「ウルトラマンゼロ」の登場10周年を記念して、円谷プロダクションとNTTドコモによるオンライントークイベント『ウルトラマンゼロ TALKish(トーキッシュ)』が8月22日に生配信された。

2009年公開の劇場映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でデビューした「ウルトラマンゼロ」の"登場10周年"を記念したこのトークイベントでは、ウルトラマンゼロの声を務める人気声優・宮野真守ほか豪華ゲストが結集し、ゼロがこれまでに歩んできた10年をふりかえると共に、ゼロに関するさまざまなテーマで熱いトークを繰り広げた。

司会を務めるのは、各種ウルトラマン関連のイベントでもおなじみの勝浦まりえとマグマ星人。マグマ星人は久しぶりのイベントということで、冒頭からテンション上げ気味でステージを盛り上げ、モニターの向こう側にいるファンたちの気持ちを熱くたぎらせていた。勝浦とマグマ星人の呼び込みにより、今回のスペシャルゲスト、小柳友、南翔太、坂本浩一監督、アベユーイチ監督、宮野真守が登壇した。

  • 左より:坂本浩一監督、南翔太さん、宮野真守さん、ウルトラマンゼロ、小柳友さん、アベユーイチ監督

まず初めに、ウルトラマンゼロの出演作品リストを参照しながら、ゼロ活躍した10年間の歴史をふりかえってみよう。

2009年
『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE』
●テクターギアを装着して、ウルトラマンレオとの特訓に明け暮れる毎日を過ごす
●M78星雲・光の国を襲撃したウルトラマンベリアルに立ち向かう
●父ウルトラセブンと和解
2010年
『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』
『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』
●ラン青年と一体化し、ウルトラゼロアイで変身
●ミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットと共に「ウルティメイトフォースゼロ」を結成する
2011年
『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』
2012年
『ウルトラマンサーガ』
●スーパーGUTS隊員タイガ・ノゾムと一体化し、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンコスモスと共にバット星人の侵略から地球を救う
2012年
『ウルトラゼロファイト』第一部「新たなる力」第二部「輝きのゼロ」
●ストロングコロナ、ルナミラクルにチェンジして戦う力を身に着ける
●シャイニングウルトラマンゼロに覚醒
2015年
『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ十勇士』
●ウルトラマンギンガ=ヒカルとウルトラマンビクトリー=ショウに特訓を施す
『ウルトラマンX』第5話「イージス 光る時」
●ウルトラマンエックスを助けてブラックキングと戦う
2016年
『劇場版 ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』
●ギンガ、ビクトリー、マックス、ネクサスと共に怪獣たちを迎えうつ
2017年
『劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』
●ウルトラマンオーブに加勢。その後、宇宙の脅威を防ぐべくオーブに救援を求める
2017年
『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』
『ウルトラマンジード』
●伊賀栗レイトと一体化し、ウルトラマンジード=リクと共に地球を守る
●ウルトラマンゼロ ビヨンドに強化
2018年
『劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』
●レイトとふたたび一体化して、ジード、オーブと共にギルバリスを迎えうつ
2019年
『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』
●ウルトラウーマングリージョを助け、ダークキラー、ゼロダークネスと戦う
『ウルトラマンタイガ』第23話「激突!ウルトラビッグマッチ!」
●ウルトラマンタイガにプラズマゼロレットを授ける
2020年
『ウルトラマンZ』
●自分のことを師匠と呼ぶ若き戦士ウルトラマンゼットに、ウルトラゼットライザーとウルトラメダルを与える

ご存じウルトラマンゼロの声優であり、数々のアニメ作品やテレビバラエティ、ドラマなど幅広いジャンルでも活躍する宮野真守は、ゼロ登場作品の年表を見ながら「たくさんの作品にお邪魔していますね(笑)。2009年から始まり、現在までたくさんゼロが活躍しているのはすごくうれしいし、感慨深い」としみじみ感想を述べた。

