岩手県営運動公園スポーツクライミング競技場(岩手県盛岡市)にて8月9~11日、スポーツクライミング第33回リードジャパンカップが開催された。

  • 男子決勝では西田秀聖選手、女子決勝では森秋彩選手が優勝した

「スポーツクライミング」は、東京2020大会の正式種目になっており、リード・ボルダリング・スピードの3種目がある。今回行われた「スポーツクライミング第33回リードジャパンカップ」は、スポーツクライミングのリード種目で日本一を決める大会だ。

  • 決勝の日の会場の様子

本来であれば3月7~8日に開催予定となっていたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い、やむなく延期となっていた。感染予防のため、無観客での開催となったものの、熱戦の様子は、YouToube、SPORTS BULLでライブ放映された。

男子予選が行われた9日はあいにくの雨天。コンディションは決していいとは言えないなか、日本記録を持つ楢崎智亜選手が首位通過した。翌10日の男子準決勝では、予選13位だった西田秀聖選手が首位に、2位には藤井快選手が付き、予選でトップだった楢崎選手は5位という結果に。10日には女子予選も行われ、野口啓代選手がトップで通過した。2位は森秋彩選手、野中生萌選手となった。

男子予選が行われた9日とはうって変わり、快晴となった11日には、女子準決勝、男女決勝を開催。女子準決勝の1位は森選手、2位は谷井菜月選手で、3位には予選でトップだった野口選手が続いた。

14時30分からは、大会を締めくくる男女決勝がスタート。試合前には、登る前に実際にコースを見て、手順などを予測する「オブザベーション」の時間が設けられる。今大会では男女ともに、他選手とコミュニケーションしつつ、どのように登っていくか、それぞれ戦略を練っている様子が見られた。

  • 登る前に実際にコースを見る「オブザベーション」

  • 他選手とコミュニケーションすることも

太陽が高くなるにつれ気温は上がり、決勝がスタートした15時過ぎには気温は32度に。暑さとの戦いも予想されるなか、男子決勝にコマを進めたのは、楢崎選手、西田選手、藤井選手、村下善乙選手、樋口純裕選手、緒方良行選手、田中修太選手、吉田智音選手の8名。

今回、多くの選手が高度28+に苦戦し、準決勝で2位をマークした藤井選手も高度28+でフォール。楢崎選手も惜しくも高度35+でフォールした。

  • 男子決勝の様子

アンカークライマーとして登場したのは西田選手。ライブ放映の画面を通して多くのファンが見守るなか、多くの選手が苦戦した高度28+、吉田選手、田中選手の高度を越えてトップホールドまで到達。唯一の完登となり、王者の座を獲得した。

  • 左から、男子決勝2位の吉田智音選手、優勝の西田秀聖選手、3位の田中修太選手

女子決勝には、森選手、谷井選手、野口選手、伊藤ふたば選手、小池はな選手、柿崎未羽選手、阿部桃子選手、平野夏海選手の8名が進んだ。次々と若手が登場するスポーツクライミングであるだけに、今回の決勝進出メンバーも野口選手以外は全員10代となる。

男子決勝ではフォールが多かったが、女子決勝は競技順1番目の平野選手が見事完登を決めたのを皮切りに、柿崎選手、野口選手と完登者が続出した。

  • 女子決勝では完登者が続出

アンカークライマーは森選手。続々と完登者が現れた試合の雰囲気に「絶対に登らないといけないと思った」と言う森選手は、守りでなく攻める戦いで見事にトップホールドに手をかけた。3度目のカウントバックが適用され、2年ぶりの優勝を決めた。

  • 左から、女子決勝2位の野口啓代選手、優勝の森秋彩選手、3位の柿崎未羽選手

なお、同大会の協賛企業である久光製薬は、例年、大会を盛り上げるべく会場にブースを設け、ノベルティグッズなどの配布を行ってきたが、今年は新型コロナ感染予防のためブース出展は中止。今後も同社では、協賛するスポーツ大会の支援を引き続き行っていく。