インターネットイニシアティブ(IIJ)は、同社のMVNOサービス「IIJmio」において、最低480円から利用できる従量制の新プランを発表した。パケット使用量が少ない人や、5割出社で利用量の上下が激しい人をターゲットに、柔軟に対応できる料金体系を提供する。
最低料金480円、増量は1GBあたり200円
今回追加された新プラン「IIJmioモバイルプラスサービス 従量制プラン」(以下、従量制プラン)は、SMS機能付きのデータSIMが月額480円(基本容量1GB)、音声機能付きSIMの場合は1,180円からスタートし、以降は1GB単位(最初のみ220円、3GB以降は1GB=200円)で最大20GBまで上限到達後は最大200kbpsに速度が限定される)。
なお、余った容量の翌月への繰越は行われない。また、追加でSIMを購入する場合、3枚まで追加できる(SIM発行手数料は1枚406円、SIM1枚につき月額400円)。ほかのコースからの移行は行えず、新規契約のみを対象としたプランとなる。また店頭での受付は行わず、ネットでの申し込みのみとなる。
このほか、固定回線サービス「IIJmioひかり」とセットで契約すると、毎月600円の割引が適用される。たとえばIIJmioひかりとデータSIMの基本料金だけで契約した場合、モバイル回線は実質無料で、IIJmioひかりも120円引きとなる。
自宅中心のテレワークユーザーに最適
低価格で維持できるプランとしては、これまで月額最低500円(基本容量1GB)からスタートし、3GB(エコプランミニマム)または7GB(エコプランスタンダード)を上限として0.5GB単位(0.5GB=100円)で上昇していく「エコプラン」があったが、重量制プランはエコプランと入れ替わる形で追加される(エコプランは8月20日で受付停止)。
従量制プランはauの4G LTE回線を使う「タイプA」のみの契約となり、ドコモ回線(タイプD)は利用できない。タイプAのみとなったことについては、データ回線契約にSMSが付与していることや、サービス設計をシンプルにするといった理由からタイプAのみとなったとのこと。また、追加容量が0.5GB刻みから1GB刻みになったことについては、ユーザーからわかりにくいという声があったため、1GB単位にしたという。
なお、従量制プランの開始を記念して、8月20日~9月30日に申し込むと、初期費用3,000円が1円になるキャンペーンが実施される。また、対象機種を割安で販売するキャンペーンも実施される。
法人需要が高まりIIJのモバイル回線は順調に成長中
IIJの執行役員でMVNO事業部長の矢吹重雄氏によれば、IIJのモバイル回線サービスは、第1四半期末で約311万4,000回線に到達した。新型コロナウイルスによる首都圏の店舗休業や外出自粛の影響により、個人向けサービスのIIJmioは新規獲得が低調だったが、それでも郊外店で顧客を獲得し、プラス成長となった。また法人ビジネスではIoTやM2Mといった分野、さらにリモートアクセスのニーズが高まったことで、売り上げは18.2%増と大幅な伸びを見せた。
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フルMVNOサービスについても、インバウンド関連の減収を法人需要の大幅な伸長でカバーできたという。また、eSIMサービスについては1.5万回線を超えて順調に契約を伸ばしている。
新型コロナウイルスの影響については、3月から5月末にかけて、ブロードバンドでは平日昼間の通信量が大幅に増加(緊急事態宣言解除後に減少)。一方、モバイルではインバウンド旅行者の減少や外出自粛の影響もあり、トラフィックが減少したが、一方でリモートワークの需要は増えたという。
また、エコプランユーザーを対象としたアンケートでは、主な用途は電話・メール・SNSで、繰越容量も使いきれないため、安くて低容量のプランが欲しいこと、また複数の機器でパケットをシェアしたいという需要が多く寄せられたという。また、ブロードバンドサービスとセットで経済的なプランが必要という判断もあったとのこと。
今回新たに追加された従量制プランについては、こうした需要に答える形で、主に月の利用パケットが3GB未満のユーザー、あるいはテレワークなどの影響で月毎の利用量の変化が大きいユーザー向けのサービスとして構築されているという。
他社サービスへの対抗に関しては、日本通信の通話定額プランについて、矢吹氏から、対抗サービスについては前向きに検討しているものの、「各キャリアと交渉中ではあるが、まだ判断材料が揃っていない」との発言があった。また楽天モバイルの影響については、多少はあるものの、第一四半期については新型コロナウイルスの影響のほうが大きいと見ているということだった。