材料を入れてボタンを押せば、自動的に食パンが焼けるホームベーカリー。手作りではとても面倒なパンが手軽に作れるため、愛用している人も多い家電です。しかし、「台所に置く場所がない」「パンは糖質が多いから食べ過ぎが心配」など、さまざまな理由で購入をあきらめる家庭も。

そんな問題を解決する製品として、シロカがコンパクトで健康的なホームベーカリー新モデル「シロカのおうちベーカリー SB-1D151」(以下、SB-1D151)を発表しました。発売日は9月3日で価格はオープン、推定市場価格は10,980円前後(税別)。オンライン発表会から製品の詳細をレポートします。

  • 一斤サイズの「シロカのおうちベーカリー SB-1D151」は業界最小クラスのコンパクトさ

累計台数120万台の大ヒットホームベーカリー

シロカのホームベーカリーといえば、パン以外にもうどんやお餅、ヨーグルトなどが作れる調理バリエーションに加え、手ごろな価格で人気。2020年8月には累計台数120万台を突破し、2020年6月時点ではamazonの売れ筋ランキングで上位の2機種、楽天市場でも上位の3機種に、すべてシロカのホームベーカリーが並ぶという大ヒット家電です。

  • シロカのホームベーカリーは、ピザ生地やヨーグルトなど、食パン意外の調理バリエーションが豊富。手ごろな価格も相まって人気の製品です

新製品となるSB-1D151の大きな特徴は3つ。1つは業界最小クラスというコンパクトな本体。2つめがマルコメと共同開発した甘酒メニュー、3つめが独自の糖質オフパンメニューです。

  • 今回のオンライン発表会はトークセッション形式。新製品開発に携わったシロカ 商品開発部 開発グループグループマネージャーの小川大助氏(写真左)、同グループ リーダーの溝上直枝氏(写真右)。中央がSB-1D151の開発に協力したマルコメ 広報宣伝部の多和彩織氏

新製品開発に関わった小川氏は、日本のキッチンは意外と狭い場所であることに言及し、十分な機能と性能が前提なら、調理家電は極力小さいほうがよいと断言。新製品は本体を小さくすることにこだわったとコメントします。

一斤のパンを作る内鍋のスペースはどうしても必要ながら、そのほかのパーツは試作を繰り返してコンパクト化したとのこと。とくにモーターの位置には苦労し、試作段階ではモーターの位置が悪くてホームベーカリーが踊り出すというハプニングもあったそうです。

  • 「日本のキッチン家電は小さいほうがよい」と断言する、シロカの小川大助氏

  • 開発陣の苦労によって完成したSB-1D151は、幅23.2cm×奥行29.5cm×高さ25.3cmという業界最小クラスのボディ。隣にある500mlの水と比較すると、その小ささがわかりますね

  • 従来製品と比較すると、とくに高さが抑えられています

時代は健康志向、甘酒メニューは「さらさら」「つぶつぶ」を作り分け

SB-1D151は「健康的でおいしい」ことにもこだわっています。健康をコンセプトにした機能のひとつが、SB-1D151で加わった米麹から作る甘酒メニュー。甘酒は「飲む点滴」といわれるほどビタミンやアミノ酸が多い健康食品で、飲み物としてだけではなく、砂糖代わりの甘味調味料として料理にも使える食材です。シロカは健康によい甘酒が作れるだけではなく「おいしさ」も求めるために、160年の歴史を持つ「発酵のプロ」であるマルコメに協力をお願いしたそうです。

  • マルコメの多和彩織氏

マルコメの多和氏は、同社でも甘酒の材料である国産の米麹を発売しているとしながらも、「家庭で甘酒を造るのは時間や手間、温度管理が難しい」とコメント。ホームベーカリーなら、メニューを選ぶだけで手軽に失敗なく甘酒が作れるのは魅力的といいます。開発に当たっては、マルコメが考える「おいしい甘酒」を作るための発酵時間や発酵温度などはわかっていたものの、実際にホームベーカリーで再現しようとすると、鍋で甘酒を作るのとは違う結果になることも……。この調整に苦労したとのこと。

SB-1D151の甘酒メニューでとくに注目して欲しいのは、「さらさら甘酒モード」と「つぶつぶ甘酒モード」という、甘酒の食感のを作り分けられることと話します。多和氏いわく、朝飲むのにさらさらの甘酒、調理にはつぶつぶの甘酒を使うなど、飲み方や食べ方で食感を選べるのは、最近の甘酒界では1つの流行になっているそうです。

会場ではフードコーディネーターのあまこようこ氏による、甘酒を使ったデモンストレーションも。さらさらとつぶつぶの甘酒を比較したあと、甘酒を甘味料がわりにしてチンジャオロースーを調理。なんと、最終的な味付けはSB-1D151で作ったつぶつぶモードの甘酒とオイスターソースだけ。「糀甘酒は甘いだけじゃなく旨みも強いので、調味料として非常に優秀」(あまこ氏)。

  • テレビでも活躍するフードコーディネーターのあまこようこ氏。今回はSB-1D151を使ったメニューを実演してくれました

  • ちょっとわかりにくいですが、左がさらさら甘酒、右がつぶつぶ甘酒。つぶつぶ甘酒は一見するとおかゆのようにも見えます

  • 5分ほどでササッと作ったチンジャオロースー。調味料が少ないので、家庭でも再現しやすそうです。よく見ると表面に甘酒のつぶつぶが残っていて、これも食欲をそそります

おいしさを調整できる糖質オフメニュー

最後の新機能が糖質オフメニューです。シロカの溝上直枝氏は「糖質をカットするには強力粉の割合を減らさないといけない」としながらも、そうすると膨らみが落ちて食感が悪くなります。健康的な上に見た目とおいしさ、いずれも妥協しない材料や材料比率を割り出すのに苦労したといいます。

  • 「おいしさだけではなく見た目も重視した」と語る、シロカ 商品本部 商品開発部 開発グループ リーダー 溝上直枝氏

また、溝上氏はSB-1D151の糖質オフメニューについて「他社のホームベーカリーにも糖質カットメニューはありますが、ほとんどが専用のパンミックスを使う必要があります」とコメント。SB-1D151も専用の糖質オフ用パンミックスを発売するものの、自分で強力粉と「ふすま」、小麦タンパクなどを配合できる点が特徴的です。

会場では、あまこようこ氏による糖質オフパンの実演も。こちらは強力粉とふすま、小麦タンパク、ドライイーストなどの基本材料に加えて、トマトペーストを大さじ1杯加えたもの。また、食感を楽しむ具としてドライトマトを加て「トマトの糖質オフパン」を調理。ドライトマトの代わりにナッツを使ったりすることで、糖質オフでも違った食感やおいしさを楽しめることを教えてくれました。

  • 糖質オフパンを作る課程では「パン一斤にこれだけしか強力粉を使わないの?」と驚く場面も。ちなみに、トマトの糖質オフパンで使う強力粉は100g。その分、ふすまが110g加わります

  • できあがったトマトの糖質オフパン

SB-1D151は、今回紹介した糖質オフパンや甘酒のほか、普通の食パンや天然酵母パン、フランスパン、さらにはヨーグルトなどの乳製品まで、「20」のプリセットメニューを搭載しています。付属のレシピブックには「103」のレシピ。設置場所に悩まないコンパクトボディに豊富な健康メニュー、推定市場価格が10,980円前後(税込)というコストパフォーマンスのよさで、なかなか魅力的な製品です。