ソフトバンクは8月4日、2021年3月期 第1四半期の決算説明会をネット配信で実施。それによれば、今期も増収増益の決算でした。

登壇した代表取締役の宮内謙氏は「第1四半期は相当、落ち込むと思っていたけれど、実際は増収を継続できた。この3カ月間で、デジタル化により事業を伸ばしていく自信がつきました」と説明しました。

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    ソフトバンクは、2021年3月期 第1四半期の決算説明会をライブ配信しました。
    写真は、同社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏

5Gの基地局を、2022年3月には5万局へ

今期の連結業績は、売上高が1兆1,726億円(前年同期比1%増)、営業利益が2,799億円(同4%増)でした。コンシューマ事業では(端末の販売数が減少するなどして)営業利益が落ち込みましたが、そこをヤフー・法人事業が補った形です。

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    2020年度 第1四半期の連結業績

法人事業では、テレワークの需要が高まったことによりビジネスが伸長。Web会議ツールのZoomは、新規関連ID数が48倍にまで拡大(2019年度Q4と比較)しています。

宮内社長はプレゼン中「私も直近4カ月間の仕事の約8~9割をリモートでこなしてきました。いま本社に出社している社員は2割くらい。がらんどうのオフィスで、賃貸料がもったいない」と、苦笑い。またヤフー事業は、コマースの伸長により40%の増益になりました。

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    セグメント別の営業利益

2020年度通期の計画に対しては「コミットした数字(増収増益)に向けて順調な進捗です」と宮内社長。第1四半期ではその基礎固めができたとアピールします。

さらに、2019年5月に発表した「営業利益 1兆円企業へ」という中期目標を改めて紹介。2022年度には売上高5.5兆円、営業利益1兆円、純利益5,300億円を目指す内容です。宮内社長は「成長戦略と構造改革の両輪で、企業価値の最大化を図る」と、PayPayを軸に、金融サービス、mobile、eコマースといったシナジー事業を拡大していくと説明しました。

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    2022年度には「営業利益 1兆円企業」を目指します

スマホの累計契約数は、2023年度に3,000万契約まで伸ばしたい考え(19年度時点では2,413万契約、法人含む)。そのうち5Gスマホが6割を占めるとのことで「3Gから4Gになったときよりも速く、確実に5Gに移行していきます」と説明します。

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    スマホの累計契約数は2023年度に3,000万契約。その6割を5Gスマホにしたい考えです

そのために5Gサービスの本格展開を加速させます。基地局は2021年3月に1万局、2022年3月には5万局(人口カバー率90%超)を目指す方針。直近の話としては「今年の晩秋から来年にかけて5G祭りをしていきたい」と表現し、(現在はピンポイントで吹いている)5Gエリアを一気に拡大していくと意気込みました。

現時点で楽天モバイルは脅威ではない

記者団の質問には、宮内社長、副社長の榛葉淳氏らが回答していきました。

今期、どのくらい端末の販売台数が落ちたのか聞かれると「第1四半期で端末の販売数は16万ほどダウンしました。4、5月は緊急事態宣言下で、ソフトバンクショップを予約制にして、営業時間を11時から16時までとしました。販売員は半分にして交代制に。この期間で法人は伸びましたが、トータルではそのくらいのダウンした。その分、下期にかけて数が出ます」と回答。榛葉氏は「6月末~7月からは通常に近い形で営業が再開でき、数字も戻ってきました。この状態がキープできれば、年間の数値は達成できると考えています」と説明しました。

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    代表取締役 副社長執行役員 兼 COOの榛葉淳氏(リモートで対応)

中国発のアプリを規制する動きがあるとして、DiDi(ディディ、タクシー配車アプリ)に問題はないのか問われると「問題ないと思います。我々は日本でDiDiモビリティジャパンをやっていますが、サーバーから何から、すべて国内でやっています。データが向こうに漏れることがないように、きちんとやっていますので」と宮内社長。規制されるような気配もゼロです、と付け加えました。

5G端末の販売台数の進捗について聞かれると「まぁ低い計画ですけど、計画通りです。現在は4機種の5G端末を出していますが、これはショールーム的な世界。ネットワークが全面的には繋がっていないので。本格的に動き出すのは、今秋の後半以降です。Googleも5G端末を出すと発表しましたし、5G対応iPhoneも出てくるはず。詳しくは分かりませんが。そうすると、本格的な動きが始まります。そのために、我々も5Gネットワークをいち早く作っていかないといけない、という思いです」と話していました。

ファーウェイを含む中国企業5社を排除する、米国の国防権限法が8月13日から施行されることについて聞かれると「我々の5G通信機器は、完全にノキアとエリクソンでやっています。4G LTEにしても、一部は(ファーウェイの機器を)使っていますが、コアに関しては順次、切り替えています。総務省のガイドラインに則って、しっかり話し合いながらやっていますので、問題点はないと考えています」と宮内社長。

また、コンシューマ向けのスマホについては「ファーウェイのスマホをやめろというガイドラインにはなっていません。今後の新しい端末については、まだ政府とも話し合いながら、どうすべきか決めていこうと思っている段階です」と答えるにとどまりました。

総務省がMNP(番号ポータビリティ)の際の手数料を問題視している件については、「私も総務省さんから話を聞いています。議論中ですが、いま言えることは、お客さんが販売店に来られたり、コールセンターに電話がかかってくることで一定のコストがかかるということ。機種変更でも1時間半はかかります。アプリの引き継ぎなどもある。スマホは簡単そうに見えて、まぁ知識のある人は自分でできますが、販売店、コールセンターにおける対応をコストと考えていただかないと。ネットで自己完結できる人は、そのように(無料化)してもいいのかもしれませんが」と宮内社長が考えを述べました。

料金の引き下げ議論については「日本のキャリアの一番高いプランと、ヨーロッパの安いプランとの比較はアンフェア。ネットワークの品質と料金のバランスがある。日本では3キャリアが競争しながら良いネットワークをつくっている。品質面も含めて考えると、(日本は国際的に見ても)中くらいの価格水準ではないか。我々でいえば、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEモバイルの3ブランドに分けている。お客さまに選んでいただくことが大事だと思っている」と説明。今後もできるだけコスト効率を高めて、5Gに関しても、リーズナブルなプライスでの提供を検討していきたい、と話しました。

楽天モバイルの本格参入の影響について聞かれると「楽天さんの事業戦略について詳しいことは分からないので、軽率なことは言えませんが、いま時点の事実で言うならば、それほど大きな脅威にはなっていないと思っています。要は、どれくらいネットワークが構築できるか、なんです。人口カバー率が9割くらいまでいかないと、本格的なビジネスはできない。いまはKDDIのローミングを中心にやられているから、お客さんからすると楽天のネットワークと変わらないように見えますが。ネットワークを、どこまで構築するのか。本格的なネットワーク、全国ベースで本腰でやってくれば、大きな驚異になります。ただ、現在の計画をお聞きした感じでは、それなりの形で彼らも事業を拡大されるでしょうけれど、3キャリアにとっては、決定的な驚異になるとは思えない」と話していました。