電力比較サイトを運営するエネチェンジの調査によると、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言後、テレワークの時間帯(9時~18時)の電気使用量が宣言前と比べ、94%増加していたことがわかりました。終日では60%の増加で、1カ月の電気代に換算すると3,493円のアップになります。テレワークに切り替えたことにより、これまで家にいなかった時間にも自宅で過ごしているので光熱費全般が上がってしまうのは確実ですが、電気代だけでも金額で見ると家計にとってかなりの負担であることがうかがえます。
コロナ禍に伴う不況がまん延するご時世ですから、余分な出費は極力抑えたいと考えている人が多いはず。そこで本稿では、電気代を押し上げてしまう家電や、電気代の節約法をご紹介していきます。
テレワークで電気代を上げてしまう3つの家電
テレワークへの移行による電気代の上昇ですが、家の中の何が原因で約3,500円も電気代が上がってしまうのでしょうか。特に電気代がかかってしまう家電と、それぞれの電気代の目安をご紹介します。
電気代を上げてしまう家電1:照明
家中、どこででも使う照明ですが、テレワーク勤務によって普段家にいない時間帯にも照明を点けることになるため、当然電気代も上がってしまいます。ただ、その金額は蛍光灯とLEDで大きく異なってきます。蛍光灯とLEDの電気代をそれぞれ比べてみましょう。
蛍光灯の電気代
蛍光灯は、明るさや大きさによってさまざまな種類があります。 そのため、一概に言えませんが12畳用の蛍光灯シーリングライトの場合、1時間あたりの電気代は約3.1円です。一日8時間使うと仮定すると、年間では
3.1×8×365=9,052円
となり、約9,000円という計算になります。
LEDの電気代
ではLEDはどうでしょうか。上記と同じく12畳用のLEDシーリングライトの場合だと、1時間あたりの電気代は約1.2円です。やはり一日8時間使うと仮定すると、
1.2×8×365=3,504円
となり、蛍光灯と比べると5,000円以上も安くなっています。この差は決して少なくないですよね。
電気代を上げてしまう家電2:エアコン(空調設備)
毎年気温が上がる夏に一気に稼働時間が増えるのがエアコンです。テレワークになったことにより終日家にいる人も増えるので、今後ますます活躍する家電と言えるでしょう。
機種によって消費電力は異なるため電気代も変わってきますが、冷房を使う場合の電気代の目安は、1時間あたり3.5円~20円前後です。
仮に7月から9月までの3カ月間、一日6時間使うと仮定すると、3.5円の方は
3.5×6×90=1,890円
となり、20円の方は
20×6×90=10,800
とざっくり試算できます。
同様に、暖房を使う場合の電気代の目安は1時間あたり3.5円~40円前後です。仮に12月から2月までの3カ月間、一日6時間使うと仮定すると、3.5円の方は
3.5×6×90=1,890円
となり、20円の方は
20×6×90=21,600
とざっくり試算できます。
こうやって見ると、夏と冬のエアコン代が思いのほかかかっている事実に気づかれるのではないでしょうか。
電気代を上げてしまう家電3:PC関連
PCやその周辺機器は、テレワークで持ち帰った仕事をするためだけでなく、WEBカメラをつないで行うオンライン会議などでも活用します。テレワークにおいては必要不可欠なこれらも電気代を上げてしまう原因となります。デスクトップPCとノートPCの電気代の目安について見てみましょう。
デスクトップPCの電気代
デスクトップPCの消費電力は50~150Wとされており、一日10時間使用すると、1カ月で約330~990円、年間で約3,960~11,880円の電気代が目安になります。機器の性能にもよりますが、高性能なCPUなどが搭載されたものであれば、ここからさらに電気代が高くなる場合もあります。
ノートPCの電気代
ノートPCの場合も機種によって消費電力は異なりますが、一日10時間使用すると、1カ月で約132~198円かかります。年間で約1,584~2,376円の電気代になります。
テレワークにかかる電気代を節約する方法7選
