多くの企業がテレワークを導入してから数カ月になる。リモートで働くという体験から今後に向けた新たな教訓も得られつつあるようだ。Dropboxが、公式ブログ「We may be more productive, but remote work is still missing this」で最近のリサーチからの動向をまとめている。
テレワークでも活用されるサービスを提供する同社は、何が変わったのかを追求すること自体がサービスの改善に直接役立つ企業のひとつでもある。日本、米国を含む7カ国の合計4000人の会社員、業種はITに限らず教育からヘルスケア、金融や建設など広い業種を対象にしたサーベイでは、どんなツールを使っているのか?リモート会議ではどんな困難に直面しているのか?どんなコミュニティを立ち上げているのか? など数カ月経った実態を尋ねている。見えてきたものは意外なものだった。
オフィスで最も恋しいものとして、60%近くが「同僚と対面で話をする」を挙げたという。次に多かったのも、「同僚との非公式なミーティング」(10%以上)で「物理的なデスクやオフィス空間があること」を上回る。チームが見出したひとつの結論は、「分散型の作業は生産性が上がったものの、人とのつながりがないという部分で課題がある」だ。
Dropboxのリサーチ担当は、人々がオフィスで求めているのはブレストなどのアイディア交換と思われがちだが、実際は休憩所などでの雑談を通じて意見を交換してプロジェクトを決めている部分があり、現在の分散作業ではこれが欠けてしまうことを指摘している。
補完するように「現在のツールでは、離れたところにいながらブレストなどの創造的なコラボレーションが難しいと思いますか」の問いに対し、41%が「バーチャルにブレストするのは難しい/とても難しい」と回答している。新型コロナによりテレワークになった人ほど「難しい」と感じているそうだ。
現在のビデオ会議、ビジネスチャットなどのコラボレーションツールの多くは、生産性を念頭に置いて設計されているためツールが物理的な存在の代替になり得ないのは無理のないことで、これまでは生産性の最大化に注目が行きすぎていた部分がある。生産性の定義も変わる必要があるとリサーチャーたちは述べている。今後はこの部分に注目したコミュニケーションツールが登場してくるのであろう。