8月19日(米国時間)のNASDAQ市場で、米Appleの時価総額が米企業で初めて2兆ドルを突破した。2兆ドルを超えは2019年12月にSaudi Aramcoが上場直後に記録して以来。現在Appleは時価総額で世界首位に立っている。
新型コロナウイルスの感染拡大で2〜3月に米株式相場が急落。その後の景気対策や経済活動再開への期待で4月から回復し始める中、在宅勤務、オンライン会議、遠隔診療、フードデリバリーの利用といった新型コロナ禍における人々のライフスタイルの変化を受けて、IT企業が多く上場するNASDAQ市場に投資資金が流入した。新型コロナ禍においても安定して製品を供給し、また新製品も発表してきたAppleの株価は上昇を続け、7月末にSaudi Aramcoを抜いて時価総額首位になった。
その後もApple株が上昇を続けている要因の1つがサービスの順調な伸びだ。Appleは2019年に成長著しいサービス事業を強化し、2020年4〜6月期も売上高が前年同期比15%増の131億5600万ドルを記録。iPhoneに次ぐ事業に成長した後も2桁の伸びを継続している。デジタル分野のサービスは、新型コロナ禍においても安定した収入を予測できる。そのため、投資家がiPhoneとソフトウェアの2本柱でAppleを評価するようになった。今や多くのアナリストが、Appleの安定成長の目安として、デバイスの販売台数ではなく、アクティブに使用されているAppleデバイスの数とサービスの伸びを重んじている。
もう1つの柱であるiPhoneについても、今年は5Gへの移行で買い換え需要が高まるスーパーサイクルの年になると予想されている。4〜6月期決算発表において秋のiPhone新製品の提供が例年より数週間遅れる見通しを公表したが、見方を変えると、遅くとも10月前半にはiPhoneの新製品が登場し、Appleはスーパーサイクルの需要に応える準備を進めていると期待できる。また、6月期決算の発表において株式分割も発表しており、新型コロナ禍において株式相場への影響力を強める個人投資家がApple株を買いやすくなるという見通しもApple株を押し上げている。