キーボードを選ぶとき、どんな特徴を重視していますか? 文字入力で莫大な回数を押下するキーボードは、押すたびに音が出るさりげない騒音源だったりもします。例えばオフィスで、隣席から響く打鍵音に不愉快を感じたことがある人もいるのではないでしょうか。そのため筆者は、打ち心地はもちろんのこと、特に静音性を重視し、プライベートではダイヤテックの「FILCO Majestouch 2 S CHERRY MX SILENT(以下、Majestouch)」を愛用しています。
そんなある日、会社から支給されたノートPCのキーボードで仕事をするのに少し無理を感じていた筆者は、上司に陳情してみました。「がんばって仕事してくれるならいいよ」という交換条件と引き換えに、買ってもらえることになりました。でも私用のMajestouchと同じでは芸がないなあ、と調べていたところ、メカニカルかつテンキーレスで静音仕様、しかもポインティングスティックを搭載する唯一無二な個性派キーボードが、つい先月発売されているではありませんか!
さっそくアーキサイトのキーボードブランド「ARCHISS(アーキス)」が贈るポインティングスティック搭載メカニカルキーボード「Quattro TKL 静音赤軸(以下、Quattro TKL)」を購入。普段から静音メカニカルキーボードを愛用する筆者が、実際に会社で1カ月使ってみたレポートをお送りしようと思います。
Quattro TKLの設計と機能
まずは今回取り上げるキーボード、Quattro TKLについてご紹介しましょう。本製品は中央部にポインティングデバイスを搭載し、スイッチにCHERRY MXシリーズを採用するテンキーレスメカニカルキーボードです。配列は日本語91キーと英語89キーを用意しており、いずれの配列にも一般的な押下感のある茶軸、クリッキーな感触でカチリと音が出る青軸、リニアでなめらかな押し心地の赤軸、赤軸をさらに静音化した静音赤軸をラインナップしています。やはり特筆すべきは静音赤軸(ピンク軸/SILENT軸とも)のラインナップでしょうか。採用例の少ない軸タイプで、メジャーな製品では筆者愛用のMajestouchの他、あまり類を見ません。
さらにこの製品を個性的にしているユニークな特徴として、高感度な静電容量式ポインティングスティックの搭載が挙げられます。微小な荷重変化を2次元センサーで検出し、マウス同等の操作を実現しているとのこと。左右クリックはスペースキー左右の「無変換」キーと「変換」キーに割り当てられており、上下スクロールは「Fn」キーとポインティングスティックの上下操作で行なえます。
ケーブルは取り外しが可能で、3方向に引き回せるように配慮されています。筆者は机に肘をついてタイピングする癖があり(最悪な姿勢なので非推奨です)、キーボードを机のできるだけ奥に設置して使いたいので、ケーブルを左右に引き回せる点がお気に入り。またキックスタンドの傾斜はややきつめという印象です。普段使いのMajestouchではキックスタンドを起こして使っていますが、Quattro TKLでは倒したまま使用しています。
機能面では、底面のDIPスイッチでキーのスワップ設定を行え、同時キー入力機能として6キーロールオーバーやNキーロールオーバーをサポート。CapsLockとCtrlのスワップも、もちろん行えます。また「Fn」キーとF6~F12キーの押し合わせで動画や音楽の再生や停止、音量調整を行えるマルチメディアファンクション機能を備えています。この機能は取扱説明書に記載されていますが、キーボードそのものに再生や一時停止などのアイコンやシンボルが印刷されていないので、少し気づきにくく、わかりにくいなと思いました。
メインコントローラーにARM Cortex-M0(32bit)プロセッサーを搭載しており、USB経由でファームウェアアップデートにも対応しています。対応OSはWindows 10で、インタフェースはUSB。サイズはW360×D140×H26~36mm(スタンド調節可)で、重さは975gです。