ともに49歳の同世代対決! 番勝負では2002年度の第28期棋王戦以来久々の激突
第33期竜王戦(主催:読売新聞社)挑戦者決定三番勝負第1局が本日8月17日に東京・将棋会館で行われています。ここまで決勝トーナメントを勝ち抜いてきたのは、羽生善治九段と丸山忠久九段。勝者が豊島将之竜王・名人への挑戦権獲得に大きく前進する、三番勝負の第1局を制するのは果たしてどちらになるのでしょうか。
羽生九段は1組優勝で決勝トーナメントに出場し、準決勝で梶浦宏孝六段を破りました。梶浦六段は決勝トーナメントを4連勝と、破竹の勢いで勝ち上がってきた若手棋士。どこまで勝ち進むのか注目されましたが、羽生九段が横歩取りの将棋で貫録を見せた格好です。
100期目のタイトル獲得を目指す羽生九段の、99期目のタイトルは竜王でした。第31期では広瀬章人八段の挑戦を受けて竜王位を失冠してしまい、それ以降2年間タイトル戦の舞台に登場できていません。「レジェンド羽生善治」とはいえ、あと1か月ほどで50歳。チャンスも年々少なくなってきており、この絶好機を逃すわけにはいかないでしょう。
丸山九段は2組2位でのトーナメント出場。藤井聡太棋聖、佐藤和俊七段、久保利明九段を破って挑決三番勝負に進出しました。タイトルホルダーとなった藤井棋聖に初黒星を付けたのが丸山九段です。
挑決三番勝負には6回目の登場となる丸山九段。七番勝負は第24、25、29期と3度戦いましたが、いずれも渡辺明竜王(当時)に敗れています。前回の29期は前代未聞の繰り上がりでのタイトル戦登場だったため、今回は是が非でも自力挑戦を決めたいはずです。
羽生九段と丸山九段の対戦成績は、羽生九段の38勝19敗。タイトル戦では1999年度の第47期王座戦と、2002年度の第28期棋王戦の2度激突しています。ともに羽生九段がタイトルホルダー、丸山九段が挑戦者という構図で、王座戦は羽生九段防衛、棋王戦は丸山九段奪取という結果でした。
挑戦者決定三番勝負第1局は振り駒の結果、羽生九段の先手番となりました。丸山九段が後手のため、戦型はもちろん一手損角換わり。一手損角換わりは丸山九段の後手番時のエース戦法です。前述の藤井棋聖戦でも千日手指し直し局で採用し、勝利を収めています。
羽生九段は玉を囲わずに、早繰り銀で速攻を仕掛けました。丸山九段は飛車を4筋に振って対抗。飛車の利きを生かして、羽生九段の銀取りに△4五歩と突きました。羽生九段は32分の考慮の末、▲2三歩成と着手。△同銀に対し、4六の銀を▲3五銀と出て攻めを継続するか、▲3七銀と一旦引いて立て直すか。記事執筆中の11時40分現在、羽生九段は作戦の岐路を迎えています。一方、驚くべきことに30手目△2三同銀まで丸山九段は全く持ち時間を使っていません。自身の得意戦法なだけに相当深く、広く研究しているのでしょう。30手目までの両者の消費時間は羽生九段1時間10分、丸山九段0分です。
三番勝負の大事な初戦を取るのは果たしてどちらになるのでしょうか。決着は本日夜になる見込みです。