また、ゼロの声を初めて演じたときの思い聞かれた宮野は、「これだけ言葉を話すウルトラマンは前例がなかったはずで、僕も最初は試行錯誤がありました。でも、少し不良っぽいところ、未熟なウルトラマンというゼロのキャラクターがカッコよかった」と、『ウルトラ銀河伝説』当時をふりかえった。さらには「ウルトラマンにはみんな"シュワッ!"みたいなかけ声のバリエーションがあるから、宮野さんも考えてくださいって言われて、僕もゼロっぽくやんちゃな"ジェアッ!"とかいろいろかけ声を考えて楽しかった」と、セリフのみならず戦闘時のかけ声も自身で工夫をしながら生み出していたことを明かした。

2010年公開の『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』でウルトラマンゼロの人間態・ラン役を演じた小柳友は、「意識を失ったランの体を救うため、ゼロと一体化した設定なので、ランの本体は眠っていて、意識そのものがゼロなんですね。だからゼロの気持ちを研究しないといけないと思い、ウルトラ銀河伝説もウルトラマンゼロVSダークロプスゼロもめちゃくちゃ観ました。だから今日は南さんにお会いできて、本当にうれしかったんです。"あっ、本物だ!"って(笑)」と、前作で主役を務めた南と並んでトークができることに感激するようすを見せた。

アベユーイチ監督から「ラン(ゼロと一体化)が泣くシーンを撮る際、小柳くんから"ウルトラマンとして泣けない"と言われたとき、ウルトラマン(の人格)を人間が演じるのって、それだけ難しいのかと痛感した」と言われた際には、「アベ監督はランが涙を流すシーンがきれいに撮れるまで、まる一日、8時間くらい待っていてくれたんです。これ以後もいろんな作品で撮影をしてきましたが、そんなに演技のための時間を作ってもらえるのは、ほぼありえないこと。今思えば、あのときは幸せな時間だった」と、最高の演技を引き出せるまでアベ監督が粘りに粘ったことをふりかえり、改めて感謝の言葉を述べた。「好きなゼロのタイプチェンジ」を聞かれた小柳は「ウルティメイトイージスを装着した"ウルティメイトゼロ"」を挙げ「弓を引っ張って、撃つのかと思いきや、弓ごと自分で飛んでいくという! これすごいな、画期的だなという思いが強いです」と、ウルティメイトイージスを武器として構えるファイナルウルティメイトゼロモードのインパクトの強さを力説した。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でゼロと共演したほか、テレビシリーズ『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(2007年)『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEVER ENDING ODYSSEY』(2008年)でも活躍を見せたレイ役・南翔太は「ゼロの魅力は、強くて優しいところ。もちろんカッコいい立ち回りや声も魅力なんですけどね。最初はテクターギアを着けていて、なんだか正義か悪か分からなかったゼロが、側にチョロチョロしてきたピグモンを助けるんですよ。その姿を見て"カッコいい~~!"って(笑)」と、不良っぽいふるまいと、その内面の優しさによって発生する"ギャップ"をゼロの魅力として挙げた。また南は、ゼロと一緒に出演したライブショーで行なわれた、子どもたちとのサイン会の思い出を語り「たくさんの子どもたちが集まってくれて、予定時間をはるかに越えて、サイン会が終わったときはもう真っ暗になっていました。戦いが終わり、平和が訪れました、というときになり、ゼロが"泣いた"んですよ。僕はこんな場所に居られてうれしいって……。そんなゼロの姿を見て『ゼロがゼロだから、ゼロなんだな』って感動したんです」と、少し伝わりにくいものの、愛すべきゼロのキャラクターは映像作品でもライブショーでも変わらず「ゼロらしさ」を貫いていることへの感激をあらわにした。

