開くと、描かれたキャラや建物などが出てくる「飛び出す絵本」。筆者が子どもの頃、何冊か家にあり、よく読む本は仕掛け部分が破れてセロテープで補修していました。

大人になってからは、その手の本を見る機会もなかったのですが、時代の変化は恐ろしく、今のものはとんでもないことになっているというツイートがありました。

  • 絵本から飛び出す恐竜の精巧さがヤバい ※タップで拡大

きっかけは、二人の娘を持つ歯科医という、は(@waldeshase)さんの投稿。そこで紹介されたのは、『ティラノサウルス とびだす解剖学ガイド』(大日本絵画)という絵本。その「飛び出た仕掛け」の精巧さに読者から驚きの声が上がっていました。

今日買った絵本。控えめに言ってすごすぎん?
ちなみにお腹はこれ。ゆるーくパタパタさせると、呼吸しているかのよう……
は(@waldeshase)より引用

  • 仕掛けの「本気度」は子ども向けと思えない

子ども向けの絵本とは思えない出来栄えに、「これは凄いですね。小学生時代に『週刊恐竜サウルス』を集めてた頃を思い出しました」「電子書籍にはできないことを最大限に生かしていて素晴らしい」「ストレートに凄いですね。これは子どもも大人も大喜び」「図書館に入れてほしいです」「おっほ て声出た」「最近の本はすげーな」と驚嘆したというコメントが多数寄せられていました。

また、「子どもは小さい時に触れた本を生涯忘れません。幼児期は発達の段階で脳に刻まれ 10代の感性が研ぎ澄まされた時に出会ったものは 心に刻まれます」「そういう系何作か子どもの頃に買ってもらった思い出がある。私の思い出の絵本です」「すごいですね! 買います!! 息子の大好物です」など、子どもの感受性に与える影響や、筆者のように昔の記憶を呼び覚まされたという声もありました。

絵本を購入したきっかけ

子どもには「大切な宝物」となりそうな今回の絵本、は(@waldeshase)さんに詳しいお話を伺いました。

――購入のきっかけを教えてください。

は(@waldeshase)さん: ムーゼの森にある、「軽井沢絵本の森美術館」で偶然手に取りました。私が歯科医で、また医者の家系なので、自宅には解剖に関する書籍が数多くあります。そのため「解剖学」という書名についつい目がいったのです(笑)。

――最初に絵本を見た時の、娘さんの反応は?

は(@waldeshase)さん: 娘は恐竜好きで、図鑑はたくさん持っているのですが、立体絵本となると食いつきが違いました。また、家で何度も見ているうちに、自分の体を指差して「ここに骨あるよ! ここに心臓あるよ!」と理解を示していますね。

自宅には1,000冊前後の本があるそうですが、この本ばかり持ってくるようになり、3歳のお姉ちゃんは「一緒に見ようよ!」と何度もおねだりするみたいです。また、1歳の妹さんは「破りたさそう(笑)」とのこと。

絵本が企画された経緯

こんな素敵な体験を生み出した絵本、どのようにして誕生したのでしょう。出版元である大日本絵画の担当者さんにもお話を聞いてみました。

――本書籍の企画経緯を教えてください。

担当者さん: これは海外の本の翻訳版ですが、企画段階のダミーを見た際に、「恐竜を解剖してみる」「腹部のページではT-rexをあおむけにしてお腹を開く」「何層も開ける」というアイデア、各仕掛けとなる「ポップアップの精巧さ」にあぜんとしました。

  • 担当者も仕掛けの精巧さに驚いたと話す 提供:大日本絵画

――他の飛び出す絵本との違いは何でしょうか?

担当者さん: ポップアップ絵本は飛び出すだけでも楽しいものですが、この本はポップアップを動かせたり、さらに開いて中をのぞけたりする仕掛けなので、実際に解剖しているような気分も味わえるのが特徴です。

そういえば、は(@waldeshase)さんも「仕掛け絵本は親の私の方が興奮してしまいますね。これ、口も開くし舌も動くんですよ! 顎関節が完全に再現されてるんです。眼球とか咬筋とかも見られるようにフラップになっていて……」とコメントしていました。

また、ツイッターのコメントで、「え、解説がディクソン先生? アフターマンの?」「ドゥーガル・ディクソンならこうなってしまうのも致し方なし(大絶賛)」という声があったのですが。

――作者や日本語版の監修した方について教えてください。

担当者さん: 原稿を書いたのは、『アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界』(ダイヤモンド社)や、多くの恐竜の本で有名なドゥーガル・ディクソンさんですので、恐竜マニアには気に入られる1冊になるはずと思いました。また、古生物学的にも正しい内容で刊行するため、ぜひ監修を付けたいと考えたところ、「フタバスズキリュウ」の新属新種としての名付け親で有名な古生物学者の佐藤たまき先生にお願いすることができ、翻訳内容も確かなものに仕上がっています。

ということで、実はそうそうたるメンバーの力でこの絵本が生まれたのです。ちなみに、このティラノサウルス版は第2弾で、第1弾として『とびだす人体 ポップアップ解剖実習教室』が先に出ていて、これも同様に動かせるポップアップ絵本だということです。