貴重な名車たちが夢の共演を果たした「オートモビルカウンシル2020」(AUTOMOBILE COUNCIL 2020、会場:千葉県の幕張メッセ、会期:7/31~8/2)。マツダのブースには、同社の小型自動車参入1号機であり、のちの大ヒット商品「ファミリア」の源流となった「ファミリアバン」が展示されていた。そのほかの名車と共に写真で見ていこう。
高速化時代を背景に782ccエンジンを搭載
第1回日本カーオブザイヤーを受賞した「ファミリア」は、長きにわたりマツダの主力商品として君臨し続けた名車だ。赤の「XG」が当時の若者に大ヒットした5代目のイメージからハッチバックの印象が強いファミリアだが、その歴史をひも解くと、1963年9月に発売となった「ファミリアバン」へとたどり着く。
マツダが「ファミリア」をバンから売り始めたのには理由がある。当時の社長だった松田恒治氏は、純粋な乗用車よりも、商用利用と兼用できるバンの方に大きな需要があると分析。3輪トラックで付き合いのあった販売会社や顧客とも、バンの方が親和性が高いと考えたのだ。その後、1964年に「ファミリアセダン」、1965年に「ファミリアクーペ」が加わり、初代ファミリアのラインアップは完成した。
「ファミリアバン」のエンジンは、「キャロル360」で実績のあったオールアルミ製4気筒OHVエンジンを782ccにスケールアップしたもの。最高出力は42psまで向上していた。当時の日本では、名神高速道路の尼崎~栗東間が1963年7月に開通し、1964年のオリンピックに向けた首都高速道路の整備が急ピッチで進められていた。ファミリアが馬力を向上させた背景には日本の「スピード化」があったのだ。
デザインに目を移せば、外周に配されたメッキモールやアルミ製のフロントグリルなどが高級感を感じさせる。このデザインを手がけたのが福田成徳氏だ。福田氏といえば、マツダデザインの初代本部長にして初代「ロードスター」(NA)の生みの親の1人である大物だが、当時は1962年に入社したばかりの新人。福田氏の才能があってこそのことではあるが、新人デザイナーの案を採用したマツダのチャレンジスピリットには驚くばかりだ。
ファミリアバンのように、自動車史に残るクルマを間近で見られる貴重な機会を提供してくれた「オートモビルカウンシル2020」。以下にご紹介する24台で、皆様にもタイムトラベル気分を存分に味わっていただきたい。