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』のメガホンを取った坂本浩一監督は「ゼロのキャラクターの原点は『あしたのジョー』の矢吹丈。『ウルトラ銀河伝説』で初登場したときは、ウルトラ戦士の中では高校生くらいの年齢を想定していました。ゼロには僕の理想の男性像が込められています。強さがありながらも、優しい心が備わっている。頼れるお兄ちゃん的なヒーローですね。手の届かない存在じゃなくて、親近感があって"友だちになりたい"とみんなが思えるような部分を備えるウルトラマンを作ってみたかったんです」と語り、ウルトラマンゼロの誕生秘話というべき貴重なコメントが飛び出した。

坂本監督は『ウルトラマンジード』や『ウルトラギャラクシーファイト』など、10年の間に"戦いを経て成長したゼロ"を描いてきたが、「次にゼロを撮るなら?」という質問に対しては「仲間が出来て、家族の愛を知って、後輩が出来て、弟子が出来た今、ゼロは着実に成長していると思います。しかしその反面、もともと持っていた"野性味"の強さをちょっと失くしてしまったんじゃないか……。それを今後の課題として、今のゼロに以前の"野性味"を加えれば、もっと強くなれるんじゃないか。そんなゼロの姿を演出してみたい」と、ゼロのさらなる成長と発展を想起させる構想を明かした。

『ウルトラマンゼロTHE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』のアベユーイチ監督は「坂本監督の『ウルトラ銀河伝説』のゼロは高校生くらいの年齢を想定していたと聞き、『ベリ銀』をやるときはそこから少しは成長させないといけないかと思って、こんどは大学生かなと(笑)。実家を出て大学生活を送り、卒業して仲間といっしょに会社を作った、みたいな感覚で"ウルティメイトフォースゼロ"を作りました。『ベリ銀』をやったことにより、ゼロが"成長する"ウルトラマンだというのが印象づけられたんじゃないかと思っています。作品に出るたびに何かしらの成長を遂げていき、新しい魅力が備わっていく。ゼロはそうして10年もの間、ずっと人気を保ってきた」と、息の長いキャラクターとして愛されているゼロの人気の秘密を分析した。

新しいゼロの物語をどのように作りたいか?という問いについては、「『ベリ銀』の数年後、何があったのかという物語をこの10年間考え続けています。惑星エスメラルダの地下で発見された不思議な"ゲート"が鍵となり、ランやナオ、ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤー、ゼロが別の時空にワープして活躍するストーリーです」と、この場で初めて明かしたという、一部分を聞いただけでワクワクが止まらない『ベリ銀』の続編構想を熱く語った。

その後、イベントはファンが選ぶ「ゼロの名台詞総選挙」の結果発表、そして『ベリ銀』でナオ少年を演じ、後に『ウルトラマンジード』で朝倉リク役を務めた濱田龍臣によるビデオメッセージと続いた。小柳はひさびさの「弟」との再会について「当時、舞台挨拶で僕は観客の子どもたちに向かって"みんなもウルトラマンになれるよ!"って言っていたんです。そうしたら、僕のいちばん近くにいた龍臣くんが『ジード』でウルトラマンになってくれた。"夢を叶える力"というものを、彼が自分自身の姿で教えてくれたと思っています」と、感慨深く語っていた。

イベント後半では、ウルトラマンゼロにまつわる最新情報がぞくぞくと発表された。

2020年冬、全世界に向けて公開が予定されている「YouTubeウルトラマン公式チャンネル登録者100万人突破記念作品」『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』のプロモーション映像に続いて、本作の主題歌「ZERO to INFINITY」の歌唱・作詞を宮野真守が務めることが明かされた。宮野がウルトラマンシリーズの主題歌の歌唱と作詞を手がけるのは、2011年「DREAM FIGHTER」、2012年「ULTRA FLY」に続き3作目となる。

宮野は「疾走感だけじゃなく、グルーブ感のある曲がいいなと思っていました。今はこういう厳しい状況で、だからこそ聴いてくださる人たちに希望を与えるというか"光"を信じる歌にしたかった。ゼロの個性と、仲間の個性が出会ったら、可能性は無限大になる。みんなも人と出会って、たくさん思いをつないでいった先に、必ず無限大のすばらしい世界が待っているよ、と思いを込めて歌詞を書きました」と、完成した主題歌に確かな手ごたえを感じつつ、熱いメッセージを残した。

