32bitとそれ以下で市場が2分されるMCU
次にMCUについてだが、Low Pin Count MCUのマーケットが伸びつつあるという話を先述したが、マーケットが2分されている感じで、32bitは高機能・高性能・大容量で比較的大きなパッケージの製品が求められ、16bit以下は省電力・省パッケージ・低コストのものが伸びつつあるとする。ここで同社は比較的良いシェアを保っており(Photo15)、今後も新製品を投入していくし、Design-Inの数も増えているという話であった。
一方32bitは? というと、ここでは「基本的には」ArmのCortex-Mのドミナントなマーケットであるのだが、その中でRAやSynergyの比率が次第に増えているという。その一方でRXのDesign-Inの数も僅かずつではあるが増えているなど、同社にとっては決して無視できないマーケットとなっている(Photo16)。
そのMCUの今後のロードマップがPhoto17となる。R-INはモジュールの方向に進む一方で、より高性能なRZ/N2やRZ/T2の投入に加え、汎用MCUは低価格化したラインナップと、DRP-AIを搭載したEndpoint AI向けと思しき製品も2021年には投入される。またSOTBを利用した超低消費電力のREシリーズも、ラインナップを増やすとともに、BLE 5を搭載した製品も予定されているという事が今回明らかにされた。
次がRAD Hard向けだが(Photo18)、このマーケットはルネサス(旧Intersil)とMicrochip(旧Microsemi)、Teledyne e2v(旧e2v)あたりが主なキープレイヤーになっているのだが、ここに挙げた政府系のもの以外にスペースXを始めとする民間系の動きが活発化してきており、絶対額はともかくとしてマーケットとしては伸びていくとの見方を示す。
最後はこうしたコンポーネントを組み合わせたWinning Combosの例が示された(Photo19)。
会見で示されたのは、48Vモーター&バッテリーを利用するeスクーターであった。
同社はモータコントローラとバッテリーコントローラ、それとスマートフォンアプリを提供している(Photo21,22)が、これはターンキーソリューションとして2020年第3四半期に提供を開始する予定という話であった。
全般として産業・インフラ/IoT分野のビジネスは順調であり、またIntersil/IDTの合併もうまく推移している、というのが氏の説明であり、COVID-19の影響もあって(結果として自動車会社そのものが不調に陥る事態になっており、柴田CEOはざっくり回復まで2年位掛かるのでは? との見方を示していた)、同社の大黒柱になりそうな勢いであるのは、まずは喜ばしい所だと思う。