キャリアビジョンという言葉を聞いたことがありますか? これから社会人になる新卒者も、すでに社会人として働く人にとってもキャリアビジョンを描くことはとても重要です。
そこで、キャリアビジョンの意味と考え方を理解し、正しく描いていくための方法や伝え方についてまとめました。自分の価値観について振り返るいい機会にしてみましょう。
キャリアビジョンとは
キャリアビジョンを考えていくにあたって、意味をしっかり理解しておきましょう。
キャリアビジョンの意味とは
キャリアビジョンは、人生や仕事において、自分自身がなりたいと思う姿のことを指します。自分の大切な価値観や考え方を反映していきながらキャリアビジョンを描いていくことで、より明確に自己理解をすることができます。
キャリアビジョンに関連する類似語の意味を理解する
キャリアビジョンに関する言葉はいくつかあります。類似語との違いを明確にしておくとより定義がわかりやすくなります。
例えば「キャリアプラン」という言葉の場合は、どのような仕事をしていきたいか目標を持って達成していくための計画を練ることをいいます。他にも「キャリアデザイン」という言葉には、自分自身の職業を主体的に設計(デザイン)していくという意味があります。
仕事だけがキャリアと考えない
「キャリアプラン」や「キャリアデザイン」と比べ、キャリアビジョンという言葉は仕事だけでなく人生のライフプランも考えながら、自分自身の将来像を描き形成していくことを指すと言えます。
キャリアビジョンを描くことの重要性
キャリアビジョンが重要視されるのには理由があります。キャリアビジョンを描くことで何がわかるかを理解するようにしましょう。
キャリアビジョンを考えるメリット
キャリアビジョンを描くためには、人生の長期的な目標を考える必要があります。そのため過去を振り返りながら「1年後」「5年後」「10年後」と段階ごとにどのようにキャリアを積んでいきたいかを考え直すきっかけになります。
そして、キャリアビジョンを形成することで目標が明確になり、未来の理想のために今自分が何をするべきかがわかるようになります。「将来仕事で昇進したい」「住みたい場所がある」などの目標がある場合には、その目標を達成するために積み重ねて努力する必要があります。
また、将来のビジョンを描いていくなかで普段自分が何気なくしていたことや譲れないことなどの価値観を知り、自分自身を再発見することができます。
ただ漠然と理想を描くだけでなく、期限を決めたビジョンを作ることで、今必要なことがわかり、余計なことに時間を消費する無駄を減らせます。
面接でキャリアビジョンを聞かれる意味
転職活動をしていると、面接でキャリアビジョンを聞かれるケースがあります。「入社してからでないとわからないので、キャリアビジョンはまだ描けない」と思う人もいるかもしれません。しかし企業側にとっては、これから共に働くかもしれない人材がどのような人であるかを判別するために重要な質問です。
キャリアビジョンが描けるということは、入社してからの働くイメージがついていることになります。面接の担当者はより具体的にイメージを想像し、伝えてくれる人であれば活躍を期待できることでしょう。それに、それぞれの適性に合わせて人材配置をする必要があるので、適性を見ることにもキャリアビジョンの質問は有効です。
面接では、キャリアビジョンだけでなく今の希望を聞かれるケースも少なくありません。その場合、現在の希望とキャリアビジョンに一貫性があるかどうかも判断のポイントになっていきます。
目標に対して達成していくための行動が伴っていないと、企業側は不信感を抱いてしまう恐れがあります。注意しましょう。
キャリアビジョンの描き方
キャリアビジョンの概要がわかったのであれば、実際に準備を始めていきましょう。
過去の自分を分析する
実際にキャリアビジョンを描いていくためにまず必要なのは、過去の自分を分析してみることです。過去の体験を振り返り、そのときに感じたことなどを書き出してみると、体験から得た教訓や価値観を再認識できます。
自分自身の価値観を定義する
次に今までの人生で形成された自分自身の価値観を基準に、未来の自分はどうなりたいのかを考えます。さまざまな価値観が出てきた場合は、そのなかでも自分が一番大事にしてきたことなど、優先順位を決めるようにしましょう。そうすることでやりたいことの順位付けもしやすくなります。
将来の理想を想像してみる
やりたいことが見つかったら、その先のゴールを設定していきましょう。そうすることで、今の状態がどのくらいで、達成するために何が必要なのかが明確になっていきます。どのように達成していくかは、より具体的に段階を考えることで、実現もしやすく、人に伝えるときにもわかりやすくなります。
キャリアビジョンをまとめるときのポイント
キャリアビジョンは人生設計も含めて考えていくものなので、ライフイベントも考慮して考えるほうがいいでしょう。
特に女性の場合は結婚や出産に関しては、企業側も早期離職を避けるために入社前に聞かれるケースがあります。ライフイベントも考慮した上で企業に応募していることを伝えるようにしましょう。
正しいキャリアビジョンの伝え方
キャリアビジョンがしっかりと描けたら、人にしっかりと伝えられるようにしましょう。
面接での答え方
面接でキャリアビジョンについて質問された場合は、作文やスピーチのように長く話すのではなく、わかりやすく結論から伝えていくようにしましょう。「何年後にどこで、どんな人になることを目標にしている」のように伝えるとわかりやすいでしょう。
そして結論についての理由を述べたあとに、補足としてそのためにやっていきたいことや今行っていることなどを伝えるとより具体的になります。最後にまとめとして結論を再度伝えるとより伝わりやすくなります。
【例文】
私はキャリアビジョンとして、10年後までにマネージャーとして活躍し、売り上げアップに貢献できる人材になりたいと考えております。
〇〇で学んだ〇〇を生かして、お客様に対して御社のサービスをより魅力的に伝えるためにニーズを理解し、心のこもった提案をできるようにしていきたいと思っています。
そのために、先輩方の背中を見てより多くの業務を学び、早く仕事の幅が広がるように尽力していきます。
そして10年後にはお客様からも社内のなかでも頼られる存在となり、マネージャーとしてチームの核となりさらなるサービスの向上や利益への貢献と、顧客満足度アップを目指していきたいと思っています。
「安定」や「給与」などの回答は控えたほうがよい
キャリアビジョンは自分のライフプランを考慮して考えるものではありますが、企業の面接でキャリアビジョンを述べる際にはしっかりと仕事につながる内容を伝えることが大切です。
安定した職業や年収アップのために選んでいると思われてしまうと、「他の企業でもよいのではないか」と思われてしまいます。必ず面接をした企業で目指せるキャリアビジョンを描き、企業にとってもメリットがあるように伝えましょう。
まとめ
キャリアビジョンを描くことは転職などに限らずに定期的に行っていくことがおすすめです。今の仕事で、この先どのようなキャリアを積んでいけるかの振り返りに便利だからです。
自分が将来なりたい姿を想像するだけでも、仕事に対するモチベーションが変化していくので、具体的な数字や人物像をイメージしながら、自分なりに描いてみましょう。