ここからは、テレワークにかかる電気代を節約する方法をご紹介していきます。テレワークによって上がってしまった電気代にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
電気代節約法1:照明をLEDに取り替える
テレワーク中は使わざるをえない照明関係ですが、LEDに取り替えることで節約ができます。蛍光灯に比べて値段が高いというイメージがありますが、一見高くても、長い目で見ればもとを取ることができます。LEDの特徴の一つに蛍光灯や白熱灯と比べると約40倍長持ちし、消費電力も少ない点が挙げられます。長い時間使う点を考えると、何度も蛍光灯を買い替えるよりも、同じLED照明を長く使う方が節約になります。
電気代節約法2:カーテンを閉めてエアコンを使う
エアコンには関係なさそうですが、実はカーテンを閉めるだけでも室温に差が出ます。日光が入ることで室内の温度は上がってしまうので、効率よく部屋を冷やすためにカーテンを閉め、日光が入るのを防ぎましょう。カーテンを閉めることで部屋が暗くなりすぎてしまう場合は、網戸の外側にすだれをかけたり、窓ガラスに日よけシートをつけることも有効です。
電気代節約法3:場合によってはエアコンをつけっぱなしに
エアコンはこまめに消すほうが電気代の節約になりそうですが、実際は真逆です。エアコンは、運転を開始するときのほうが運転中よりも多くの電気を使うので、エアコンのスイッチのオン・オフを何度も切り替えてしまうとかえって余計な電気代がかかってしまいます。 部屋にいないときでも、エアコンをつけっぱなしにするほうが電気代の節約になるケースもあります。室温が充分下がったら設定温度を調節して冷えすぎを防ぎ、何度もスイッチを切り替えないようにしましょう。
電気代節約法4:狭い部屋で仕事する
誰でもできる方法ではありませんが、狭い部屋で仕事をすることも電気代の節約になります。同じメーカーの同一シリーズのエアコンを見てみると、29畳用は冷房の消費電力が約130~3,200Wであるのに対して、9畳用では約130~880Wと、大きな差があります。狭い部屋であればエアコンの消費電力は少なく、電気代の節約につながるでしょう。今後テレワーク業務が続くという人は、狭い部屋に仕事専用のスペースを構えるのも節約法と言えます。
電気代節約法5:休憩や離席時はスリープモードにする
テレワーク時、パソコンの前にいないときはスリープモードにすると電気代を節約できます。パソコンは起動時とシャットダウン時に最も電力を消費するため、90分以内の離席であればシャットダウンではなくスリープモードにしておく方が電気代を抑えることができると言われています。 会社でパソコンを使うときにはあまり意識しないかもしれませんが、自宅でのテレワークにおいて短時間の離席であればこまめにスリープモードにすることを意識しておくと節電につながります。
電気代節約法6:液晶画面の輝度を下げる
パソコンにおいて、特に消費電力の大きい箇所がディスプレイです。マイクロソフトによると、ディスプレイの輝度を100%から40%に下げることで、パソコン全体で約2割の節電になるそうです。
輝度40%の状態で一日3時間パソコンを使ったとして、1カ月間同じ条件で使用する場合、デスクトップなら40w電球27時間、ノートパソコンなら9時間分の電気代が節約できます。 初期設定だと明るさが強めになってることが多いため、画面が見づらくならない程度まで輝度を下げて、消費電力を抑えましょう。
電気代節約法7:電力会社を切り替える
電力会社別の料金比較サイトなどを参考にしながら、自分の住んでいる地域や環境に合った電力会社に切り替えて電気代そのものを見直してみるのも大切と言えるでしょう。 特に、今後もテレワークが長く続く人は光熱費の負担も増えてくるので、お得なプランを探しておくのがオススメです。電力会社やプランによっては細かな規約もあるので、しっかり調べて一番自分に合ったお得な電力会社に切り替えましょう。
テレワークでかさむ電気代を抑えよう
日本全国で猛威を振るう新型コロナウイルスの終息時期が見えないなかで、今もなお「3密」を避けるように呼びかけられています。引き続き政府からテレワークの推奨もされていますが、今後もエアコンを使う時間が増え、これまで以上に電気代が上がってしまうかもしれません。 今回紹介した電気代の節約法の中から実践できるものを使って、テレワークでかさむ電気代を抑えましょう。