これまでに経験したことのない状況が続く今、日常生活を維持することに不安を感じている方も少なくありません。そんななか、自分が使える公的制度を理解しておくことは、日々の生活を守ることにもつながります。
制度やお金のことはどうしてもファミリー層の情報が多くなりがちですが、不安を抱えているのは独身サラリーマンだって同じ。
今回は、独身サラリーマンの方向けに、今だからこそ、知っておきたい制度を3つご紹介します。
働けなくなったときには「傷病手当金」
傷病手当金は、病気やケガで会社を休み、会社から給与が出なくなった場合に受給できます。給付には、以下の条件を満たす必要があります。
受給条件
1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
2.仕事に就くことができないこと
3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4.休業した期間について給与の支払いがないこと
仕事中や通勤途中の病気・ケガについては、労災保険の給付対象になります。
また、給与の支払いがあった場合、傷病手当金の額より少なければ、その差額が給付されます。
受給額
給与の約3分の2
受給期間
最長1年6カ月
新型コロナウイルス感染の疑いで会社を休む場合も、条件を満たせば傷病手当金の対象となります。
会社が倒産したときには「失業給付」
会社の状況が厳しく、職を失う不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
万が一、会社が倒産してしまった場合は、すぐに失業給付を申請しましょう。
受給条件
1.雇用保険の被保険者で、就職しようとする積極的な意思があること
2.離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12カ月以上あること
ただし、会社が倒産した場合は、「特定受給資格者」となり、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あることが条件となります。
受給額(基本手当日額)
賃金日額(※)の約50~80%(60歳~64歳は45~80%)
※離職した日の直前の6カ月に毎月決まって支払われた賃金賞(与等は除く)の合計を180で割って算出した金額
賃金が低い方ほど、高い率になります。
また、基本手当日額は、年齢毎に上限額が定められています。
受給期間
原則、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)
失業給付がもらえる期間を「所定給付日数」といいます。 所定給付日数は、離職理由や年齢、被保険者期間によって決められます。
会社の倒産により離職した場合の所定給付日数は、以下の通りです。
受給期間を過ぎると、所定給付日数分の支給を受け終わっていなくても、それ以降は受給できなくなるので、注意が必要です。
さらに、2020年6月12日には、新型コロナウイルス感染症等の影響により、求職活動の長期化等に対応するため、雇用保険特例法が成立しました。これにより、条件を満たせば、給付日数をさらに60日(一部30日)延長できるようになりました。
スキルアップしたいときには「教育訓練給付」
不安定な状況が続くなかで、万が一の倒産や解雇に備えて、自分自身のスキルアップを考えている方も多いようです。
「自宅で過ごす時間が増えている今だからこそ、チャレンジしたい! でも費用が……」。そんなときに活用できるのが「教育訓練給付」です。
情報処理技術者資格、簿記検定、介護職員初任者研修修了などを目指す「一般教育訓練給付」、看護師・保育士・社会福祉士など、中長期的なキャリア形成を目指す「専門実践教育訓練給付金」があります。
また、2019年10月には「特定一般教育訓練給付制度」が新設されました。これは、税理士・社会保険労務士などの取得を目指すものです。
受給条件
<雇用保険の被保険者(在職者)の場合>
一般教育訓練の受講開始日に被保険者期間が通算3年(初めて教育訓練給付金を受給する場合は1年/専門実践教育訓練給付金は2年)以上あること
<雇用保険の被保険者であった方(離職者)の場合>
被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であること。被保険者期間の要件は在職者と同じ。
受給額
<一般教育訓練給付金>
教育訓練費の20%(上限10万円)
<専門実践教育訓練給付金>
教育訓練費の50%(上限40万円) ※終了後、資格取得などして正社員などに雇用された場合は、さらに費用の20%が追加受給できます。
<特定一般教育訓練給付金>
教育訓練費の40%(上限20万円)
※ただし、一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金のいずれも、4,000円を超えない場合は、給付金を受給することはできません。
いかがだったでしょうか。
ご紹介したように、万が一の時や万が一に備えたい時に利用できる制度があります。まずは制度を知ることで、暮らしに少しでも安心が増やせるといいですね。