ヤマハは、10年ぶりに外観デザインを一新したAVアンプ2機種を10月中旬から順次発売する。本体や内部の回路構成も一から見直して映像や音質性能を高めた。発売時期と価格(税別)は、7.1chモデル「RX-V6A」が10月中旬で65,000円、5.1chモデル「RX-V4A」が10月下旬で45,000円。
どちらも本体は機能美を追求した黒鏡面仕上げのシンプルデザインを採用し、「テレビに美しく調和し、現代のライフスタイルにマッチ。ラックの上に設置してもインテリアを乱すことなく、空間をスタイリッシュに演出する」としている。
前面パネルの中央に大型ボリュームノブを配置。前面ディスプレイはフルドット液晶表示を採用し、日本語表示にも対応。情報を表示していないときには黒鏡面と同化するという。タッチセンサー式の操作ボタン、プレイド(格子)模様を施した天面/側面の放熱口など、細部までデザインにこだわった。
2機種とも、8K映像のパススルーに対応したHDMI端子を搭載。映像のチラつきを抑制するVRRや、画面のブラックアウト・表示の乱れを抑えて素早いコンテンツの切り替えを実現するQMS、コンテンツに応じて画質優先/低レイテンシー優先を自動的に切り替えるALLMなどの最新規格もサポートする。
独自のワイヤレスネットワーク機能「MusicCast」や、ハイレゾ音源のネットワークオーディオ再生に対応。最大384kHz/32bitまでのPCMや、DSD 11.2MHzの再生をサポートする。音楽ストリーミングサービス「Amazon Music」や「Deezer HiFi」、「Spotify」(Spotify Connect)の再生も可能だ。
さらに上位機のV6Aは、オブジェクトオーディオのDolby AtmosやDTS:Xのデコードに対応。ハイトスピーカーなしで3次元音場をバーチャル再生できる「Dolby Atmos Height Virtualizer」にもファームウェア更新で対応する予定。
回路設計刷新で音質強化。独自のシネマDSP搭載
新シリーズでは、電源部や内部ワイヤリング、プリント基板パターンなどの回路設計を刷新し、従来モデル比で約2倍のハイスルーレートを実現。これはフラッグシップセパレートアンプ「MX-A5200」と同等のスルーレートだという。信号の追従性と安定性を大幅に高め、ハイレゾ音源などの高周波を含む音楽信号の再現性を向上させた。
ヤマハのHi-Fiプリメインアンプにも使われている、2ch仕様のバーブラウン 384kHz/32bit DACを採用。V6Aはマルチチャンネル用に4基、V4Aは3基搭載している。アナログ/デジタルを完全分離したパワーサプライも採用し、SN感に優れた空間表現を可能にしたという。さらに専用の音質チューニングを機種ごとに実施し、V6Aでは「広大な音場と迫力を感じさせるワイドレンジな音」を、V4Aでは「エネルギッシュかつ聴き心地のよい音」を実現している。
どちらもヤマハ独自の音場創生技術「シネマDSP」を搭載。映画や音楽、放送、ゲームなどさまざまなソースに合わせて最適化した17種類のサラウンドプログラムを用意した。7.1chのV6Aでは、内蔵パワーアンプの2ch分をフロントプレゼンススピーカーまたはサラウンドバックスピーカーに割り当てるアサイン機能を使い、実物のプレゼンススピーカーを使った「シネマDSP(3Dモード)」再生にも対応する。
視聴環境最適化システム「YPAO-R.S.C.」を装備。最大8カ所の計測結果を元に調整精度を高めるマルチポイント測定、室内の初期反射音を制御して左右スピーカーの設置環境の違いによる音質、音場の隔たりなども補正し、「専用施工されたシアタールームで聴くような臨場感を手軽に楽しめる」とする。
映像機能については、どちらのモデルもHDCP 2.3をサポートし、8k60B映像(DSC圧縮信号のみ)をパススルーできる。また、ファームウェアアップデートで4K/120Hz(4k120AB)映像のパススルーやHDR10+映像の伝送にも対応する予定だ。HDMI端子は、V6Aは7入力1出力、V4Aは4入力1出力を搭載し、このうちHDMI1~3が8K映像に対応する。他にも、ロスレス音声やオブジェクトオーディオを伝送できるeARCに対応する。
【訂正】初出時、8K/60Hzや4K/120Hzに対応するとしていましたが、メーカーが「8K/60Hzに関してはDSC圧縮信号のみの対応であること、また現時点では8K/60HzのDSC圧縮信号を送信するソース機器が市場で発売される見込みがない」としてWebサイト上の記述内容を変更したため、当該箇所を修正しました(9月24日更新) |
HDMI以外の入力は、V6AがアナログRCA×4(PHONO1含む)、光デジタル×1、同軸デジタル×1、USB×1、Ethernet×1。V4AはアナログRCA×3、光デジタル×1、同軸デジタル×1、USB×1、Ethernet×1。このほか、両機種ともワイドFM対応のAM/FMラジオチューナーを備える。
どちらもIEEE802.11 a/b/g/n/ac準拠の無線LAN(2.4GHz/5GHz対応)を装備。音声アシスタントのAmazon Alexaによる音声操作も可能。AirPlay 2やBluetooth受信にも対応する。
【訂正】初出時、「音声アシスタントのAmazon AlexaとGoogleアシスタントに対応し、音声操作も可能」としていましたが、メーカーによるとGoogleアシスタントは英語・フランス語のみで日本語は対応していないため、当該箇所を修正しました(8月26日更新) |
最大出力は、V6Aが150W/ch(8Ω)、V4Aが145W/ch(6Ω)。消費電力は、V6Aが360W、V4Aが260W。本体サイズは435×377×171mm(幅×奥行き×高さ)で共通。重さはV6Aが9.8kg、V4Aが8.8kg。