どのくらいの時間をベッドの上で過ごしているのだろう。陣痛が何回きたのか、夫に何度励まされたのか。こんなに辛いが、まだ子宮口が10cmに達していないので、産んではいけない。もし、ここで堪えずに産んだら、私の体がバキバキのビリビリになり、相当悲惨なことになるので意地でも堪える。昔から、母に出産の痛みや厳しさは常々言われていて、どんなものかと思っていたが、こういう痛みとは……。割と早めに仕事も復帰したい願望もあったので、とにかく耐えた。崖っぷちギリギリを逆走しようとしても、なかなか前に進めない感じ。
陣痛が起きていない時間に、頑固な便秘が治る時の便意にも似た感覚があった。助産師さんに聞くと「それは赤ちゃんだから、トイレに行くことは絶対ダメ」と言われた。それは恐ろしすぎる……この陣痛が起きて、子宮が収縮していることは、赤ちゃんにとっても相当辛い環境な訳で、閉所恐怖症の私がもし、狭い産道を通れと言われても後ずさりする。赤ちゃんすごいなぁ……私に似ず、ちゃんと前に進んでおくれ……そうこうしているうちに、呼吸が浅くなってきたので、酸素マスクがつけられる。