一般家庭のお風呂を1回沸かすガス代は70円前後といわれていますが、家族の人数が増えれば、お湯足しや追い炊きなどでさらにコストがかかります。シャワーを併用したり、キッチンで洗い物をしたりと、給湯にかかる光熱費は馬鹿になりません。
そこで注目したいのが、ヒートポンプ式の電気給湯器「エコキュート」。パナソニックが10月10日に発売する新製品「プレミアム・JPシリーズ(HE-JPU37KQS・HE-JPU46KQS)」がなかなか魅力的です。この新製品、災害を予測して緊急湯沸かしをしたり、スマートフォンと連動する機能などを搭載しています。
ガス給湯器と比較して、光熱費は約3分の1に!?
パナソニックから発表されたエコキュートは、性能や機能別に大きくわけて、スタンダード、ミドル、プレミアムの3クラス、全部で46品番が用意されています。価格は一番安いスタンダードクラスのみオープンで、ミドルクラスとプレミアムクラスは652,000円~1,014,000円(税・工事費別)。
光熱費がお得になるとはいえ、導入するにはなかなか勇気のいる価格にもかかわらず、この5年間のエコキュート需要はグッと上がっています。その理由は、エコキュートの省エネ性能だけではなく、災害時にも力を発揮するからです。
エコキュートと一般的な給湯器の違いは2つ。1つは、省エネ性の高い「ヒートポンプ」という加熱方式を採用しているところ。もう1つは、エコキュート本体にお湯を貯水するタンクがあるところです。
お湯を貯められるので、電気代の安い夜間料金の時間帯にお湯を沸かして日中に利用できます。この結果、光熱費はガス給湯器(都市ガス)と比較すると約3分の1、電気湯温気なら4分の1にもなるそうです。
エコキュートの需要が高まっているもう1つの理由は、災害時の備え。エコキュートは本体内にタンクを内蔵していて、災害時はこのタンク内の湯水を生活用水として取り出せます。今回発表された新製品のタンク容量は300~460L。災害などで断水しても、お風呂2杯分近い水が使えるというのは、かなり心強いポイントですね。
とはいえ、エコキュートは「夜間に沸かしたタンク内のお湯を日中使用する」のが基本。災害による断水のタイミングによっては、タンク内にお湯があまり残っていない可能性があります。そこで力を発揮するのが、「エマージェンシー沸き上げ」と呼ばれる新機能です。
スマートフォン連動で使い勝手が向上
今回の新製品で注目したい新機能はずばり3つ。前述したエマージェンシー沸き上げ、スマートフォンとの連動、天気予報と連携した太陽光発電によるかしこい沸き上げです。
「エマージェンシー沸き上げ」とは、気象サイトのWeather Newsと連動することで、エコキュートを設置した地域に気象警報や注意報が発令されると、全量沸き上げを開始する機能です。現在のところ、エマージェンシー沸き上げが対応できるのは、大雨や暴風、雷といった気象災害のみ。地震災害は予測することが難しいため、対応できていないそうです。
追加されたのは災害時用の機能だけではありません。個人的に「これは便利!」と感じたのが、スマートフォンからの操作。エマージェンシー沸き上げの設定をスマートフォンで行うことからわかるように、今回の新型エコキュートは無線LAN(Wi-Fi)内蔵で簡単にスマートフォンと連携できるのです。
専用アプリ「スマホでおふろ」と連携させて、外出先や寝室など、リモコンのない場所からもお風呂のお湯はりができます。外出先からお風呂を沸かして、帰宅後すぐに入浴というのは、かなり便利そうです。とくに冬は最高じゃないでしょうか。
天気予報と連動してさらにエコ
最後の注目新機能は「おひさまソーラーチャージ」です。これは、連携したスマートフォンが自動的に天気予報のデータを取り込み、設定した時間帯の天気予報が晴れていれば、お湯の沸き上げの一部を昼に行うという機能です。
従来モデルのエコキュートにもソーラーチャージという似た機能が搭載されていたのですが、エコキュートが天気や余剰電力を判断するには「AiSEG2」というHEMS環境を元にしたシステムが必要でした。AiSEG2がない場合は、自分で天気予報を確認し、前日の夜に「明日は天気だから昼に余剰電力の一部で給湯する」と手動設定する必要があったのです。新機能のおひさまソーラーチャージでは、スマートフォンとWi-Fi環境があれば、HEMSやAiSEG2がない家庭でも効率的にソーラーチャージが利用できるようになっています。
現在のコロナ禍で、「帰宅後の手洗い、お風呂」が政府からも推奨されています。普段は節約のため、いざというときは災害対策に使えるというエコキュートは、なかなか魅力的です。個人的には外出先からお風呂の操作が簡単にできる点も好印象。これから家を新築したり、リフォームを考えている人は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。