ご存知牛丼チェーンのすき家。その魅力は何と言っても牛丼メニューの豊富さだ。トッピングメニューもバラエティに富んでおり、牛丼の大きさもミニサイズからデカ盛り裏メニューのキングサイズまで計7種類と選択肢は多い。
ありがたいことだが、だからこそ注文の際に「さて、どれを食べようか……」と悩みまくるのも恒例行事。では、夏の時季に美味しい牛丼はどれか。この季節にうれしい、さっぱりタイプの牛丼を3種類セレクトして食べ比べてみたので、実食レポートをお届けしたい。
今回選んだのは、「おろしポン酢牛丼」「かつぶしオクラ牛丼」「わさび山かけ牛丼」の3種類。どれも夏バテ中でも食べられそうなさっぱりタイプ。どれも、栄養バランスアップに役立ち、つるっとたべられて食欲が落ちがちな夏にオススメのメニューとなっている。
スッキリした酸味が魅力の「おろしポン酢牛丼」
では、まずは「おろしポン酢牛丼」から。大根おろしにはジアスターゼという消化酵素が含まれており、エネルギー源であるデンプンの消化を促進してくれるという。野菜不足の人にもオススメだ。
さっそく食べようと、丼に顔を近づけると、大根とポン酢のスッキリした香りが鼻をつく。大根おろしをくずし、ざっくり平らにしてから一口かきこんでみる。数カ月ぶりに食べたが、相変わらず美味い。正直、30歳を過ぎてくると、季節を問わずに「これこれ、こういうのがいいんだよ」と呟いてしまいそうになるのだが、やっぱり夏は特にいい。
今回初めて知ったが、どうやら大根おろしは店舗ですりおろしているらしい。そう考えて味わってみると、一層フレッシュな味に感じるから不思議だ。大根おろしの粒子はなかなか粗めで、食べている最中も消えてなくなることはなく、シャキシャキとした食感が長く続く。
ちなみに、酸味とまろやかさのバランスがとれたポン酢はゆずポン酢だそう。ほのかに柑橘を感じるポン酢と大根おろしが牛肉の油っぽさを中和。まったく食べ疲れることなく、サラサラ食べ進めることができる。もちろん、最後まで飽きずに完食。ご馳走様でした。
"和"なヘルシーさが印象的な「かつぶしオクラ牛丼」
続いては「かつぶしオクラ牛丼」だ。
オクラには日本人が不足しがちな食物繊維が豊富で、腸の働きを助けてくれる。加えて、緑黄色野菜なので、ベータカロテンも豊富。元気なカラダをサポートしてくれる心強い食材だ。
あれ? 「かつおぶし」ではなく、「かつぶし」なの? 今日まで気付かず、誤読したまま「かつおぶしオクラ牛丼ください」と注文していたようだ。少し調べてみると、なんと東京の方言らしい。気の短い江戸っ子は「お」の発音を億劫がったのだろうか? さて、こちらも久々の実食である。
勢いで醤油をかけようかと思ったが、最初から味がついているようだ。さっぱりだし醤油で和えているらしい。こうして改めて見てみると、オクラもカツオも結構なボリュームがある。丼を持つと、カツオの芳醇な匂いがふわっと香ってくる。
一口食べてみると、当然これも美味い。やはりサッパリしているのだが、先ほどの「おろしポン酢牛丼」より、やや強めの食べごたえを感じる。かつおも粗めに削られているようで、なかなか主張が強い。その豊かな風味は、和食のヘルシーなイメージを想起させる。
オクラのネバネバは飲み込むまでしっかり牛肉に絡みつく。そこにカツオの風味も相まって、牛丼を明らかな「別の食物」に進化させている印象だ。サッパリ食べたいのだけど、ちゃんと「食べた感」もほしい。そんなときは「かつぶしオクラ牛丼」が最適ではないだろうか。
ふわっとしたハイクオリティ「わさび山かけ牛丼」
ラストは「わさび山かけ牛丼」。昔から滋養に良いとされ、ねばねば成分の水溶性食物繊維がおなかにやさしい山芋。カリウムが含まれていて、カリウムはからだに必要なミネラルのひとつだ。
「わさび山かけ牛丼」は、牛丼にこの山芋をとろろにして、とわさびを載せた、直球の山かけスタイルである。付け合せには「だししょうゆ」が添えられている。だししょうゆをとろろにかけ、牛丼のうえで軽くとろろとわさびをかき混ぜて……いただきます。
一口食べると、思いのほか水っぽさは少なく、ふわっとたとろろの柔らかい食感が印象的。もちろん、美味い。質の低いとろろだと液体っぽく、薬品臭を感じることもあるが、このとろろにはそれをまったく感じない。そして、最初は「ちょっと少ないかな」と思ったわさびもいい仕事をしている。例えるなら、全体に清涼感を与えているイメージだ。
理想を言えば、もう少しとろろの量があると嬉しかった。とろろに溺れたい猛者は、追加トッピングしてもいいかもしれない。もしくは後半にとろろを温存し、最初は牛丼単体を味わうスタイルも効果がありそうだ。
オクラとともに「精のつく食材」に挙がることも多い山芋。ここぞというときにチャージし、この夏を乗り切りたい。
何かとワクワクさせてくれる愛されキャラ「すき家」
すき家の人気メニューと言えば、真っ先に「とろ~り3種のチーズ牛丼」を連想する人も多いと思う。これを食べたいがためにすき家を訪問するファンも多いはずだが、こうして夏向けのメニューを食べ比べてみて、改めてその懐の深さに驚いた次第である。
ちなみに最近は、なぜかネットスラングで「チー牛」という言葉が「陰キャラ」という意味で使われているらしい。「オタクの大好物っぽい」という理由だそうだ。
先月末にはセガの取締役CCOがeスポーツ選手に対して「チーズ牛丼食ってそう」と言い放ち、炎上したのも記憶に新しいが、そんな中で人気お笑いコンビ「EXIT」の兼近大樹さんがツイッターで「俺チーズ牛丼めちゃめちゃ食う控えめに言って美味すぎけんしんだからね」と"擁護"し、ファンから喝采を浴びた。 すき家は変わらず美味しい牛丼を提供しているだけなのだが、それでも何かと話題となるあたり、牛丼チェーンの「愛されキャラ」として日本中で親しまれていることがわかる。
最後にやや話が脱線したが、夏バテで食欲も減退しがちなこの時期、ラインナップ豊富なすき家へ行けば、きっと食べたいメニューも見つかるはず。そもそもこんな食べ比べができるのもすき家ならでは。行くだけでワクワクする、楽しいお店なのだと再確認したのだった。