さらに

●「S.H.Figuartsウルトラマンゼロ ビヨンド(ギャラクシーグリッター)」発売
●dTVにて「ウルトラマンゼロ」関連作品が配信中
●ウルトラマンゼロ10周年THANKS CARAVAN 実施中

といったトピックスが飛び出し、ステージ上を沸かせた。

そして、グレンファイヤーの声を演じた関智一によるスペシャルなビデオメッセージが寄せられた。その中で、配信サイト「TSUBURAYA GALAXY」にて、ウルティメイトフォースゼロの「新作小説」の連載が決定したという最新情報が告げられた。この小説は、『ウルトラゼロファイト』から『ウルトラマンジード』の間に位置する物語となり、ウルティメイトフォースゼロのメンバーそれぞれにフォーカスが当てられた「全6話」のストーリーが展開するという。

イベントの最後には、各ゲストから視聴者へのメッセージが送られた。坂本監督は「この10 年間、本当にあっという間にでしたね。これからもゼロの活躍を描けるように自分も頑張っていきますので、ウルトラマンゼロ、そしてウルトラマンシリーズを応援して下さい」と、今後も変わらぬゼロへの応援をよびかけた。

アベ監督は「この10年の間に、本当に色々なことがあって。現実世界で震災やコロナなどが起こっている中で、元気をくれる存在がゼロで、そんなゼロに関わる事が出来たのは光栄だなと思います。これからもみなさんと共に、乗りこえていきましょう。よろしくお願い致します」と人々の"絆"を大切にしつつ、困難を乗り越えようと語った。

南は「ゼロ10周年おめでとうございます。今は大変な世界が来ています。そこで逃げたりあきらめたりすることは簡単だと思いますが、ゼロがいまもすごい力で戦っていられるのは、逃げずに立ち向かって、仲間と支え合ってきたからだと思います。しんどいな、大変だなと思った時には"ウルトラマンゼロが自分の中にいる"ということを考えながら過ごしていただけたらうれしいと思います」と語り、ファンに感謝を述べた。

小柳は「こういった(ウルトラマン関連の)イベントに参加するのは初めてでした。改めてゼロは素晴らしく、いままでにないキャラクターだなと感じました。このゼロに、僕も少しだけなることができたのは誇りです。いま本当に大変なときだからこそ、仲間を信じてできる事ってたくさんあると思います。ゼロはこれからも僕たちのことを見守ってくれているはずです。また、ウルトラマンゼロになれることを待っています」と、ふたたびランとしてウルトラマンの作品世界に入りたいという希望を語った。

最後に宮野は「人間臭さがゼロの魅力。さまざまなキャラクターに対面するごとにゼロが成長していき、コミカルな部分やヒーロー然としていない部分が出てきたり、いままでのヒーローとは違う個性や感情があると感じていて、そこが魅力だと思います。いろいろな場面で、さまざまな顔を見せてくれたゼロが大好きです。自分自身もチャレンジし続けて、彼の魅力をもっともっと広げていけるようにという思いでいます。きっと、これからも20年、30年と応援し続けていただければ、違ったゼロや新しい姿のゼロ、あるいは変わらないなという姿だったりを、みなさんと共有していけると思います。これからも、ウルトラマンゼロ、そしてウルトラマンの応援をよろしくお願いします」と、10年間ずっと声を演じ続けてきたウルトラマンゼロへの熱き思いを再確認すると同時に、今後もゼロといっしょにさまざまな冒険を続けたいという強い意欲を見せ、イベントをしめくくった。

■宮野真守20thシングル 「ZERO to INFINITY」
2020年冬配信開始 『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』 主題歌
【発売日】 2020年12月9日(水)
【価格】 1,300円(税別)

(C)円谷プロ