KDDIとプロ野球球団の横浜DeNAベイスターズは8月11日、仮想空間に横浜スタジアムの一部を再現する「バーチャルハマスタ」のメディア向け説明会を開催した。8月4日に発表された横浜DeNAベイスターズとKDDIによる共同施策となる。
このバーチャルな横浜スタジアム、通称「ハマスタ」にPCやスマートフォンを介して訪れることで、自宅に居ながらにして球場の雰囲気が味わえる。その無料トライアルが、8月11日の横浜DeNAベイスターズ vs 阪神タイガース戦で開催されるのだ。
説明会ではまず、横浜DeNAベイスターズのブランド統括本部長・林裕幸氏が、「バーチャルハマスタ」開催の経緯について語った。2020年のプロ野球は、新型コロナウイルスの影響で開幕の延期を余儀なくされ、開幕後も観客上限5,000人という制限がある状況(8月11日現在)。
そうした中で横浜DeNAベイスターズは、開幕前はSNSを活用した「突撃!! ヤスアキマイク」、開幕後ではZoomを利用してファンがオンラインを介して一緒に観戦する「オンラインハマスタ」などの取り組みでファンと球団をつないできた。それらの施策に加えて、KDDIの協力によって新しい観戦体験を提供する場として、この「バーチャルハマスタ」を構築したとのこと。
KDDIのパーソナル事業本部 サービス統括本部 5G・xRサービス戦略部長・繁田光平氏も、KDDIの立場から「バーチャルハマスタ」の経緯を説明。元々は3月の開幕に合わせて、球場で5Gを活用した新しい体験を提供できるよう、現地にインフラを整備する予定だったという。ところが、ファンが球場に訪れることが難しくなってしまったため、現地で体験するものとはまた違ったプロ野球観戦として、バーチャルハマスタを進めてきた。リアルではできないが、バーチャルならできることを魅力としてアピールしたいとのことだ。
バーチャルハマスタの具体的な内容だが、まず自分がアバターになって仮想空間の横浜スタジアムに訪れる。スタジアムの入り口やコンコースなどが忠実に再現されており、ある程度の範囲内ながら自由に歩き回れて、まるで本当にハマスタへ行ったかのよう。また、バーチャルハマスタには巨大なスターマンや今永選手パネルなどが隠されているとのことなので、そういった現実との差を探す楽しみも加わっている。
バーチャルでの試合観戦は、バーチャルハマスタ内に入ってグラウンドに降りて、ビジョンに映される試合映像を見ることになる。簡単にいえば、オンライン版パブリックビューイングというイメージだ。ヒットや得点では派手な演出が行われるうえ、周囲にいるほかのユーザーとチャットなどで交流しつつジェット風船を飛ばしたりジャンプしたりと、リアルな球場観戦のような楽しみもある。
また、バーチャル空間内ではゲストが登場し、そこでしか聞けないトークイベントも。今回は、元横浜DeNAベイスターズの荒波翔氏とお笑いタレントの堤下敦氏がゲストとして参加予定。ほかにもサインボール抽選会といった企画もあるので、オンラインならではの新たな観戦体験が得られるだろう。
今回は試合中継映像のみになるが、今後は視線を移動させて現実のビジョンに映っている映像や球速表示などを見られるようになったりと、新たな機能が加わる構想があるという。
現地観戦、そしてテレビやインターネットよる試合中継に続く、第3の観戦スタイルとして確立することを目標として作られたバーチャルハマスタ。5,000人という限定人数ゆえの現地観戦チケットの取りにくさ、また通常時でも売り切れによるチケットの取りにくさを、気にしなくてもいいことになる。今回の無料トライアルから得られたフィードバックを元に、さらに進化して再び開催されるとのことなので、横浜DeNAベイスターズの大ファン、プロ野球の大ファンとして期待してやまない。
なお、バーチャルハマスタのプラットフォームにはVRサービス「cluster」が使われる。実際のサービスページ、横浜DeNAベイスターズの球団サイトも参照いただきたい。