇一らが共演する。

東山は「この作品は苦しい状況の中でも“愛”や“希望”の為に必死に立ち向かう人間の姿を描いています。私が演じるルディは、感情の起伏が激しいけれど、愛情深い人物なので、とても難しい役柄だと感じています。宮本亞門さんが表現する世界観を楽しみながら全身全霊で演じたいと思います」と意気込み、「ルディとして、谷原さん演じるポールとダウン症のある少年マルコ役の高橋くん、丹下くんを最後まで愛し抜きます。ドラァグクイーンのショーシーンでは様々なダンスを披露しますし、名曲の歌唱シーンもありますので、どうぞ楽しみにしていて下さい」とメッセージ。

谷原は「『チョコレートドーナツ』甘いタイトルですが切なくて悲しくも温かい物語。劇場で映画を観て大好きになった作品でした。今回、東山さんのドラァグクイーン姿、踊り、歌、そして何よりダウン症のある役者さん高橋さん丹下さんとお芝居できることが楽しみ。亞門さんの演出が優しくそして暖かく皆を包み込んでくれる事間違いなしです。深いテーマはそこにありますが、まずは難しい事抜きにして楽しんでいただきたいと思います!」とコメントを寄せた。

また、演出の宮本氏は「この難役に東山さんが挑戦することに、心から敬意を表します。今までドラァグクイーン役は日本でも多くの男優が演じてきましたが生半可ではできません。特に今回のルディは、傷つき、ボロボロになっても真っ向から社会と戦う、愛情深い人間です。原作の映画でもアラン・カミング氏が壮絶な演技で観客の心を鷲掴みにしました。東山さんは、蜷川幸雄氏が演出した『さらばわが愛 覇王別姫』や『サド侯爵夫人』で女形や女性を演じられていますし、今回の生々しいドラァグクィーン・ルディをどう演じるか、演出家としてとても楽しみです。また、谷原さん演じるポールも作品を通して戸惑い変化していく難しい役です。東山さん、谷原さん、そしてダウン症のある少年マルコ役の高橋君、丹下君がみせる愛の姿、このコロナ禍で、本気で挑む舞台に是非ご期待ください」とキャスト陣への期待を語っている。